今年、不穏な揺れが頻発しているのは 「南海トラフ地震」の前兆か | FRIDAYデジタル

今年、不穏な揺れが頻発しているのは 「南海トラフ地震」の前兆か

緊急レポート 2021年、全国各地で「不穏な揺れ」が頻発している オリンピックを開催している場合なのか……

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5月1日、地震の影響で東北新幹線が運転を見合わせ、JR仙台駅の新幹線改札口は困惑する乗客で混雑した 写真:共同通信
5月1日、地震の影響で東北新幹線が運転を見合わせ、JR仙台駅の新幹線改札口は困惑する乗客で混雑した 写真:共同通信

最近、テレビで地震速報をよく見るようになったと感じている人は多いだろう。それはけっして気のせいではない。 明らかに地震は増えているのだ。 今年1月1日から5月1日までに日本で発生した震度3以上の地震は92回もあった。昨年の同時期は57回である。

東海大学海洋研究所地震予知・火山津波研究部門客員教授の長尾年恭氏が言う。

「日本列島全体で地震活動が活発化しているのは間違いありません。ここ数年は被害地震は少なかったのですが、今年は『地震大国ニッポン』が戻ってきたように感じています。もともと日本では世界の地震の約1割が発生する。いつ巨大地震が起こってもおかしくないんです」

鹿児島県のトカラ列島近海では4月9日から地震が相次ぎ、これまで震度1以上の揺れが250回以上も観測された。

また、5月1日には宮城県沖で震度5強の地震が発生した。この影響で東北新幹線は5時間も運転を見合わせている。

災害リスクマネージメントを専門とする立命館大学環太平洋文明研究センター特任教授・高橋学氏が解説する。

「トカラ列島は一年で3~4回は群発地震が起きる場所ですから、大地震につながることは考えられません。それよりも今、西表島、宮古島、沖縄本島、奄美大島周辺でも地震が起きています。揺れは小さいですが、問題は震源の深さ。40㎞ほどの深さで、海中のプレートの境界に近い位置です。これは『南海トラフ地震』につながる可能性があります。

宮城県の地震は東日本大震災の余震です。今後も岩盤の両端が割れていくイメージで、北方は岩手県、青森県東岸、北海道、北方領土、南方は茨城県、千葉県、伊豆・小笠原で大きな余震が発生する恐れがあります。とくに北海道から北方領土のエリアはM8.5レベルの巨大地震になる可能性があるのです」

トカラ列島や宮城県のほかにも全国各地で不穏な揺れが続いている。

海洋地震学の専門家である東大名誉教授の笠原順三氏は、なかでも4月13日に和歌山県南部で発生した地震に注目する。

「もともと和歌山は地震が多く、その震源が非常に浅い。しかし、最近の地震は普段よりも震源が深く、位置も少し南方です。ここはプレートの境界部分で、『南海トラフ地震』に関係した活動だと考えることができます。

また、この4月には静岡県西部の浜名湖近くの海岸付近でも震源の深さが40㎞弱の地震がありました。これもプレート境界付近で、’44年に発生した昭和東南海地震(M7.9)の時に、前兆的に地震活動があった場所になります」

たしかに今年、南海トラフの周辺エリアである紀伊水道(瀬戸内海の東口)、和歌山県、愛知県、静岡県にかけて頻繁に地震が起きている。これらは南海トラフで巨大地震が起こる「予兆」なのか。

「南海トラフ周辺のプレートの境界に歪(ひず)みがたまっていることがよくわかります。簡単に言うと跳ね上がる前にその周辺がバリバリと割れている状態です。あとはどこが震源となるのかが問題。紀伊水道なら南海地震、静岡・愛知なら東海地震、三重県なら東南海地震となる。

これらがタイムラグで次々に起こる、あるいは一斉に起こることもありえます。さらに言えば南海トラフ同様にフィリピン海プレートに圧縮されている相模トラフも一緒に動く可能性があり、そうなれば南海トラフ地震と関東大地震が同じタイミングで発生し、M9を超えるような巨大地震となってしまうでしょう」(前出・高橋氏)

政府の中央防災会議の発表によれば、南海トラフ地震が発生した場合、最悪約32万人の死者が出ると想定している。鹿児島大学の井村隆介准教授(地質学)はこう警鐘を鳴らす。

「南海トラフ地震は100~150年の間隔でこれまで起こってきました。昭和南海地震(M8.0・紀伊半島沖)から80年近くが経過していますから、明日起こってもおかしくない状態だと知っておいてほしい」

もちろん、南海トラフ地震だけでなく、活断層が原因となる『直下型地震』も忘れてはならない。前出の長尾氏が言う。

「伊豆半島沖で群発地震が発生するなど、今は首都圏直下型を警戒するべきです。歪みがたまっているのに、最近は神奈川や東京で地震が起きていないことも怖い。嵐の前の静けさのように思えます」

巨大地震は確実に迫っている。もし東京五輪の開催期間に発生したら……考えるだに恐ろしい。

『FRIDAY』2021年5月21日号より

  • 写真共同通信

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