紀州のドン・ファン「遺産13億円」に覚える強烈な違和感 | FRIDAYデジタル

紀州のドン・ファン「遺産13億円」に覚える強烈な違和感

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愛犬イブちゃんが存命時に撮られた写真

<2018年5月24日に亡くなった紀州のドン・ファンこと野崎幸助氏と生前から交流があり、彼を取材し続けたジャーナリスト・吉田隆氏による「深層レポート」。今回は、「13億円」と言われている遺産の謎について深掘りする。

13億では少なすぎる…?

ドン・ファンが亡くなった事件について、毎日のように報道が流れているが、そのなかで私が違和感を持っているのが、「ドン・ファンの遺産額」についての報道である。

一般的には遺産の額は「約13億円」と報道されているが、私の計算とは大きく食い違っているのだ。

実はドン・ファンの地元である田辺市の家庭裁判所には、ドン・ファンの遺産の「リスト」が保管されている。2019年1月に裁判所が任命した、和歌山市の遺産相続管理人の弁護士がまとめたものだ。

私はこのリストにも目を通しているが、ドン・ファンの所有していたルノワールやシャガールの絵の鑑定が1万円と書いてあったのには驚いた。あの絵はニセモノだったのか…?と混乱したが、絵画の鑑定はまだなされておらず、額縁の値段が「一万円」ということらしい。

ドン・ファン宅の廊下の壁には、親交があったデヴィ夫人が描いた女性の横顔の絵が飾ってある。これは7~8年前にドン・ファンが夫人のオークションに行った際に、100万円で購入したものだ。しかし、遺産のリストを見る限り、この絵は評価の対象にさえなっていなかった。この事実を知ったら夫人はどう思うだろうか…。

このリストをみると、他にもドン・ファンが所有していたウン百万円もする高級時計やダイヤなどの貴金属類が入っていなかった。あえて先に言うが、盗まれたわけではない。もともとこのリスト自体が不十分なもの、なのだ。

なぜなら、ここに載っている「資産」は、ドン・ファンが経営していた会社の顧問会計士の話をもとに作られたものだからだ。彼がドン・ファンの資産すべてを把握しているわけではない…ということも影響している。

いわば不完全なリストなのだが、これをまとめた総額が「約13億円」となっているため、こぞって「遺産13億円」と報じられているわけだ。実際の遺産額は、もっと多い可能性があるのだ。

遺産争い

さて、この遺産を巡って、いざこざが起きているのはご承知の通り。その筆頭が、ドン・ファンが生前に書いたという「田辺市に遺産をキフする」という「遺言書」の真偽だ。筆跡がドン・ファンのものではない可能性が高いうえに、奇妙な点が多々ある。私はこの問題をずっと追ってきた。

「ドン・ファンの遺言書」。「キフ」や「ム」が、普段は使わなかったというカタカナで書かれている

2018年9月12日。田辺市の裁判所でドン・ファンが書いたとされる遺言の紙切れの検認が行われた。「田辺市にキフする」という赤いペンで書かれていた「遺言書」が、ドン・ファンの会社の元役員のもとに送られていた…として裁判所に提出されたものである。

検認というのは、遺言の形式が整っているのかを調べるものであって、真偽を審査するものではない。遺産を巡る重大な事案であるため、この日はドン・ファンの会社の元役員の弁護士や遺族の弁護士も顔を見せた。

しかし、なぜかその場に早貴容疑者やその代理人は誰も来なかったのだ。

その後「遺言書は偽物である」として、ドン・ファンの遺族が「遺言無効」の訴えを起こしたが、これに対して、早貴容疑者側は意義を申し立てなかったのである。

この遺言が認められなければ、法律上、早貴容疑者はドン・ファンの遺産の4分の3を受け取り、残りの4分の1を複数の遺族で分ける事になる。反対に遺言が本物と認められれば田辺市に遺産を受け取る権利が認められるが、妻が「遺留分請求」をすれば遺産額の半分を受け取る権利を有することになる。

ここからは仮定の話になるが、ドン・ファンの遺産総額が30億円だった場合、もしも遺言が「偽物」となれば、早貴容疑者は22億円を受け取れたことになる。反対に、遺言が有効と認められた場合、15億円が田辺市に流れ、早貴容疑者が受け取る額は15億円になってしまうワケだ。単純計算で約7億円も受取額が減るにもかかわらず、早貴容疑者側は「遺言書の真偽に関する話し合いには参加しない」という立場をとっている。

現在、この遺言書を巡り、田辺市とドン・ファン遺族が「有効か無効かの裁判」を争っている。しかし、この裁判にも早貴容疑者側は参加していないのだ。

ここが、なんとも奇妙なのである。

早貴容疑者側はなぜこの遺言無効裁判に参加しなかったのか?私はここにドン・ファンをめぐる「謎の遺言書」のカラクリがあると思っている。彼女は現状、黙秘を貫いているようだが、語られていない謎はまだまだ残っているのだろうか――。

<大特集!「紀州のドン・ファン 知られざる壮絶生涯」はこちらをクリック

  • 取材・文吉田隆

    ジャーナリスト

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