H3打ち上げ予定で世界が注目する夢とロマンの「宇宙銘柄」40 | FRIDAYデジタル

H3打ち上げ予定で世界が注目する夢とロマンの「宇宙銘柄」40

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今年3月、鹿児島県の種子島宇宙センターでついにその全貌を現した「H3ロケット」。年度内の打ち上げを目指す 写真:共同

国際宇宙ステーション(ISS)で二人の日本人宇宙飛行士が実験棟「きぼう」の任務を引き継ぎするなど、日本でも宇宙への注目が高まっている。

「株のテーマの中でも、『宇宙銘柄』は夢やロマンがありますね。最近では昨年末に小惑星探査機『はやぶさ2』のカプセルが地球に帰還した際に話題になり、宇宙関連株が注目されました。

これまでも国産初のH-Ⅰロケットの打ち上げが成功した’86年、H-Ⅱロケットが打ち上げられた’94年、『はやぶさ』が帰還した’10年と、宇宙関連の話題が多く報道されるたびに関連株が見直されます」(マーケットアドバイザーの天野秀夫氏)

今年度に予定されているのが、新型の国産ロケット「H3」の打ち上げだ。発射に向けて、注目すべき銘柄は何か。

「IHIは子会社のIHIエアロスペース社を通じてH3ロケットの新型固体ブースターなどの開発に参画しています。同社のイプシロンロケットは固体燃料技術を活用することで、安価に衛星を打ち上げられることが期待されています。

世界的自動車メーカーのトヨタ自動車は、宇宙分野でも注目です。トヨタが開発する有人月面探査車『ルナ・クルーザー』を実際に目の当たりにすると、同社の本気を感じられます」(天野氏)

中国が独自の宇宙ステーション建設に動き出すなど、宇宙空間をめぐって国際的な競争が激しくなっている。経済評論家の加谷珪一氏が解説する。

「日本でも今後、独自の人工衛星の打ち上げが多くなることを考えれば、ロケット本体を作れる三菱重工業、ロケットのフェアリング(先端の開閉式カバー)が得意な川崎重工業、衛星本体の電気システムも担う三菱電機といった企業が宇宙開発の鉄板メーカーと言えるでしょう。

今後大きな成長が期待できるのが、キヤノン電子と日本アビオニクス。キヤノン電子は超小型人工衛星を手がけており、低コストで量産化できるようになればニーズの拡大が見込まれます。

日本アビオニクスの電子デバイス技術は高く評価されており、同社はJAXA(宇宙航空研究開発機構)認定のハイブリッドICメーカーです。宇宙開発が進めば、同社への注文は確実に増えるはず。海外からの受注も期待できる数少ない宇宙関連の日本企業といっていいでしょう」

H3ロケットの打ち上げに加えて、今年の秋に実に13年ぶりにJAXAが宇宙飛行士を募集することも発表された。国内で宇宙関連の話題には事欠かず、さらなる盛り上がりが期待される。経済アナリストの田嶋智太郎氏がこう話す。

「一般の人にとって宇宙はまだ映画の世界ですが、企業にとってはすでに進出可能なフロンティアです。たとえば、一眼レフカメラ大手のニコンは、本業のカメラ市場が縮小するなかで、新たな成長市場を求めた結果、宇宙事業に行き着いた。今年4月に米国の宇宙航空部品の受託加工生産メーカーを買収し、中小型衛星向けの部品製造に乗り出しました。

福井県発祥の繊維メーカーのセーレンは人工衛星を専門に開発する研究組織を新たに設立。複合機大手のリコーは、次世代太陽電池の本命とされ、宇宙空間での電源として期待される『ペロブスカイト太陽電池』の開発を進めています」

田嶋氏が宇宙空間で活用できる新技術としていま最も注目しているのが、日立造船の全固体電池である。

「今年3月、日立造船は容量が世界最大級の全固体電池を開発したと発表しました。同社の従来品から容量は約7倍に増えた。高温下など特殊な環境でも動作するのが特徴で、人工衛星など活用の幅が広がると見込まれています。将来的にリコーのペロブスカイト太陽電池で発電した電気を日立造船の全固体電池に充電することも夢ではありません」(田嶋氏)

総合商社も動き出した

衛星の打ち上げや部品開発だけでなく、衛星データを活用したビジネスも今後、ますます活発になっていく。株式アナリストの佐藤勝己氏が注目銘柄を挙げる。

「カーナビのGPS機能のように、衛星データを活用したサービスは日常生活になくてはならないものになりました。衛星放送のスカパーJSATホールディングスは有料チャンネルの『スカパー!』だけでなく、衛星通信サービスも主力となっています。アジア最多の通信衛星を保有し、災害時に通信ネットワークを提供する事業などを展開しています。

夢があって資金が集まりやすそうなのが、スペースデブリ(宇宙ゴミ)除去に向けてJAXAと『導電性網状テザー』(電気を通すヒモ状の網)を開発する日東製網です。同社は漁業用網のトップメーカーですが、無結節網技術を生かしてゴミを回収する技術を研究しています」

投資情報会社ラカンリチェルカの株式アナリスト、村瀬智一氏も衛星データを活用したビジネスに注目する。

「セコム傘下で空間情報サービスを提供するパスコは、衛星データを用いて物流企業や官公庁などにソリューションを提供しています。また、京都の大手電子部品メーカー、京セラはセラミック部品が『はやぶさ2』で使用されていました。最近は衛星のデータ解析にも乗り出し、ベンチャー企業と協業して『人工衛星による高精度漁場予測サービス』に関する共同研究をスタートさせました」

米モルガン・スタンレーの試算によると、宇宙ビジネスの市場規模は’40年に現在の約3倍の1兆ドル(約109兆円)にまで拡大するという。日本の総合商社もすでに投資を開始している。

「丸紅は子会社の丸紅エアロスペースで宇宙事業を手がけるほか、小型ロケット開発のインターステラテクノロジズとも資本提携しています。三井物産も子会社の三井物産エアロスペースで新たな成長の柱として宇宙事業に注力するほか、米国で衛星ライドシェアサービスを手がけるスペースフライト社を買収して宇宙ビジネスを本格化させています」(フィスコのマーケットレポーター・高井ひろえ氏)

ただし、宇宙関連銘柄は注目を集めたときに一気に上昇する傾向があるので、売買に注意が必要だ。

「宇宙関連の話題が出ると、連想で一斉に買われることが少なくありません。関心がある宇宙関連企業の株価が相場全体の影響で下がったときに買い、株価が一時的に高騰したときに売って利益を確定する。そうした戦術で臨(のぞ)むのがいいのではないでしょうか」(前出・加谷氏)

表に挙げた銘柄も参考にしてほしい。

国際宇宙ステーションで、日本人宇宙飛行士同士で仕事を引き継いだ野口聡一氏(右)と星出彰彦氏。宇宙を経験した日本人はすでに10名を超えた

『FRIDAY』2021年5月21日号より

  • PHOTO共同

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