井岡一翔激白!ある日突然「シャブ中」にされて | FRIDAYデジタル

井岡一翔激白!ある日突然「シャブ中」にされて

WBO世界スーパーフライ級王者 「こうやって冤罪は作られるのか!?」 JBCからの説明は一切ないまま警察とメディアの追及が始まった……

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「誰も悪くない」「辞任は考えていない」と開き直るJBC幹部に井岡は「本気で謝る気があるのか?」と怒り心頭
「誰も悪くない」「辞任は考えていない」と開き直るJBC幹部に井岡は「本気で謝る気があるのか?」と怒り心頭

その日は突然、やってきました。いつも通り、お昼前に妻と息子が公園に遊びに出かけ、少し遅れて僕もジムへ向かおうとしたら、

「パパ、パパ!」

と、玄関から妻の震える声がしました。慌てて駆け付けると、妻が10人近い警察官に取り囲まれていた。

一瞬、何が起きたのかわからず、「マンション内で殺人事件でも起きたんか?」「気づかんうちに轢(ひ)き逃げでもしとったんか?」と動揺しました。

「奥さんの前で言っていいんですか?」

これが警察官たちの第一声でした。かまわないと伝えると、警察官は僕を睨(にら)みつけるようにして、こう言いました。

「ドーピング検査のために採ったあなたの尿から大麻成分が出たので、令状を持ってきました」

昨年大晦日の田中恒成(こうせい)(25)とのタイトルマッチの際のドーピング検査を指していることはすぐにわかった。だが、警察官が踏み込んできたのは4月6日。この間、試合やルールを統括する日本ボクシングコミッション(JBC)からは何の連絡もなかった。

やましいことは何もないから、自宅も車も全部調べてもらって、警視庁での聴取にも応じました。求められるまま、スマホも預金通帳も提出して、尿検査もしました。捜査に全面的に協力しているのに、僕には5人の警察官がつきっきり。公園に行かせた妻子にまで2人、張り付いていました。完全に犯人扱いです。「このまま、牢屋に入れられるんかな」という不安に襲われ、こんな姿を幼い息子に見せてしまったことに心が痛みました。

結局、その日のうちに帰宅を許され、尿検査もシロ。押収されたスマホや預金通帳も返ってきて、「捜査は終了した」と告げられました。ホッとすると同時に疑心暗鬼になりました。ドーピング検査で、問題があれば、まず本人に連絡。弁明や再検査要請の機会を与える――というのが正当な手続き。警察に通報するのはその後です。ところがJBCは僕の話も聞かず、いきなり警察にリークしている。

釈然としませんでしたが、疑いは晴れたので「世界王者という注目される立場なのだから、細心の注意を払おう」と前を向こうとしました。ところが、次に僕に連絡してきたのはJBCではなく『FLASH』と『週刊新潮』でした。

「ドーピング検査の結果、大麻と覚醒剤の成分が検出された」と追及され、もう笑うしかなかったですね。この時点で当事者である僕が持っている情報はゼロ。なのに、マスコミは尿検査の詳細な鑑定結果を持っている。「こうして冤罪(えんざい)は作られるのか?」と不安で押し潰(つぶ)されそうになりました。もうボクシングはできなくなるのか。今後、どうやって家族を守っていけばいいのか――と。

その後、大麻成分は簡易検査による偽陽性。エフェドリンなどの覚醒剤の成分の検出は、JBCの杜撰(ずさん)な検体の管理によって尿が腐敗したことが原因だと判明。JBCもこれを認め、謝罪したのは周知の通り。

潔白は証明できましたが、今回の事件を境に僕の人生は大きく変わってしまった。これまで街中で視線を感じたら、それは「井岡一翔」に対する好意の目でした。それが疑惑の目に変わってしまった。実際は違ったとしても、そう感じるようになってしまった。何も悪いことをしていないのに、僕も妻も後ろめたい気持ちになってしまった。

妻は身体を動かすのが好きで、同じジムを利用していましたが、ジムには僕のサインが飾ってあるから行きづらくなってしまった。一番つらかったのが、SNSでの誹謗中傷。まだ1歳の息子が「シャブ中の息子」と叩かれたのはたまらなかった……。

身体は正直なもので、これまで経験したことがないほど、背中が張りました。ケアしても全然治らない。とにかく疲れが取れない。妻は酷い肌荒れに苦しんでいました。唯一の救いが息子でした。無垢(むく)な息子と接しているときだけは自分も無になれる。車を運転していても気分が晴れず、赤信号で停まって「はあ……」とタメ息をついたとき――思わず、チャイルドシートの息子に向き直り、その小さな手を握る自分がいました。

JBCの永田有平理事長はオンライン会見で「直接謝罪したい」「(名誉回復のため)HP上で潔白を明らかにしたい」と頭を下げたが、専門家への独自調査でJBCの杜撰な検体管理を暴き出した服部真尚弁護士は「JBCに自浄能力はない」と見ている。

「HPのどこを見ても名誉回復に繋がる記載はなく、『プレスリリース』の中に報道各位宛ての短い詫び文があっただけ。唖然としました」

JBCは亀田大毅の試合でも管理責任を問われて裁判になっており、昨年1月には4550万円の支払いを命じる判決が下っている。井岡陣営が「誠意がない以上、謝罪は受けられない」と態度を硬化させるのは当然だ。

JBC上層部の辞任は最低限。組織を解体し、選手が安心して戦える体制に作り直すしか道はない。今回の事件で敢えてプラス要素を探すなら、4階級王者という発信力や影響力のある僕が被害に遭ったこと。二度とこんな悲劇が起こらないよう動くことが、今後の僕の使命だと思っています。

いおか・かずと ’89年、大阪府生まれ。’19年、日本人初の世界4階級王者に輝く。元2階級王者・井岡弘樹氏の甥
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2度ダウンを奪って8回TKO勝ち。昨年大晦日に行われた田中恒成戦は’20年の「年間最高試合賞」に輝いた
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本誌未掲載カット 井岡一翔・WBO世界スーパーフライ級王者が激白! ある日突然「シャブ中」にされて
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『FRIDAY』2021年6月11日号より

  • 撮影小松寛之 山口裕朗(試合)

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