業界の底力を見た「豪華絢爛春ドラマ」を総採点 | FRIDAYデジタル

業界の底力を見た「豪華絢爛春ドラマ」を総採点

まだ間に合う! 今からでも見るべきドラマはこれだ!

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『コントが始まる(日本テレビ系、土曜22時〜)』に主演している菅田将暉
『コントが始まる(日本テレビ系、土曜22時〜)』に主演している菅田将暉

春ドラマの放送が全てスタート。一通りを見終えてふと気づいたのは「……あれ? コロナ対策が消えている??」。そう、2021年冬ドラマまでは当然のように施されていた、マスクなどのコロナ感染対策。でも春ドラマからはすっかりその匂いも消えている。これもドラマ界による新たな一歩なのだろうか?

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豪華な出演者とスタッフで、毎日見ていても飽きない春ドラマ。ドラマオタクが生温かい目で採点していきます。独断の採点方法は5点満点で【心にグッときてるかレベル1〜5】表記にて。

●イチケイのカラス(フジテレビ系、月曜21時〜)竹野内豊、黒木華
【レベル3】

型破り裁判官によって、事件の真相が浮き彫りに。竹野内豊という“字面だけでパワーのある名優”がひさびさに月9に主演とあって、それだけで歓喜に湧いてしまった。裁判官の入間(竹野内)がいい感じに熱くて、優しい。それを支えるやや早口な黒木華の演技もよく噛み合っていて、一話完結の良さが凝縮されている。裁判官が法廷を飛び出して現場へ直行する様子が、他リーガルドラマとの既視感として騒がれたけれど、現代の若者視聴者にとっては新しい感動を与えることになっているらしい。結果的にあっぱれ。

●大豆田とわ子と三人の元夫(カンテレ・フジテレビ系、火曜21時〜)
松たか子、岡田将生、角田晃広(東京03)、松田龍平
【レベル4】

バツ3の会社社長女性が過去の夫たちと交流をしていく。主演・松たか子×脚本・坂元裕二による磐石コンビが奏でるドラマ、面白くないわけがない。「人の嘘を補完し始めたら、だまされている証拠」などグッとくる、そしてことごとく回りくどいセリフの連打に視聴しながら反省させられること多々。ただ視聴率が平均5%なので、この作風はマニア層だけに響いているのかもしれない(かく言う私もマニア)。とわ子は要所要所ですごく可愛い笑顔とボケを振りまいてくるので、この姿に男どもはやられたのだと納得。今後の展開で注目は市川実日子。この人がただの友達役で終わるとは到底思えない。

●着飾る恋には理由があって(TBS系、火曜22時〜)川口春奈、横浜流星
【レベル2】

インスタグラマーで完璧主義の広報部員女子と、ミニマリストによる恋物語。これまでの火10イメージが少し覆るような、ベタさのないしなやかさのある演出。最新回では川口と横浜のふいの冷蔵庫前キスと、星野源による主題歌の親和性に、つい見惚れてしまった……。そして(おそらく)恋の当て馬軍が向井理と丸山隆平(関ジャニ∞)ととても豪華。主要メンバーがルームシェアをしている表参道の一軒家、横浜くんによるお姫様抱っこと料理がついて1ヵ月5万円とはうらやましい。ぜひ住みたい。

●恋はDeepに(日本テレビ系、水曜22時〜)石原さとみ、綾野剛
【レベル2】

女性海洋学者とリゾート開発会社の御曹司のラブストーリー。主食は海藻、魚介類とガチトーク、高所恐怖症、マーメイドシルエットのスカート愛用などの匂わせ演出により正体は人魚一択の主役・渚海音。そして人間界の王子様と許されない恋に発展……? と睨んでいる。人妻になっても変わらないさとみビューティーも去ることながら、毒っ気ゼロの綾野剛が愛らしいと初めて知った。いつも死や危険と隣り合わせの演技が多かった印象なだけに新鮮。

●桜の塔(テレビ朝日系、木曜21時〜)玉木宏、広末涼子
【レベル2】

警視庁内の出世抗争劇、そして警察官だった父を自殺で失った理事官の思惑が光る。昨年の悪役祭り(『竜の道 二つの顔の復讐者』関西テレビ、フジテレビ系『極主夫道』日本テレビ系)から一転、今回はエリート警察役と思いきや、常にスーツのポケットには酒を忍ばせているややアル中気味の難あり警察官役の玉木。しかも出世のために事件を仕掛けているということで、2021年も悪役道を疾走中。毎回見ているほうが「警察にバレるんじゃないか」とハラハラ。

そしてさすがの木9、テレ朝枠。掘っても掘っても出演者が豪華で見応えはあるのだが、椎名桔平の娘役が仲里依紗という設定にはやや無理が……。何かあるとクラブで愚痴をもらす警官たちを癒やしている銀座のママ役・高岡早紀の妖艶さはもはや殿堂入り確定。

