独立タレントが事務所と良好な関係を築く秘訣が見えた | FRIDAYデジタル

独立タレントが事務所と良好な関係を築く秘訣が見えた

  • Facebook シェアボタン
  • Twitter シェアボタン
  • LINE シェアボタン
  • はてなブックマーク シェアボタン

専門家が分析! ジャニーズ退所組から見えてくる円満退社後の成功ブランディング術

ここ2~3年の芸能界は、人気の俳優・お笑い芸人・アイドルなどが次々に事務所を独立している、まさに独立ラッシュ。ネット上には彼らの先行きを不安視するニュース記事が溢れているが、中には事務所と良好な関係を保ったまま独立して成功しているタレントもいる。 

そこで今回は、ブランディング専門のコンサルタントを行う松下一功氏に、独立後も事務所と良好な関係を築いている印象のタレントと、その成功の理由をブランディングの観点から考察してもらった。 

4月30日夕方、突然のジャニーズ退所を発表した近藤真彦(撮影:結束 武郎)

アイドル、お笑い芸人…、円満退社が多い最近の独立劇 

最近はタレントの独立ラッシュだが、中でも円満退社をした上で独立後も活躍している印象が強いのが、ジャニーズ事務所だ。特に、元SMAPの中居正広、元関ジャニ∞の渋谷すばる、元NEWSの手越祐也の3人は、マスコミからジャニーズ事務所との関係性をはやし立てられることもなく、それぞれが自分のペースで仕事に向き合っているように見える。

中居は独立後もテレビの仕事を続け、得意のMC業で自身の立ち位置を確立しつつある。また、ジャニーズ事務所に所属していた頃と変わらず、番組に後輩に当たるジャニーズタレントを多く起用。よき先輩、いい兄貴として後輩を可愛がっており、事務所との関係は良好そのものと言えるだろう。

また、渋谷は2018年に脱退が決まると、異例の記者会見を行った。これまで、タレントの事務所独立やグループ脱退に際して、こういった公の場が持たれることはほぼなかった。記者会見を行うことで、ジャニーズ事務所とタレントの間にあったパワーバランスが変わりつつあることを感じさせた、大きなきっかけと言える。

手越に関しても、円満退社の範疇だと考えられる。やんちゃな自由人というイメージが強く、独立する際にいろいろと騒がれていたため、あまりいい印象がない人もいるかもしれない。

しかし、宮迫博之と中田敦彦がMCをつとめるYouTube番組「WinWinWiiin」内で、ジャニーズ事務所とは、独立後もNEWSの曲を歌ってもいいという契約になっていると発言している。このことから、手越とジャニーズ事務所とが良好な関係なのだと伝わる。

また、この契約に関して手越は、ファンの中には個人のファンもいればグループ全体が好きだというファンもいるはず。だから、(NEWS時代の曲を)軽々しく一人では歌わないようにしているとも発言している。

事務所とタレントのパワーバランスがイーブンになり、お互いがお互いの気持ちを尊重して、目には見えなくても良好な関係性を築いているのだろう。

自身の「手越祐也チャンネル」で緊急記者会見をライブ配信し、視聴回数は1000万回を超えた(撮影:蓮尾 真司)

独立後の成功にますます欠かせない「セルフメディアの活用」 

自分を商品にしているタレントにとって、円満退社でクリーンなイメージを持つことは、とても大切なことだ。ただし、旧事務所と友好的な関係にあるだけでは、絶対に成功するとは言い切れないだろう。

独立後は、それまであった事務所のバックアップが一切なくなるに等しい。そのため、いかに自分を売り出していくのかを真剣に考え、それぞれに合ったブランディングをする必要がある。

ブランディング専門家の松下氏によると、若手二人は「セルフメディアの使い方がうまい」という共通点があるという。

「まずは手越さんですが、現在はYouTubeに軸足を置いて、アイドル時代にはできなかった活動で注目を集めています。例えば、引退記者会見や裏側の密着動画に自宅紹介動画など、アイドルとしてではなくひとりのエンターテイナーとして、ファンが喜ぶだろうと思う動画を積極的にアップしています。 

反対に、渋谷さんは過度な露出を抑えて、自分の歌声一本で勝負をしています。具体的には、一般に公開されているのはYouTubeラジオだけで、公式ホームページは会員登録が必須になっています。渋谷さんとファンのためだけに作られた、ある意味オンラインサロンのようなものです。情報をオープンにしている手越さんとクローズにしている渋谷さんと、それぞれセルフメディアの使い方は違いますが、それぞれの個性にあった使い方をしています」

