軍内部のヤバいセクハラが大問題に…金与正が激怒する性上納の中身
北朝鮮で、女性の兵役義務が本格化しているようだ。
「米国『ラジオ・フリー・アジア』が4月以降、たびたび女性兵士の採用について報じています。女性の兵役義務化は15年ごろから検討され始め、19年4月に実施。今年に入り、ようやく本格化したのでしょう。
背景には、深刻化する兵士不足があります。兵士が減っている理由は、大きく2つある。1つは減少する出生率です。若者の数が減り、定員を満たせなくなっています。2つ目は、海外から批判をあび、短くなった兵役期間。北朝鮮の兵役は9年~10年で、世界でもっとも長いと言われていました。それが15年に7~8年へ短縮。こうした事情から、男性だけでは軍が成り立たなくなったんです」(韓国紙記者)
加害者への報復殺人事件は年間70件
女性兵士が多くなるにつれ、問題が深刻化したのがセクハラだ。上官への性接待は「性上納」と呼ばれ、軍内で常態化しているという。あまりのヒドさに、脱走する女性兵士が後をたたないとされる。
「国際人権NGO『ヒューマン・ライツ・ウォッチ』が18年10月に発表したレポート『北朝鮮での性暴力の実情』では、生々しい性被害が報告されています。軍では常に食糧が不足し、多くの兵隊が栄養失調になっています。若い女性兵士も同様です。男性の上官に目をつけられた女性は、食糧と引き換えに身体を求められているとか。
またエリートコースの朝鮮労働党入党や待遇改善をチラつかせ、『性上納』を強いられることもあるそうです。軍ではこうした事態を避けるため、女性だけの部隊を増やしていますが、あまり効果はあがっていません。
一般女性も被害にあっています。子どもの目の前で母親が数人の保安員に代わる代わる強姦され、未成年の少女が襲われ……。NGOのレポートは、脱北者約60人へのインタビューで作成されています。レポートによれば18年末までの1年間で、加害者への報復殺人事件が70件以上起きたそうです」(同前)
軍の風紀の乱れに、人一倍怒りを感じている人物がいる。北朝鮮の指導者・金正恩氏の妹、与正氏だ。『デイリーNKジャパン』編集長の高英起氏が語る。
「与正氏は、秘密警察を使い不正行為を検閲しています。通常は検閲担当者に金品を渡せば、手心を加えてもらえる。しかし与正氏にはその手が通じない。徹底的に風紀をあらためようとしているため、軍の幹部たちは戦々恐々としているようです。『性上納』を強要した人間は、容赦なく高射砲などで公開処刑するかもしれません」
軍隊の閉鎖的なコミュニティでは、内部から「性上納」被害を告発するのは難しいだろう。若い女性リーダーが大ナタを振るえば、悪習を打破できるかもしれない。
- 写真:AFP/アフロ