逮捕を予期?ドンファン元妻が事件後に観ていた「驚きの番組」 | FRIDAYデジタル

逮捕を予期?ドンファン元妻が事件後に観ていた「驚きの番組」

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<2018年5月24日に亡くなった紀州のドン・ファンこと野崎幸助氏と生前から交流があり、彼を取材し続けたジャーナリスト・吉田隆氏による「深層レポート」。今回は、事件直後におこった意外な出来事について回想する。

ほとんど何も語らぬまま、一週間が過ぎたが…
ほとんど何も語らぬまま、一週間が過ぎたが…

ドン・ファンの妻であった須藤早貴容疑者(25)が殺人容疑で逮捕されてから約1週間が過ぎた。早貴容疑者は逮捕後、品川区内の自宅マンションから警察車両に乗せられ羽田空港へ。午前8時半過ぎには南紀白浜空港に到着し、そのまま車で20分ほど離れている田辺警察署に移送された。

ドン・ファンが亡くなった’18年5月24日以降、早貴容疑者はこの田辺警察署で何度も任意の事情聴取を受けてきたし、ドン・ファンの遺体の引き渡しもこの警察署で行われたので、彼女にとっては「馴染みの場所」である。

早貴容疑者はいまも容疑について否認している。これは、事件以前から何度も彼女に接触してきた私からすればまったく驚くことではかった。

というのも、ドン・ファンが怪死して以来、早貴容疑者には何度も「もし万一あなたがなにかを知っているのだとしたら、本当のことを話さなければいけないよ」と説得してきたが、彼女は「ないない」と笑って受け流すばかりだったからだ。そこに動揺した様子は一切なかった。間違いなく、彼女は今後も否認を続けるだろう。

それでも、警察から疑われることは覚悟していたのだろう。逮捕後の取り調べを想定してか、振り返ると、早貴容疑者はこんな“勉強”もしていた。

ドン・ファンが和歌山県田辺市内の自宅で怪死を遂げてから2日後、遺体が解剖に運ばれていた5月26日の夜9時のことだ。私はドン・ファン宅の1階リビングで早貴容疑者と家政婦のKさんとテレビを見ていた。

NHKの教養ドキュメンタリー番組に『逆転人生』という人気シリーズがある。さまざまな人物の「人生の逆転」となったポイントを紹介する番組だ。

この夜に放送された同シリーズのタイトルは、『えん罪 奇跡の逆転無罪判決』。コンビニ強盗に間違われて逮捕され、300日も勾留されたのち、無罪を勝ち取った若者の実話だ。

コンビニの自動ドアガラスに男性の指紋がついており、防犯カメラに映った体格に似ているとして、その男性が逮捕された。

男性は「コンビニに行ったが強盗はしていない」と否認したにもかかわらず、警察はそれを認めない。担当した弁護士が男性に指令した作戦は黙秘することだった。1年以上も黙秘を続け、その間に弁護士や男性の家族が無罪の証拠を探しだして逆転無罪を勝ち取ったという内容だった。

毎日毎日取調室で黙秘を続けるのがいかに困難であるか、男性が実体験に基づきインタビューに答えていた。

人が亡くなった直後にテレビを観ているのも奇妙な感じだが、突然の出来事にみんな心を乱されていたので、むしろ気持ちを落ち着けるためにはちょうどよかったのである。

「ああ、絶対に無理だわ私。ペラペラ喋ってしまうから」

家政婦のKさんが番組の途中、軽い口調で呟いた。サービス精神旺盛なKさんは、もしもなにか罪を犯していたとしたら、黙秘など絶対にできないだろう。とはいえ、それを認めるのが少し滑稽で、場違いとは知りながらもちょっと笑ってしまった。

しかし、早貴容疑者の様子は違った。

「警察の取り調べは凄いんですね」

ソファーにだらしなく横になっていた彼女だが、テレビ画面を見つめる表情は真剣そのものだ。番組が終わると、深刻な様子で「はぁ」と深いため息をついた。私には、彼女が何かを考えているように思えた。半分冗談で、半分怖さを感じながらも、こう尋ねてしまった。

「Kさんはああ言っているけど、キミはどうだい?もしもいろいろと尋ねられても、君は強い精神力の持ち主だから、乗り切れるだろう?」

私がそう聞くと、

「まあ、大丈夫だと思いますけど……」

とポツリ。そして私は繰り返し、

「でも万一、君がなにかを知っていたのだとしたら、キチンと(捜査員に)話さなければいけないよ」

すると彼女は、「またその話か」という表情を浮かべて、こう返してきた。

「でも、やっていませんから」

頑なに自分は関与していないと否定したのである。

突然の逮捕から1週間。彼女は黙秘を続けていると報じられているが、私にはピンときた。彼女はこの番組をみて、「そういう手段もある」と知ったのだ。そう遠くない頃に、彼女は自分が疑われてしまうことを想定していたのだろう。

あの手この手で情報を引き出そうとする捜査員の熟達した取り調べに対し、完全黙秘を貫くということは常人では至難の業であろう。

しかし、早貴容疑者ならできるのかもしれない。事件後の任意の事情聴取でも、否認の姿勢は一貫している。13時間にわたり拘束され「ウソ発見器」にまでかけられたこともあるようだが、それでも「殺していない」と言い続けた。

なにがあっても自分の決めたことを貫きとおす彼女は、まさに「鋼のメンタル」の持ち主なのだろう。ここまでくると、もはやドラマの様相を呈してきた。はたして彼女の沈黙の先にあるのは「無罪」かそれとも…。

起訴までの勾留期限は、あと2週間だ。

  • 取材・文吉田隆

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