会員登録をしなければ楽しめないというのは、人によっては意地悪に映る人もいるだろう。特に、ファンになりたての場合、好きなタレントの過去を知ろうと思っても簡単にアクセスできないというのはストレスになるに違いない。

しかし、これはブランドを守るためのひとつの手段なのだそう。

「『一見さんお断り』と同じで、本当にタレントのことを好きなファンだけを集めたいという意思のあらわれなのでしょう。また、口下手で自己表現が苦手だという渋谷さんのキャラクターにあっていますし、うまい戦略だと思います。 

キングコング西野さんをはじめとするオンラインサロンも同じようなものです。ブランドを継続させるためには、コミュニティーづくりは欠かせません。それに、しっかりとブランディングができていれば、オンラインサロンやファンクラブをわざわざ開設しなくても、自然とファンコミュニティーは発生するものです。それをどう管理するのかが、ブランディング戦略のひとつになります。 

コミュニティーを管理した場合、タレントは会員費を原資に自身の活動がしやすくなり、ファンはタレントの活動をより近くで応援でき、新しい情報をいち早く知ることができるなどのメリットがあります」

YouTubeだけでなく、オンラインサロン「 PROGRESS 」も好調なオリエンタルラジオの中田敦彦(撮影:吉田暁史)

「セルフメディアを活用しない」ことで成功している中居

ジャニーズ事務所と良好な関係を築き、なおかつ独立後も成功していると言えば、すぐに中居の名前が浮かんでくるが、セルフメディアとなると少し違う。彼は公式ホームページ以外のセルフメディアを持たず、事務所に所属していたときと変わらずテレビを戦場にしているのだが……。

「中居さんはシンプルな公式ホームページしか持っていないため、セルフメディアを排除してテレビ一本だけに絞っているように見えます。もしかしたら、今はテレビだけに集中していて、それに満足しているから、セルフメディアを活用する必要がないのかもしれません。現状では、中居さんは『セルフメディアを使わない』ことが、自身のブランディングに合っているのだと考えられます。 

ただ、なぜ司会をやりたいのか、今後はどうしていきたいのかについてはオープンにしていませんよね。この辺りのプランが立って、世間に発信できるくらいにまで固まったら、新しい動きがあるのではないでしょうか。また、テレビ以外の活動もしたいと思いはじめたときも、セルフメディアを持つ可能性はあると思います」

続けて、松下氏はジャニーズ事務所を独立して、4月1日に会社を設立したTOKIOの3名についても不安視していないという。 

「円満退社でクリーンなイメージがありますので、第一段階はクリアしていると言えるでしょう。その上で、自分たちの今後の取り組みをオープンにしています。それに、会社の公式Twitterのほかに、メンバーの国分太一さんが個人でTwitterをはじめました。社会貢献や地域創生などの明確な目標を掲げて船出をしたいま、彼らがどんな活動を行い、どんなメッセージを発信していくのか楽しみですね」

所属した瞬間から激しい競争環境に置かれ、常に自分を磨き続けなければならないジャニーズ事務所のタレントたち。さらに、グループとしてデビューできるのはほんの一握りで、それ自体が奇跡に近い。デビュー後は、ファンのほかに業界内での信頼を勝ち得て土台を作ってから、はじめて独立という道が選べるようになる。

様々な壁を順に乗り越えた先に、大きな成功を手に入れることができるから、その独立劇は、自信と解放感に輝いて見えるのかもしれない。

松下一功 元グラフィックデザイナーという異色の経歴を持つ経営コンサルタント。広告業界でコンセプトワークが高く評価され独立。自動車メーカーのブランド戦略やコンサルティング等の数々のプロジェクトを手がける。リーマンショックや震災による顧客や自社の経営危機を、独自で体系化したブランド戦略で乗り越え、現在は「真のブランディングを世に伝える」専門家としても活動している。

  • 取材・文安倍川モチ子

    WEBを中心にフリーライターとして活動。現在は、「withnews(ウィズニュース)」「Business Jounal(ビジネスジャーナル)」などで執筆中。また、書籍や企業PR誌の制作にも携わっている。専門分野は持たずに、歴史・お笑い・健康・美容・旅行・グルメ・介護など、興味のそそられるものを幅広く手掛ける。

Photo Gallary3

Photo Selection

あなたへのおすすめ記事を写真から

関連記事