なぜかNPBに少ない「兄弟選手」現役6組の評価と活躍 | FRIDAYデジタル

なぜかNPBに少ない「兄弟選手」現役6組の評価と活躍

大谷翔平の兄、佐野恵太の弟も現役の野球選手!

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オールスターでの兄弟対決! 1969年の第1戦、全パの金田留広(東映)が代打で登場した全セの金田正一(巨人)を内野ゴロに打ち取る

今季4月2日、横浜スタジアムのDeNA-広島戦、広島は1番遊撃手として田中広輔がスタメンで出場し4打数2安打。DeNAは8回から田中俊太が二塁の守りに入り、1四球を記録した。

2人は4歳違いの兄弟。弟の俊太が2018年に巨人に入団してから、毎年兄弟対決が見られたが、俊太は昨年、FAで巨人に移籍した梶谷隆幸の人的補償としてDeNAに移籍、今年も兄弟対決が実現した。

NPBの現役の兄弟選手は以下の6組。

田中広輔(内野手:広島)田中俊太(内野手:DeNA)
東妻勇輔(投手:ロッテ)東妻純平(捕手:DeNA)
アルバート・スアレス(投手:ヤクルト)ロベルト・スアレス(投手:阪神)
髙濱卓也(内野手:ロッテ育成)髙濱祐仁(内野手:日本ハム)
則本昂大(投手:楽天)則本佳樹(投手:楽天育成)
川瀬晃(内野手:ソフトバンク)川瀬堅斗(投手:オリックス育成)

田中俊太は巨人在籍中の昨年までは兄広輔が入団から2015年までつけていた背番号と同じ「63」をつけていたが、DeNAに移籍した今季は「38」になった。

田中兄弟の他に、現役で同じ試合に出場したのは、アルバート、ロベルトのスアレス兄弟だけ。今季はまだないが、昨年は10月19日の神宮球場でのヤクルト-阪神21回戦で兄のアルバートが先発、弟のロベルトが救援で登板している。

なお、ロッテのブランドン・レアードの兄はレンジャーズなどで活躍した捕手のジェラルド・レアード。広島のケビン・クロンの兄は現ロッキーズの一塁手C.J.クロンだ。

外国人選手の例で見てもわかるように、MLBでは兄弟そろって活躍する野球選手は多い。

1920年代から40年代まで活躍した外野手のポール・ウェイナー、ロイド・ウェイナーの兄弟は合わせて5611安打を記録。揃って野球殿堂入り。ともにしぶとい打者だったので兄はビッグポイズン(ポイズン=毒)、弟はリトルポイズンと呼ばれた。

ヤンキースのレジェンド、ジョー・ディマジオは兄のビンセント、弟のドムも外野手として活躍。特にドㇺはヤンキースの好敵手、レッドソックスの外野手として兄ジョーの安打性の飛球を何度もキャッチしている。

昨年12月26日に亡くなったナックルボールの名手フィル・ニークロは318勝した大投手。殿堂入りしているが、弟のジョー・ニークロも221勝している。

現役でもマリナーズのチームリーダー、内野手のカイル・シーガーはドジャースの内野手で2016年新人王のコーリー・シーガー、2020年8月17日のマリナーズ、ドジャースのインターリーグ(交流戦)では、兄弟そろってホームランを打っている。最近は弟のコーリーの活躍が目立ち、兄のカイルは「コーリーの兄貴」と呼ばれるようになっている。

またキューバ出身のユリ・グリエルはアストロズの主力打者、弟のルルデスはブルージェイズで活躍している。ともに一時期DeNAに在籍した。

カーディナルスの大捕手、ヤディアー・モリーナの兄、ベンジー、ホセはともに正捕手としてMLBで活躍。「モリーナ3兄弟」は、故国プエルトリコでは野球少年のあこがれの的だ。

