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今すぐ始める!絶対に損をしないための「相続対策」

キーワードは「二次相続」「生前贈与」「家族信託」「墓じまい」 親はいつか必ず死ぬ。だから―― 少額の遺産であっても誰でも相続手続きが必要

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少額の遺産であっても誰でも相続手続きが必要

親が死ぬ前にやっておきたいこと

「相続対策」と聞くと資産が多い富裕層や、死後も収入が期待できる作家や有名人だけに必要なことと思うかもしれない。しかし、相続は特別な手続きではなく誰にでも起こり、必要な対策を講じておかないと面倒なことが自分に降りかかってくる可能性がある。

たとえば、銀行に預けている預金や証券口座にある株や投資信託は、相続が発生したことを申し出て、解約や名義変更をしないと現金化することができない。親が住んでいた自宅を相続したら名義変更の登記をしないと、売却できないだけでなく、’24年度からは10万円以下の過料の対象にもなる予定だ。

こういった手続きをする際に、どこの金融機関に資産があるのかわからなかったり、自宅の名義は会ったこともない曾祖父のままだったりしたら……。必要な手続きをするだけでも、複数の書類を揃えて窓口へ出向くなどの手間がかかる。親の資産の基本情報がわかっていないと、相続のスタートラインにすら立てないのだ。

まずは、以下の3点を確認することから始めよう。親が高齢になる前で、早過ぎると思うくらいの時期のほうがむしろ話しやすいはずだ。

相続は2回発生するので税金対策は合計で考える

相続人が困らないようにするためには、生前に「財産目録」を用意しておいてもらうのが理想だが、現実的にはなかなか難しい。そこで活用したいのがエンディングノートだ。財産目録だと大げさな印象を覚える人でも、自分のこれまでの人生を振り返るようなものならば書いてくれるのではないだろうか。

市販のエンディングノートには、プロフィール的なことはもちろん財産や資産、親しい友人や知人、医療や介護の内容など多岐にわたる項目が用意されている。本人にとっては人生を振り返るいい機会になるし、遺(のこ)される家族にとっては相続発生時に役立つ情報が満載だ。親がエンディングノートを書いてくれれば、上記の「事前にやるべきこと」は、かなりの部分をカバーできる。

相続対策の第一歩である情報収集ができたら、相続税の支払い有無を確認しよう。相続税の基礎控除額は「3000万円+600万円×法定相続人の数」だから、相続人が配偶者と子ども二人の場合、相続財産が4800万円以下なら相続税の納付は不要。相続財産の中で一番大きいものといえば、多くの人が土地だろう。国税庁の路線価図(下コラム参照)で評価基準を確認して、基礎控除額を上回っていたら相続税への対策が必要になる。

相続は、父の死亡時と母の死亡時の2回発生するのが一般的だ。1回目を一次相続、2回目を二次相続と呼び、相続税対策はこの2回を併(あわ)せて考えることで、有効な対策を講じることができる。

一次相続では配偶者が遺されているため、税額控除や特例を活用することができる。ところが配偶者がいない二次相続ではそれらを使えないため、課税価格に応じた相続税を納付しなくてはいけないケースが多くなる。一次相続で配偶者が財産のすべてを相続する例も多いが、それによって合計の納税額に大きな差が生じることもあるのだ。

下図の例で説明しよう。一次相続時の課税遺産総額は3200万円だが、配偶者がすべてを相続すると配偶者控除の適用で課税されない。しかし二次相続では課税遺産総額が3800万円となり相続税額は470万円となる。これに対して一次相続時に法定相続割合通りに相続すると、子どもたちはそれぞれ87.5万円の相続税を納付する必要があるが、二次相続では基礎控除額を下回るので納税不要。比較すると295万円もの差が生じる。

もちろん、実際には相続財産が同額というケースは少ないだろうからここまでの差は生じないはずだが、相続税対策はトータルで考える必要がある。

ここだけは押さえておきたい「節税のツボ」

事前の相続対策で「争族」も避けられる

相続財産のほとんどが実家でも、評価額によっては相続税を支払う必要がある。また相続税の対象にならなくても、兄弟がいる場合は法定相続割合通りに分けることが難しく、揉(も)める可能性もある。

実際、’19年度の司法統計によると、遺産分割で裁判になった件数は1000万円以下が約33%、5000万円以下が約42%。なんと4分の3は、相続税がかからないはずの相続財産で裁判沙汰になっているのだ。

