放送55周年でも『ウルトラQ』『ウルトラマン』が魅力を放つ理由
『ウルトラQ』(1966年1月〜)、『ウルトラマン』(66年7月〜)。そして最新作『ウルトラマントリガー』(2021年7月〜)。
誕生以来、55年にわたって我々を魅了し続けるウルトラマンシリーズの「面白さ」の秘密は何なのか? 新旧の円谷プロ作品を豊富な写真で特集したムック「ウルトラ特撮マガジン」VOL.2(21年5月24日刊行)の担当編集者が、同ムックに掲載された写真やエピソードを元に熱く解き明かした。
ウルトラマンシリーズがスーパーコンテンツでいられる秘密

1966年に『ウルトラQ』『ウルトラマン』の放送が始まってから55年。ウルトラマンシリーズは誰もが知っていて、さらに今も新作が作られ続けている人気シリーズです。
半世紀以上におよぶウルトラマンシリーズが人気を保っていられる秘密とはいったい何なのでしょうか。
それは原典であり、今見ても面白さに陰りが出ることがない、この2作品の中に隠されています。
『ウルトラQ』『ウルトラマン』の魅力とは何かを探ることで、ウルトラマンシリーズの人気の秘密に迫っていきましょう。
怪獣出現! 都市破壊は特撮の醍醐味
まずは、もちろん登場する怪獣の素晴らしさです。
『ウルトラQ』のガラモンや『ウルトラマン』のバルタン星人は、ウルトラマンシリーズの、いや日本の怪獣の歴史でも屈指の人気をほこるキャラクターです。

『ウルトラQ』の放送当時には、その爆発的人気は、映画でしか見られなかった怪獣がテレビで見られるためと分析されたものですが、いやいや、55年が過ぎた今見ても、登場した怪獣たちはそれだけで十分に魅力的です。
それは、アイディア、デザイン、造形、ストーリー、演出、演技、特撮効果などのすべてがひとつになって生み出された生物感や迫力、哀愁、ユーモア等によるものなのでしょう。
街を破壊する怪獣たちの姿は、恐怖とともに自然のパワーそのものを感じさせてくれます。
新作でも昔と変わらぬ輝きを放って、ウルトラマンたちと戦い続けている彼らは、ウルトラマンシリーズの華なのです。
ウルトラマン登場! 3分間の夢の時間
そして2番目は、オリジナリティあふれるヒーロー像です。
『ウルトラQ』では初期の怪獣映画と同じように、怪獣と戦う相手は人間でした。



ナメゴンが塩水に弱いとわかれば大量の塩水を用意し、ガラモンが電波で操られるロボットだと知ればコントローラーであるガラダマから発信される電波を遮断する。
知恵と勇気を使って未知の怪獣や怪事件に立ち向かう、人間たちの姿は感動的ですらありました。
しかし『ウルトラマン』で登場した、見たこともない銀色の巨人・ウルトラマンの与えてくれた衝撃は、それをも上回るものでした。それまでも怪獣同士が対決する映画で、この怪獣が味方であの怪獣が敵という位置づけはありましたし、いざという時に変身して悪と戦う正義の宇宙人も等身大であれば存在しました。

ウルトラマンは宇宙からやって来たヒーローですが、それまでの「宇宙人」というイメージの枠から大きく飛び出したビジュアルと、特撮を駆使して表現されたスペシウム光線をはじめとした超パワーには驚きしかありませんでした。
そして無敵のようでありながら、地上では3分間しか活動できないという縛りによって毎回おとずれるピンチが、さらに子供たちにウルトラマンへの応援の気持ちをかきたてました。
この時こそまさに「ウルトラマン」という、無限の可能性をもった新たな「ジャンル」が誕生した瞬間でもあったのです。
怪獣だけじゃない! あふれるSFの魅力
そして3番目は、SFテイストに満ち、バラエティに富んだストーリーです。
『ウルトラQ』では、旅客機が迷い込んだ謎の空間でのサバイバル、お金が大好きな少年がカネゴンに変身したことでまきおこる珍騒動、あらゆるエネルギーを食らうことで巨大化していく怪生命体の行く果てなどなど。

また『ウルトラマン』では「生命」という概念がわからないというバルタン星人、怪獣と人間のはざまに追い込まれるジャミラの悲劇、ウルトラマンという存在に頼ってしまう人の弱さなど、さらに踏み込んだテーマがぞくぞく出てきます。
海外ドラマではそれまでにもありましたが、日本のドラマで毎週、異なるテーマの優れた読み切りのSF作品が観られる喜びは、これが初めてのものでした。
その楽しさは今でも変わらずに、画面から観る者の心に熱く流れ込んでくるのです。


新作『ウルトラマントリガー』に受け継がれる魂!
こうした3つのポイントは、その後のウルトラマンシリーズにも脈々と受け継がれ、7月スタートの新作『ウルトラマントリガー』でもそのパワーを爆発させています。
サブタイトルとして「NEW GENERATION TIGA」と銘打った本作は、25周年を迎えた大ヒット作『ウルトラマンティガ』の真髄を受け継いだ、「令和版ウルトラマンティガ」ともいえる、しかしまったく新しい物語です。
こうした作り方自体が新たなる挑戦でもありますし、新ヒーロー・ウルトラマントリガーはティガの原点をおさえながらも、初めて見る新時代ならではの物語を繰り広げてくれるでしょう。



Ⓒ円谷プロ Ⓒウルトラマントリガー製作委員会・テレビ東京 「ウルトラ特撮マガジン」VOL.2で魅力再発見!
この『ウルトラQ』『ウルトラマン』『ウルトラマントリガー』の特集を中心とした「ウルトラ特撮マガジン」VOL.2はその名の通り、新旧の円谷プロ作品を、講談社ならではの写真を豊富に使って特集していくという、ライトファンからマニアまで、自分なりの面白さを見つけられるムックです。
VOL.2では他にも『ウルトラセブン』や『恐竜戦隊コセイドン』などの恐竜シリーズ特集、スーパーメカニック大全地上戦力・隊員装備編、俳優・古谷敏インタビューなど、「ウルトラ特撮マガジン」ならではの企画が盛りだくさんです。
ぜひあなただけの楽しさを再発見してください。
こうした円谷作品をもう一度観たい! という方には
ウルトラマンシリーズほか円谷プロ作品を定額見放題で楽しめる!“ウルトラサブスク” TSUBURAYA IMAGINATIONがおすすめです。
取材・文:テレビマガジン 編集部(Y)
日本初の児童向けテレビ情報誌。講談社発行の幼年・児童・少年・少女向け雑誌の中では、『なかよし』『たのしい幼稚園』『週刊少年マガジン』『別冊フレンド』に次いで歴史が長い。1971年創刊。記事情報と付録の詳細は、YouTubeの『キッズボンボン』で配信中。テレビマガジン 編集部