出産後の認知も養育費も求めない「選択的シングルマザー」の生き様 | FRIDAYデジタル

出産後の認知も養育費も求めない「選択的シングルマザー」の生き様

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父親の異なる二人の子供を持つ大塚さん。結婚は望んでいない

「Pegaris合同会社」代表・大塚紗弓さん(35)は、父親がそれぞれ異なる3歳と昨年12月に出産した二人の息子を持つ「選択的シングルマザー」だ。

選択的シングルマザーとは、妊活中に計画的にシングルマザーを選択する経済的・精神的に自立している母親のこと。結婚は望まない。アメリカの心理療法士ジェーン・マテスが81年に提唱した言葉が由来だ。

北海道札幌市在住の大塚さんは子供たちの父親に対して、認知も養育費も請求しない。「父親らしいことをしたければしてもいいし、しなくても良い」と親としての選択も男たちに任せている。長男の父親は出産後も子供と一緒に数回会ったが、コロナの影響でここ1年ぐらいは疎遠だ。また次男の父親は妊娠の報告をしただけで、出産後は連絡を取っていない。

それでも大塚さんは一人で子育てを楽しんでいる。彼女が掲げるビジョンとは何だろう。

大塚さんは最初から選択的シングルマザーを選んだわけではない。

「26歳から3年間ぐらいまで遠距離恋愛をしていた医療従事者から『結婚するなら専業主婦になって自分を支えてもらいたい』と内助の功を求められました。自分としては不本意でしたが、当時は好きな人の願望をかなえてあげたかったし、収入の差もあったので自分が主婦業をやるしかないと漫然と思っていました」

ところが結婚のタイミングが合わなかったため男性と別れた。30歳前に結婚して子供を産みたかった大塚さんは、そこで立ち止まって自分の人生を見つめたという。

「女性は4つの条件のパートナーを一人の男性に絞ってしまうため、婚活が難しいと気づきました。パートナーの条件とは、一つは経済的、二つは精神的、三つ目が子育て、そして四つ目が肉体的なパートナーだと私は思っています。子供が欲しいと思うなら、子育てを優先するなら、4つの条件をそれぞれ切り離して考えたほうが良いと思いました」

「責任は取れない」

3歳の息子と。経済的には自立している

29歳で転職した大塚さんは、出産するなら40歳までと決めて、まず経済的に自立することを目指した。子ども専門の言語聴覚士として働きながら経済を勉強する。30歳になっていた。

「経済の勉強会で知り合った8歳年上の投資家と交際しました。結婚歴なしの未婚。彼が東京在住のため遠距離でしたが、月一回ぐらいのペースで会っていました。知識が豊富でビジネス手腕も備わり、自由に生きている彼を尊敬していました。彼と結婚したい気持ちもありますが、彼に結婚願望がなかったので、結果的に選択的シングルマザーを選んだというわけです」

大塚さんは彼に子供が欲しいと打ち明け、妊活に協力を仰ぐとともに、出産したら認知も養育費もなしで良い。父親として振舞いたいならそれでも良いと持ち掛けた。

「『何を言っているんだ』と拒絶されました。でも30歳過ぎた結婚適齢期の女性と交際していることに負い目を感じたのでしょう。少し折れてきたところで『私には婦人科系の持病もあるから、子供ができるかどうかもわからない』と説得したんです」

男性は承諾した。すると一回の妊活で妊娠。大塚さんが妊娠を報告すると「責任を取れないから堕ろしてほしい」と懇願されたという。

「予想をしていたものの、直接彼から本音を打ち明けられるとショックでした。そこでこれまでの精神的な繋がりのパートナー関係を解消しました」

一人で育てると決心した大塚さん。妊活までの間に自立できるほどの経済力を持てたことも、選択的シングルマザーの追い風となった。

「出産してから数回ぐらい子供と一緒に会いましたが、コロナになってから一度も会っていません」

第一子を出産してからも大塚さんの妊活パートナー探しは続いた。

「20年の初めには生殖医療に従事している知人を通じてスペインで精子提供を受ける予定でした。ところがコロナになってしまったので、国内で妊活をすることに切り替えたのです」

大塚さんは「選択的シングルマザー」ではなく、「戦略的シングルマザー」という造語を作って肩書にした。仕事関係で紹介を受けた8歳年上の経営者と名刺交換の際に、大塚さんの肩書を男性は「面白い」と称した。結婚歴はあったものの子供がいなかったこの男性は、「相手は僕でもいいんですか?」と立候補してきたので、精子提供を依頼したという。

「次男は長男の父親とはまるで異なる関係性でした。付き合ったこともなく、父親になってもらうのですから。そこで事前に認知や関わり方については話し合って決めました」

認知も養育費もいらないし、子育てにも中途半端に関わってほしくないという大塚さんの要望を男性は承諾。安心した大塚さんは一回の性交渉で妊娠したという。

「次男の父親には妊娠の報告をしてから一度も会っていませんが、子育ての様子をSNSをチェックしているかも」と実にあっけらかんだ。

子育ては実家の両親を含めて、ママ支援の活動を通じて多くの人にサポートしてもらっているという。ちなみに実家の母親は大塚さんの生き方を容認してもらっていないが、孫は可愛いと言っている。

「とはいえ、仕事をしていますから、子育ては保育園に預けるだけでなく、ベビーシッターさんを活用しています。長男には月額20万円のシッター代がかかり、経費で下りないため自腹です。九州に二人の息子を連れて出張した時のシッター代は10日間で15万円でした」

ベビーシッター代の相場は一時間1500円から3000円。一般的なワーママでも月額3~5万円はかなり厳しい中で、月額20万円というのはまるで芸能人に近い金銭感覚だ。大塚さんの経済力の大きさが垣間見える。今後も戦略的シングルマザーを続けるのだろうか。

「40歳まで5人ぐらい産みたいですね。結婚はチャンスがあればしたいけど、理想が高いから難しいかも」

自分が一番大好きという大塚さんは「子供と幸せなのは父親になってくれた彼らのおかげです」と感謝の気持ちを滲ませる。

大塚さんはSNSパラグライダーを楽しむ様子を始め、仕事や趣味、子育ての充実ぶりを次々にアップしている。

取材した私には、意図的に父親が異なる子供を育てる「選択的シングルマザー」は、究極のおひとり様ライフスタイルだと感じた。

  • 取材・文夏目かをる

    コラムニスト、小説家、ライター。秋田県出身。立教大学文学部日本文学科卒。2万人以上のワーキングウーマンの仕事、恋愛、婚活、結婚を取材。女性目線のコラム「”賞味期限”が女を不機や嫌にする」(現代ビジネス)などや映画コラムも。ルポ「同窓会恋愛」(婦人公論)、「高学歴女性の貧困」(サンデー毎日)など。「戦略的に離婚しない女たち」(週刊朝日)などで夫婦問題にも言及。「33歳女の壁その後」(朝日新聞社telling)では40万以上のPVを獲得。2020年4月日刊SPAの記事でYahoo!ランキング総合第一位に。連載小説「眠れない夜」(Wome)ランキング第一位。2007年10万人に一人の難病・ギランバレー症候群を後遺症なしに完治。

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