相続対策のひとつが「財産そのものを減らす」という方法。時間に余裕があるなら贈与税の基礎控除110万円を活用して、毎年コツコツ贈与を行う「暦年贈与」が有効な作戦のひとつだろう。

相続財産のほとんどが実家=不動産で、相続が発生したら分割方法で揉める可能性がある場合は、親が不動産を相続する相続人を受取人にした生命保険に加入するという方法もある。掛け金で財産を減らすことができるだけでなく、不動産の相続人は保険金をほかの相続人に支払う代償金に充てることができる。

ほかにも、住宅取得等資金、結婚・子育て資金といった特定の目的のための贈与には非課税の制度があるので、タイミングが合えば検討してみる価値はある。いずれにしても相続対策は、親の老後の生活資金などのライフプランと併せて考えることが欠かせない。

1 暦年贈与する 時間をかけることで非課税のメリットを享受

相続発生までに時間がたっぷりあるのならば、被相続人(親)が自身の資産状況を見ながら贈与することができる暦年贈与がおすすめだ。暦年贈与とは贈与を受ける人ひとりについて年間110万円に設定されている贈与税の基礎控除を利用して、非課税で贈与を行う方法。110万円以下なら金額は自由に決められ、年数にも規定はないので、状況に応じて無理なく贈与することができる。

また110万円というのは贈与を受ける側の制限で贈与をする側にはないため、たとえば子ども二人に10年間の暦年贈与をするとトータルで見れば最大2200万円というまとまった金額を非課税で贈与できる。

暦年贈与で注意したいのは、贈与する側と受ける側、双方の意志の合致がなくては成立しないということ。契約書がなく口約束だけでも贈与は成立するが、振り込み履歴など第三者にもわかる客観的な記録がほしい。

銀行口座に振り込めば十分な証拠になるのではと思うかもしれないが、受ける側が幼い孫だったり、贈与する人が通帳や印鑑を保管していたりすると認められないこともある。そうなると贈与する側の財産は移動していなかったとみなされ、相続財産に加算されて相続税の課税対象になる場合も。

相続税の税務調査で指摘されると、申告漏れとされて追徴課税の対象になる。回避するためには贈与するたびに贈与契約書を作成したり、振り込み口座の通帳は受ける側が管理して自由に利用できる状態にしたりするといい。

2 生命保険を利用する 法定相続人の数×500万円の非課税枠が節税につながる

生命保険は万が一に備えるだけでなく、相続対策としても活用できる。①保険料を支払うことで資産を減らせる、②死亡時に現金(死亡保険金)を受け取れるので納税資金や代償金として使える、③受取人を指定できるので特定の人に財産を残せる、④法定相続人の数×500万円の非課税枠があるので節税になる、といったメリットがあるのだ。

また親が生前に現金が必要になったときは、解約して解約返戻金(へんれいきん)を受け取ることもできる。ただし、一定期間が過ぎないと元本割れをして大きく目減りすることもあるので要注意。死亡時まで使う予定がないお金で加入するのが基本だ。

では、どのくらいの相続対策になるのか下図で具体的に見ていこう。死亡保険金は受取人のものだが、みなし相続財産として相続財産に加えなくてはいけない。しかし非課税枠があるため、相続財産からその分を引いた相続税の課税額は1000万円も減らすことができ、相続税額は150万円の節税になる。

3 その他の贈与等を使う 住宅取得や結婚などには贈与の非課税制度がある

非課税で贈与を受けられる特例を使って、相続対策を行う方法もある。そのひとつが「住宅取得等資金の贈与特例」。’21年12月31日までに購入(契約)すると、一般住宅は1000万円、省エネなどの長期優良住宅は1500万円まで非課税で贈与を受けられる。

この特例を利用するには贈与する人、受ける人、住宅の床面積や建築時期などさまざまな要件があり、加えて資金贈与、居住開始、申告手続きのタイミングにも注意が必要だ。資金贈与を受けるのは居住開始前、居住開始は原則として贈与を受けた年の翌年3月15日まで、贈与税申告書は居住開始と同じで贈与を受けた年の翌年3月15日までに、居住地を管轄する税務署に届け出なくてはいけない。

家を買わず、親の生前に実家に同居すると、「小規模宅地」特例が適用され、宅地の評価が8割減になるという技も。

また’23年3月31日までの期間限定で、結婚式などの資金は最大300万円、子育ての資金も含めると合計1000万円までの贈与が非課税になる、「結婚・子育て資金の一括贈与特例」がある。

高齢の親の財産管理法「家族信託」に注目!

