パンの定額サービス「パンスク」がお値段高めなのにウケる理由 | FRIDAYデジタル

パンの定額サービス「パンスク」がお値段高めなのにウケる理由

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全国各地の美味しいパン屋から、独自の技術で冷凍された焼きたてパンが月に1回自宅に届く

定額料金でモノや機能を利用できるサービス「サブスクリプション」が一般的になる中、全国のパン屋から美味しいパンが自宅に届く、パンのサブスクリプションサービス、その名も「パンスク」が急成長している。

料金2900円(税抜き)+パンの旅費(冷凍送料・税抜き)780円で毎月1回、冷凍された焼きたてパン8個前後が自宅に届く。

長引く緊急事態宣言下、今年に入り、1日あたりの新規登録者数が昨年12月の5倍にもなったというそのサービスとはどんなものなのか?

「それまでは『パンフォーユーオフィス』という企業向けサービスのみを展開していたのですが、ちょうど最初の緊急事態宣言直前の2020年2月に個人向けサービス『パンスク』をスタートさせたことは、偶然とはいえとてもタイミングが良かったと思っています。旅行に出られなくなったパン好きのお客様にとっても、来店客が激減したパン屋さんにとっても」

と語る、株式会社パンフフォーユーの代表取締役・矢野健太氏に話をきいた。

ーー従来も、地方のパン屋が焼きたてのパンを冷凍して送ってくれる「お取り寄せ」的なものはあったと思いますが、このサービスは何が違うのでしょうか?

矢野健太氏(以下、矢野氏) 「実際に、瞬間冷凍機を導入してパンを冷凍発送するパン屋さんもほんの一部いらしたのですが、初期投資がどうしても高くついてしまうのでそれほど多くはなかったのです。

私たちが開発した冷凍技術は、特殊な袋を使用していて、手順さえ守れば特殊な機械は必要なし。普通の冷凍庫さえあればどんなパン屋さんでも全国に自慢のパンを届けることができる、というのが大きな特徴です」

ーーでは、あの袋が特別なものなんですね。

矢野氏 「そうです。通常パンには利用しないような、品質も単価も高いものを採用していて、パン屋さんがもともと使用している冷凍庫もしくは家庭用の冷凍庫でも対応可能なのです」

パンと一緒にオリジナルのショップカードも届く。保管しておいて、コロナ禍終息後にはまだ見ぬ遠いまちのパン屋へ足を伸ばしたくなる

ーー入会すると1ヵ月に1回パンが届くということですが、毎月決まった日に配送されるのでしょうか?

矢野氏 「『毎月何日』と固定されるわけではなく、ざっくり1ヵ月間隔でお届けするという仕組みで、パン屋さんそれぞれの事情やタイミングを考慮したいという、かなりパン屋さん寄りの設計になっています。

出荷予定の1週間ほど前にお客様にメールが送られ、双方の都合を確認した上でパン屋さんから出荷していただきます」

ーー現在、30店舗のパン屋と提携されているようですが、提携先はどのように選出しているのでしょうか?

矢野氏 「まずはパンを会社に送っていただき、すべて社内で試食会をして審査しています。選定のポイントはまず味。もう一つは、店舗数が少なくて、なかなか出会えないパン屋さんであるということ。チェーン店などではない、いわゆる『まちのパン屋さん』が中心になります。

そういった個人経営のパン屋さんは、たいていパン製造のお仕事が忙しく、情報発信する時間も人手もないことが多いのです。ですから、弊社が電話取材などでお店の成り立ちやこだわりなどをお聞きしてお客様に伝える、広報の役割も担おうと思っています」

ーー確かに、パンと同梱されてくるショップカードや、「パンスク通信」というリリースで紹介される提携先のバックグラウンドは、読みごたえがあり、パン好きには興味深い内容が多いです。

矢野氏 「美味しいパンを作っている方々には、クリエイター気質やアーティスト気質で、いい意味でこだわりが強い職人さんが多いので、面白いストーリーもたくさんお持ちです。それを広くお知らせしたいのと、何より、彼らには極力パンを作ることに集中していただきたいという思いがあります。

ショップカードもこちらで統一して作っているのですが、ロゴデータをお持ちでないお店も多いので、こちらでスキャンしてデータに起こして差し上げることもあるんですよ。パンの袋に貼ってある成分表示のラベルも、弊社で制作しています」

ーーそれは個人経営のパン屋さんにとっては心強いですね。パンスクの、毎回どの店からパンが届くかわからないワクワク感は魅力ですが、一方で、気に入ったお店のパンをもっと食べたいときもあると思うのですが…。

矢野氏 「そういったお客様には、『リピ買い』というサービスがあり、そちらで同じパン屋さんのパンスクをお買い上げいただくことが可能です」

ーーパン好きの方々から支持を集める一方、web上の評判を見ると、「値段の割にパンの量が少ない」という意見も散見されるのですが、どう受け止めていらっしゃいますか?

矢野氏 「確かに、値段を理由に退会される方もいらっしゃいますが、基本的に『日本各地のまちのパン屋さんのパンを食べられる』というコンセプトに賛同した方が根強く残ってくださっています

ーー確かに、自分で遠方のお店まで足を伸ばして買うことを考えたら、パン好きにとって780円は高くないですよね。

矢野氏 「そうなんです。『パンの旅費』という表現には、遠くの、まだ見ぬ美味しいパンと出会う楽しみという思いを込めています。

実際に提携先のパン屋さんを訪ねると、駅からかなり遠かったり、通常の旅行だと決して足を伸ばさないほどの遠隔地だったりするので、リアルパン屋巡りと比較すればかなり効率的だと思います」

ーーいま日本では、パン食自体は増えているのにパン屋の数は減少していると聞きます。

矢野氏 「パン屋さんの仕事はたいへん重労働なので、高齢者にはきつく廃業ペースが早いということと、学校給食への卸しを担っていた昔ながらのお店が、少子化で廃業に追い込まれることも多いようです。

そんな中で私たちは、『パン屋さんのパン』をより多くの人に、いろんな形で、美味しくお届けしたい。誰でも簡単にパン屋さんが始められる『ゴーストベーカリー』という開業支援サービスを昨年12月から進めているのも、どこででも手軽に、しかも手頃な価格で美味しいパンを、という思いからです」

子供の頃からラーメン屋巡りをし、学生時代には洋食屋巡りにも熱心だったという矢野氏。「とにかく美味しいものを食べたい」という熱い思いと、「地域経済に貢献する」という、社会に出てからの大きなビジョンが結実し、いま時代の追い風に乗っている。

株式会社パンフフォーユー代表取締役・矢野健太氏

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