夢を買うのも株式投資の魅力…今こそ狙う「新規上場株」 | FRIDAYデジタル

夢を買うのも株式投資の魅力…今こそ狙う「新規上場株」

上場時に比べて、『ユニクロ』は約200倍、『ニトリ』は約100倍の株価に

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『メルカリ』が上場したのが、3年前。調達した資金で、スマホ決済「メルペイ」や米国事業など新事業を進める(写真:共同通信社)
『メルカリ』が上場したのが、3年前。調達した資金で、スマホ決済「メルペイ」や米国事業など新事業を進める(写真:共同通信社)

ユニクロを展開するファーストリテイリングが東証2部に上場したのは’97年のこと。この頃、同社の株式は一株500円程度で購入することができた。その後、ユニクロが全国的なブランドに成長し、さらに世界企業になるにつれて株価は上昇し、今年3月には一時11万円を突破。

もし新規上場当時に50万円で1000株買っておけば、四半世紀で1億円以上になった計算だ。マーケットバンク代表の岡山憲史氏が言う。

「34期連続で増収増益を続けるニトリホールディングスが札幌証券取引所に上場したのは’89年で、当時の株価は250円程度でした。昨年8月に2万3000円台となり、新規上場時に比べて実に92倍になっています。

新興市場には投資家がまだ気づいていない、明日のユニクロやニトリが存在していることは間違いありません。そうした企業を探し出して夢を買うのも、株式投資の大きな魅力です」

本誌は今回、新規上場してから3年以内で、今後の成長に期待できる企業に注目。今後5~10年という長期スパンで株価の大きな上昇が見込める銘柄を識者にピックアップしてもらった。

「昨年12月に新規上場したバルミューダは、スチームトースターが大ヒットした新興家電メーカーです。今年11月以降に携帯電話端末を販売することも発表。同社はアップルのように自前の工場を持たず、商品の企画と開発だけを行うファブレスメーカーで、京セラと組んで5G対応スマホを発売する予定です。将来的には日本を代表する家電メーカーになってもおかしくはありません。


I-ne(アイエヌイー)はヘアケア商品『ボタニスト』と美容家電『サロニア』が柱のファブレスメーカーです。外出自粛が継続しているなかにおいて、オンラインストアを通じた販売は好調で、業績は堅調に推移しています」(岡山氏)

ただし、いくらビジネスモデルが優れていようと、それだけでは成功することはできない。ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長しかり、ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長しかり、最後は経営者の力量が問われる。証券ジャーナリストの今野浩明氏が解説する。

「ユニクロは柳井氏が継いだ当時は山口県の洋品店で、ソフトバンクも創業時はパソコン用ソフトの流通業でした。最先端のビジネスモデルでもなければ、他社と差別化できていた事業でもありません。それが日本経済を牽引(けんいん)する企業になったのは、経営者の手腕に尽きます。

同様に、新規上場銘柄を選ぶ際も社長のパーソナリティで選んだほうがいい。かつての柳井氏や孫氏のように、この商品で世界を変えるんだという野心に燃えるような人の会社を選びたいですね」

成長企業は地方にある

こう語る今野氏が注目する社長が経営する企業が、Sun Asteriskとメルカリ、ベースだ。

「Sun Asteriskの小林泰平社長は高校中退後、ホームレスを経験し、クラブの店員からエンジニアに転じた異色の経歴の持ち主。多少の失敗ではめげないガッツがありそうです。

メルカリの山田進太郎社長も米国での事業は成功しているとは言い難(がた)いですが、チャレンジ精神は高く評価したい。孫氏も何度も失敗し、そのたびに蘇ってきたのですから。システムの受託開発を行うベースの中山克成社長は中国の上海出身。自身も中国でSEとして活躍し、同社の4割は中国人スタッフ。日中両国から受注できるのが同社の強みです」

株式アナリストの鈴木一之氏は、実直な経営を好む。経営者がバズワードを多用し、流行のビジネスを追っているような企業は避けたほうがいいと言う。

「新興企業の株価は本来、時間をかけてじっくり上がっていくもの。新規上場時は目立たず、静かに伸びていく会社のほうがいいでしょう。ポイントはまず、有望なビジネスであること。次に地味な会社であること。できることなら、地方発祥のほうがいい。ファーストリテイリングも新規上場は広島証券取引所でした。本当の成長企業は地方にあるのです。

福井県が本社の松屋アールアンドディは、縫製自動機や縫合装置システムの開発を手がけています。エアバッグやシートベルトだけでなく、医療用品やドローン用エアバッグなど、縫製技術を様々な産業に転用する成長シナリオを描く。

大阪が本社のバルテスはソフトウェアの品質に関するテストサービスを提供する企業。従業員を大切にする会社で、そのため派手な数字の業績は出ないのですが、5年先、10年先も着実に利益を出していくはずです」

従来からある課題について新たな解決方法を提示する新規企業に注目するのが、グローバルリンクアドバイザーズ代表の戸松信博氏である。

「携帯各社の通信設備を共用化するサービスを提供するJTOWERに注目です。これまで各社がそれぞれアンテナを設置していましたが、あまりにも非効率。同社がどのキャリアでも使える通信設備を設置し、貸し出す事業を始めたのです。

GA technologiesは、不動産のオンライン取引を可能にしたサイトを運営。対面での取引が当たり前だった不動産業界のオペレーションをITで効率化させることに成功しました」

これまで存在しなかった新しい事業を手がける新規上場企業には、大化けの可能性がある。

「半導体レーザー技術を活用してデバイスを開発するQDレーザは視覚障害者向けのアイウェアを開発。網膜に直接映像を投影することで、視覚障害者の助けになることを目指しています」(投資情報会社ラカンリチェルカ社長の若杉篤史氏)

「健康保険組合の医療データを匿名加工して、ビッグデータとして活用するJMDCはすでにマザーズの主力企業となっています。黒字経営で、東証1部への市場変更も視野に入っている」(フィスコチーフアナリストの小林大純(ひろずみ)氏)

会社の規模が小さく、価格が乱高下するのが新規上場株の特徴だ。一度信じたのなら一喜一憂せずに長期保有したい。

’98年にユニクロ原宿店(写真上)がオープンし、フリースブームを牽引した。ファーストリテイリングは’14年に香港証券取引所に上場
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スチームトースターが大ヒットしたバルミューダは昨年12月に上場した。今年11月にスマホを販売するとも発表
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『FRIDAY』2021年6月4日号より

  • 写真共同、時事通信フォト、AP/アフロ

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