勝ちきれない田中将大…元楽天監督が指摘する「2つの異変」 | FRIDAYデジタル

勝ちきれない田中将大…元楽天監督が指摘する「2つの異変」

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それなりの投球をしているがイマひとつスカッとしない田中将大。投手として過渡期にあるようだ(画像:時事通信社)
それなりの投球をしているがイマひとつスカッとしない田中将大。投手として過渡期にあるようだ(画像:時事通信社)

「攻撃的にいってもいいかなと。ちょっと逃げすぎている」

3対4で黒星を喫した5月15日のオリックス戦後、楽天の石井一久GM兼監督は、こう苦言をていした。捕手の太田光と、先発・田中将大(32)のバッテリーに向けられたコメントだ。田中は7回に、オリックスの吉田正尚から逆転3ランを被弾。日本では、11年ぶりに2試合連続で敗戦投手となったーー。

田中の成績は5月27日現在(成績は以下同)、2勝3敗、防御率2.84。決して悪い数字ではない。だが「バリバリのメジャーリーガー」「優勝請負人」として期待が大きいだけに、少し物足りなさを感じてしまう。

「前回、楽天に在籍した13年は、24勝0敗、防御率1.27という圧倒的な成績。最多勝、最優秀防御率、勝率など、投手部門のタイトルを総ナメにしました。当時のイメージが強すぎて、どうしても『勝ちきれない』という印象を受けてしまうのは仕方ないでしょう。

田中自身も、慎重になっているのかもしれません。何度かケガした右脚を、3月に再び痛めていますから。当初は開幕2戦目(3月27日の日本ハム戦)の登板が予定されていましたが、直前に回避。4月10日(ソフトバンク戦)の先発を目指すも、さらにズレこむことになりました。ムリはしたくないのだと思います」(スポーツ紙担当記者)

8年間で飛躍した打者の質

8年ぶりの日本球界復帰となれば、田中ほどの投手でもスムーズにはいかない。まずボールやマウンドの違いがある。メジャーのボールは日本より大きく、表面が滑りやすい。強く握らないと、低めに制球できないのだ。マウンドも日本に比べ硬いため、しっかり足を踏み込む必要がある。

またメジャーでは中4日が一般的だが、日本では5〜6人で先発ローテーションをまわす。間隔が1週間開くこともあるのだ。これだけ条件が違うと、自然とフォームや調整法も変わってくるだろう。

「田中が『違い』を感じているのは、マウンドなどの条件面だけではないでしょう。打者の質もその1つ。田中がメジャーに在籍した7年間で、日本のプロ野球、特にパ・リーグの打者のレベルはかなり向上しました。5月15日に逆転本塁打を打たれた吉田正尚やソフトバンクの柳田悠岐、西武の山川穂高など、強打者がめじろ押しですから。

田中が全力で投げれば、パの強打者たちをねじ伏せることは可能でしょう。しかし、痛めた右脚に爆弾を抱えている。ムキになってケガが再発したら、元も子もありません。来季は、再びメジャーに挑戦すると言われます。語弊があるかもしれませんが、将来のことを考えれば、ほどほどの結果を残せれば良いのではないでしょうか」(同前)

日米で、これだけの「違い」があり、全力を出さなくても前記の成績を残しているのだ。さすが田中、と言うべきなのだろう。だが、監督として楽天で指揮をとった経験のあるデーブ大久保氏は、「2つの異変」を感じると話す。

「1点目は、カウントの整え方です。豪速球のイメージがありますが、田中は変化球が素晴らしい投手。スライダーやフォークは超一級品です。メジャーではストライクからボールになる球でも、バッターはどんどん振ってきました。バットの先でも、スタンドに放りこんでやろうという意識ですからね。しかし日本の打者は、コースを見極めてくる。カウントを有利にするのに、少し苦労しているのかなと思います。

2点目が、投球スタイルの変化。メジャー球団が10億や20億の金額を出し田中と契約しなかったのは、年間15勝以上あげるのが期待できないからでしょう。決して、田中の実力が落ちたというワケではありません。年齢による変化です。メジャーで7年間もローテーションを守っていれば、疲労が蓄積します。20代の頃のようにバリバリ投げるのではなく、体調と相談しながらマウンドに立っている印象を受けます」

「マー君」と呼ばれファンから愛される田中も、今年で33歳。年齢的に、投手としての過渡期にあるのだろう。8年前の「無双」を投影するのは、酷なのかもしれない。

  • 写真時事通信社

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