●レンアイ漫画家(フジテレビ系、木曜22時〜)鈴木亮平、吉岡里帆
【レベル3】

偏屈者の男性漫画家が、ストーリーを膨らませる材料のために無職女性に偽装恋愛を指令する。吉岡里帆が金、男、家ナシに追い込まれてバイトのために近づいた、猛烈セレブ漫画家の鈴木亮平とくっつく……これは放送二話あたりで視聴離脱か? と思っていたけれど、刈部(鈴木)が偏屈の殻を少しずつ割って、凡人化していく様子がどうも癖になる。

不器用なりに死んだ弟があいこ(吉岡)から5回告白された話をしたり、寝ている甥っ子のレンとあいこを団扇であおぐなど、回を追うごとに人間らしさを増していく刈部に期待。ライバル漫画家の木南晴夏のちょい嫌味なキャラは相変わらずの安定感あり。

●リコカツ(TBS系、金曜22時〜)北川景子、永山瑛太
【レベル4】

交際0日で結婚したカップルが価値観の相違から、離婚活動=リコカツを新婚早々スタートする。紆余曲折はあるけれど最終的にはちゃんと夫婦に戻るのだろうという、分かりやすいラブコメ。「離婚だ!」と騒ぎながらも、毎回少しずつお互いの理解を深めていく様子、ハートウォーミングで良し。ただ夫・紘一(永山)の勤務する自衛隊にいる、後輩女が危険すぎる。

さすがに嫁のことが気に食わないだけで、森の中に置いてけぼりにするとは……今後の愛のエスカレートぶりが怖い。そして北川景子は今回も俗世から離れた美しさをフル発揮中。髪の毛が肩につくかつかないかの長さのセミロング。普通そうな髪型に見えて、実は難易度が高く、美人の特権なのだ。

●コントが始まる(日本テレビ系、土曜22時〜)菅田将暉、有村架純
【レベル5】

結成10周年を迎える売れないお笑いトリオが解散を決めたことによって動き出す、青春群像劇。今クール、個人的に一番推すのがこちら。主要メンバーが全員朝ドラ経験者という演技の安定感。芸人の夢をあきらめて少しずつ、普通の生活に戻ろうとしていく若者たちの機微に泣かされる。アラサー世代にはドンズバで共感、その上の世代には「こんなこともあったなあ」とノスタルジックな思いにかられる。男3人で共同生活をしている部屋の生活感がリアル。とにかく一話だけでも良いので見てください。

●ドラゴン桜(TBS系、日曜21時〜)阿部寛、長澤まさみ、髙橋海人(King & Prince)
【レベル4】

低偏差値の私立高校の生徒たちを、弁護士が東大へ導く。放送前から生徒役のキャスティング匂わせなど話題が尽きなかった本作。ただ初回放送は出演者、会議中というシチュエーションから『半沢直樹』にしか見えなかったのは残念。それでも阿部寛という存在はやはり最高。16年前よりもさらに泥臭さを増していて、セリフの説得力が増している。

番宣でも推していた「ビジネスにも通用するドラマ」ということで、お父さん視聴目線を意識しているのかもしれない。最終回まで過去作出演者たちのサプライズゲスト出演が今後続いて、大トリは矢島役の山Pだろうと予想中。ちなみに初回放送、ひさびさにテレビで見かけた紗栄子は演技のブランクを全く感じさせない完全無欠の女優だった。

●ネメシス(日本テレビ系、日曜22時30分〜)櫻井翔、広瀬すず、江口洋介
【レベル3】

ポンコツ探偵と天才助手による事件解決コメディ。嵐の活休後、初のドラマ出演とあって注目度が高かった。初回放送から見ていると“何をやっても櫻井翔”という演技が引っかかる。これはディスりではなくて褒め言葉。所属事務所の先輩、木村拓哉も“何をやってもキムタク”と言われていた現象と同じで、それだけ素のキャラがこの世に浸透している人気者の証拠だと個人的に解釈している。

今回、櫻井のちょっと抜けたコミカルな演技はバラエティ番組で見るキャラがそのまま投影されていて、視聴するほうとしては安堵感がある。名推理の執事役(『謎解きはディナーのあとで』フジテレビ系・2011年)よりも今回のほうがハマり役だ。他注目は刑事役の勝地涼。登場するだけでギャグ感を香らせてくるのは彼にしかできない技だ。

  • 小林久乃

    エッセイスト、ライター、編集者、クリエイティブディレクター、撮影コーディネーターなど。エンタメやカルチャー分野に強く、ウエブや雑誌媒体にて連載記事を多数持つ。企画、編集、執筆を手がけた単行本は100冊を超え、中には15万部を超えるベストセラーも。静岡県浜松市出身、正々堂々の独身。女性の意識改革をライトに提案したエッセイ『結婚してもしなくてもうるわしきかな人生』(KKベストセラーズ刊)が好評発売中。

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