このようにMLBでは兄弟選手の活躍は枚挙にいとまがないが、NPBでは兄弟選手は少なくないものの揃って活躍したのはそれほど多くない。

ミスタータイガース藤村富美男は三塁手として首位打者1回、本塁打王3回、打点王5回、MVP1回を獲得したが、5歳下の藤村隆男は投手として阪神、パシフィック、広島で135勝を挙げている。

大沢清は戦前、戦後を通じて名古屋、大洋、広島などで一塁手として活躍。3割を2回マーク。引退後は母校國學院大の教授になった。15歳下の弟昌芳は、南海で守備範囲の広い外野手として活躍。のち大沢啓二と改名。引退後は指導者、解説者として活躍。「大沢親分」と呼ばれたのは記憶に新しい。

巨人のスター遊撃手として活躍した広岡達郎4歳年上の兄、富夫は、広島県庁から広島カープに入団した異色の内野手。1955年から4年間は正三塁手として活躍。弟達郎とセ・リーグの試合で何度も対戦している。

国鉄、巨人で史上最多の400勝を挙げた金田正一13歳年下の弟、金田留広は東映、ロッテ、広島で128勝。1974年には兄正一が監督を務めるロッテで16勝で最多勝、兄が取ることができなかったMVPも獲得している。

西武ライオンズの松沼博久、松沼雅之兄弟は1979年揃って西武に入団、兄博久は112勝、4歳下の弟雅之は69勝。松沼兄と松沼弟は草創期の西武投手陣を背負って立った。

最近では広島、阪神で活躍し2000本安打を達成した新井貴浩と、中日、阪神で活躍した新井良太は6歳違いの兄弟。ともに右打ちの大型内野手。2011年から14年はチームメイトだった。

兄弟ともに規定投球回数に達した例はいくつかあるが、野手で兄弟ともに規定打席に到達した例は、戦後では、捕手、内野手として活躍した野口明と、弟で投手、内野手の二刀流で活躍した野口二郎の兄弟、ともに内野手として活躍した巨人の河埜和正、南海の河埜敬幸の兄弟、揃ってロッテの主軸打者だったレロン・リー、レオン・リーの兄弟の3組だけだ。

なぜ日本では兄弟が揃って活躍する例が少ないのか?

一つは、兄が厳しい練習、競争を勝ち抜いて一流の選手になるのを見て、弟が同じ道を行くのを敬遠することが多いからだとされる。また兄と比較されるのを嫌って、違う道を行くことも多いと言われる。

MLBでは成功した兄が弟に野球を勧めることが多いと言われるが、文化の違いだろうか?

実は、今を時めくスター選手の中にも兄弟選手がいる。昨年の首位打者DeNA佐野恵太2歳下の佐野悠太も兄と同じ広陵高、明治大で外野手として活躍。その後は独立リーグ信濃でプレーしたのち現在は日立製作所でプレーしている。
またエンゼルスの大谷翔平6歳年長(学年は7つ上)の兄、大谷龍太は2010、11年と独立リーグ高知で外野手としてプレー、今はこれも社会人のトヨタ自動車東日本でプレーしている。

金田正一と留弘の兄弟は、兄が左腕、弟が右腕だったが、マウンドで肩を怒らせてのっしのっしと歩く様はそっくりだった。当代の田中広輔と田中俊太の兄弟も、打席での構えや雰囲気がそっくりだ。

兄弟選手は野球好きには、いろんな感興を抱かせる。もっと増えてほしいと思う。

  • 広尾 晃(ひろおこう)

    1959年大阪市生まれ。立命館大学卒業。コピーライターやプランナー、ライターとして活動。日米の野球記録を取り上げるブログ「野球の記録で話したい」を執筆している。著書に『野球崩壊 深刻化する「野球離れ」を食い止めろ!』『巨人軍の巨人 馬場正平』(ともにイーストプレス)、『球数制限 野球の未来が危ない!』(ビジネス社)など。Number Webでコラム「酒の肴に野球の記録」を執筆、東洋経済オンライン等で執筆活動を展開している。

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