現金なら信託銀行に不動産ならプロに相談

親が認知症になると、本人名義の預金口座のお金を引き出せなくなるばかりか、自宅や保有アパートなどの不動産を売ったり、貸したりもできなくなる。

そこで判断能力があるうちに、本人が委託者となり、財産を信頼できる親族(受託者)に託し、親族の判断で財産を管理したり処分したりしてもらう「家族信託」の仕組みが注目されている。

家族信託は現在から将来に向かって、自分の財産をどう管理してほしいかを決める手続きだ。財産を持っている本人と家族が話し合って全員が納得する方法を選べる。生前の財産の使い方を指定できるだけでなく、相続時に誰に財産を残したいかも決められるので、相続争いを未然に防げるメリットもある。

「信託」というと信託銀行が関与するイメージだが、信託銀行が取り扱う関連の商品は現金管理サービスが主流。「金銭信託」という金融商品を利用する形だ。

たとえば、Aさんが800万円を信託銀行に信託する。その際、相続発生時に妻に300万円を一時金として、残りは毎月5万円ずつ、同居している娘が受け取るというように使い方を指定できるわけだ。死亡すると相続手続きが終わるまで、預金口座が凍結されるのが一般的だが、このサービスを利用すれば即日現金を受け取れる。口座管理手数料は無料だが、金銭信託の運用益は受け取れない。

これが自宅やとくにアパートなどの事業用不動産となると、信託銀行などでパッケージ商品の取り扱いはなく、司法書士や弁護士などの専門家に相談して、家族間でオーダーメイドの信託契約を取り交わすことが多い。親が事業用不動産を保有している場合、認知症になると、その不動産の売却や新しい賃貸人との契約もできなくなる。そのため、子どもなどの親族と家族信託を結ぶことは一つの解決策になる。

ただし、信託契約は公正証書にしておくのが一般的で、公証人手数料や専門家への報酬が必要となる。その後、不動産の「所有権移転及び信託」の登記申請をするが、この際も登録免許税がかかる。不動産の家族信託は手間も費用もかかるというわけだ。

親の墓は相続したくない! 「墓じまい入門」

まずは墓を管理している寺院の住職に相談しよう

財産の相続は避けられないが、墓の相続は勘弁してほしいという人は多いだろう。とくに遠い田舎にある先祖代々の墓を引き継ぐと、檀家(だんか)としてお布施(ふせ)を払ったり、定期的な法要への参加などを求められたりすることも。親が元気なうちに、「墓じまい」を相談したい。

墓じまいには、「改葬」「墓終(じま)い」の2種類がある。通いやすい場所に永代供養墓などを購入し、墓を移動させるのが「改葬」。古い墓を更地化し、遺骨は寺院内の永代供養墓に移動する、または業者などに依頼して散骨するなどして、墓自体を解体してしまうのが「墓終い」だ。

いずれの場合も、寺院が管理している墓の場合、住職の了承を得なければならない。墓じまい代行サービスなどを利用して手続きを任せる手もあるが、寺院との交渉は対象外。墓じまいすることは、菩提寺(ぼだいじ)と檀家の関係を断つことでもあり、交渉に時間がかかったり、法外な離檀料を請求されたりすることもある。しかし、そこは丁寧に事情を説明して、先方に納得してもらうしかない。

改葬する場合、どこに墓を移動するのかも重要。跡継ぎがいなくても生前に購入できる永代供養墓は選択肢のひとつだ。墓地には下表のように3種類あり、どこも永代供養墓を提供している場合がある。料金面で割安なのは圧倒的に公営霊園だ。通常、生前予約はできないが、樹木墓などに限り生前予約を受け付ける。ただし、当選倍率は何十倍と難関だ。

墓じまいの手続きは下図の通り、改葬の場合は許可証の入手が必須。その際、元のお墓の管理者の署名が必要だ。

『FRIDAY』2021年5月28日号より

  • 取材・文酒井富士子(回遊舎)、鈴木弥生監修中村麻美(行政書士)デザイン村上麻妃

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