ALS嘱託殺人・山本直樹容疑者のヤバすぎる「文書偽造」疑惑 | FRIDAYデジタル

ALS嘱託殺人・山本直樹容疑者のヤバすぎる「文書偽造」疑惑

実はフィリピンでクリニックを開設した際にも……

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「殺害予告」を偽造…?

彼らにはそもそも「偽造癖」があったようだ───。

ALS(筋萎縮性側索硬化症)の女性患者を殺害したとして昨年7月、嘱託殺人容疑で逮捕された医師の山本直樹容疑者(43)と大久保愉一容疑者(43)のことである。山本容疑者は、この女性患者の病歴や病状などを記した英文の診断書2通を偽造し、署名欄に別人の医師の名前を書き入れていたという。

2011年に父親を殺害したとして今月12日に逮捕された事件では、父親の死亡診断書に無関係の医師の氏名などを記入し、偽造した疑いが強まっている。

彼らの「偽造」はそれだけにとどまらなかった。山本容疑者が2018年、フィリピンでクリニックを開業した際にも、現地の日本人から「殺害予告」を受けたとして、英文の文書を「偽造」した可能性が浮上しているのだ。

ここに1通の文書がある。

2019年1月14日に、東京都千代田区の公証役場で作成された宣誓供述書だ。署名蘭には山本容疑者と一緒にフィリピンでクリニックを開業した別の日本人医師の名前が記されている。英文なのは、フィリピン政府官庁に提出する目的があったとみられる。

東京都内でED(勃起不全)治療専門のクリニックを開設していた山本容疑者は18年7月、フィリピン中部のリゾート地、セブ島で日本人向けにクリニックを開設した。自身は理事という立場でクリニックの運営に携わり、実際に医療行為を行うのはもう1人の日本人医師で、供述書の署名者だった。

クリニックは「セブ・ジャパニーズ・クリニック」と名付けられ、レントゲンをはじめ、CT・MRI、超音波検査、内視鏡検査、人工透析など高度な医療設備が整っていた。入院施設はないが、外来通院で可能なほぼすべての医療が提供できると謳い、人間ドックも受け付けていた。何よりも、セブ島で初の「日本人医師常駐」が最大の売りで、クリニックは大々的に宣伝された。約3000人いる在留邦人にとっても、日本人の医師の存在は生活をする上で心強かった。

ところがである。

山本容疑者ともう1人の常駐医師に、フィリピンで医療行為ができる資格を所持していない疑いが浮上したのだ。現地で医療支援を実施する日系企業の担当者が振り返る。

「山本さんのクリニックから業務提携したいという話を持ち掛けられました。そこで、フィリピンで医療行為ができる資格を提示するようメールで伝えましたが、返信がありませんでした」

フィリピンの国内法では、フィリピンの医師免許を有していない外国人医師による医療行為は禁じられている。つまり山本容疑者のクリニックは、違法に運営されていた可能性があったということだ。

山本容疑者にとっても、海外旅行保険の手続きをスムーズに行うため、日系企業との提携は必要だった。しかし、相手の条件を満たせず、提携が実現しなかったために厳しい運営を迫られた。

在留邦人たちからは「診療費が高い」と言われ、やがて患者が来なくなる。結局、開業したわずか半年後の同年12月、閉鎖に追い込まれた。

東京都千代田区の公証役場で供述書を作成したのは、その直後のことだ。

英文で2枚の供述書には、クリニックに常駐していた日本人医師の体験談として次のように書かれている。

「2018年9月30日、私のところに(日系企業の)A氏が近づいてきて、こんな話をしてきました。『私はあなたのビジネスが違法であることを政府当局に報告する。もしセブ島でのビジネスを止めなければ、我々はあなたと家族に危害を加える可能性がある。○○○○(日本人女性の名前)と同じ運命を辿りたいのか?』。

私と家族は身の安全を考えてすぐにフィリピンを出国しました。以降、眠れない日々が続き、精神的な苦痛を受け続けています。弁護士に相談の結果、A氏の行為はフィリピンの刑法第282条『重大な脅迫』に違反したとして罰せられるべきです」

供述書に登場する日本人女性とは、2018年8月、セブ島で射殺された家具製造会社の社長のことだ。事件は脅迫があったとされる1ヶ月前に起きたばかりで、A氏はこの事件を引き合いに出し、日本人医師に「お前も同じ運命になるぞ」と迫った…というのが、彼らの証言だ。

しかし、A氏が勤める日系企業の担当者に問い合わせると、脅迫は「寝耳に水」で、供述書の内容を全面的に否定した。

「そんな脅迫なんてしないです。そもそも脅迫する理由がありません。ただ、提携を断ったことが納得いかなかったようですね」

クリニックと日系企業は競合関係にあったため、ビジネスをめぐって何らかのトラブルに陥ったとみられる。

その発端になったのが、医療行為に必要な資格の有無で、日本人医師は所持していないとして、日系企業から「違法な医療行為」を告発される可能性があった。クリニックの再開を望んでいた山本容疑者にとっては、告発への動きを阻止したかった。このため、相手が同じフィリピンの国内法に違反したことを示す書類を「偽造」し、日本の公証役場で作成したのではないだろうか。

真偽を尋ねるために、山本容疑者と共にフィリピンでクリニックを開設した件の日本人医師に直撃した。彼は現在、日本の地方病院で勤務している。

医師は、山本容疑者と一緒に公証役場に行ったことは認めたが、供述内容の事実関係を確認すると、こんな言葉が答えが返ってきた。

「あれですけど、えっと(クリニックを)止めるに当たって、止める理由を示す意味で、ああいう文書を作ってくれと山本氏からお願いされて作っている。内容に関しては大げさなところもあるかもしれないですけど、大筋はああいう流れっていうところはありました」

きっぱり否定した日系企業とは対照的に、歯切れの悪い答えだ。どのような脅迫を受けたのかの詳細については「お答えする気はありません」とバツの悪い表情を浮かべた。

日本公証人連合会は、宣誓供述書についてホームページで次のように説明している。

「法廷外で公証人その他宣誓を司る者の面前で宣誓した上、記載内容が真実であることを確約し、署名したものをいい、英米両国をはじめ多くの国で使われています」

自身の父親の死亡診断書にまで偽造の疑いが持たれている山本容疑者。そんな「偽造癖」のある彼にとって、「真実」とは何だろうか。

  • 取材・文水谷竹秀

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