菅田将暉『コントが始まる』28歳の孤独感が胸を締め付ける魔力 | FRIDAYデジタル

菅田将暉『コントが始まる』28歳の孤独感が胸を締め付ける魔力

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日本テレビプロデューサーと強固な信頼関係で結ばれている菅田将暉。まさに安定の演技力だ

あなたは28歳の頃、どこで何をしていたか、思い出すことができますか?

このドラマは、高校時代にお笑いトリオ「マクベス」を結成した春斗(菅田将暉)と潤平(仲野太賀)と瞬太(神木隆之介)の3人が10年経っても売れずに、解散を決意。30歳を前にして、崖っぷち。何者でもない恐怖と闘い、悪夢にうなされる。

そんな絶望感の中で、なんとか前を向こうとする青春群像劇。ドラマ『コントが始まる』(日本テレビ系)には、「28歳」にしか味わうことのできない苦い思いが詰まっている。

「第7話では最後の地方ライブを終え、これまでホテル代わり使っていた瞬太の愛車シトロエンを売ることを決心。3人で車を洗いながら思い出話をしていると、感極まった春斗が『この車にマクベスの歴史が詰まっている。”4人目のマクベス”だった』といって号泣。

解散が目前に迫り、実家の酒屋を継ぐことになった潤平。バイト先の焼き鳥屋に就職することができる瞬太。しかし二人とは違って不安な心を抱いたまま、春斗は動き出すことができない。そんな孤独感が回を追うごとに観る者の胸を締め付ける。このリアリティは、並大抵ではありません」(制作会社プロデューサー)

この胸を締め付けるほどのリアリティは、一体どこから生まれるのか。菅田将暉はじめ、俳優たちの実力もさることながら、昨年のドラマ『俺の話は長い』(日本テレビ系)で向田邦子賞を受賞した脚本家・金子茂樹の脚本の魅力。そして、菅田将暉と深い信頼関係で結ばれる日本テレビ史上最年少プロデューサー福井雄太の存在も忘れてはならない。

「‘19年ドラマ『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』(日本テレビ系)でもタッグを組んだ福井プロデューサーは、菅田将暉の存在について『自分が伝えたいと思っていることを、最高を超えた形で表現してくれる男』と評しています。また今作についても『現代劇、群像劇としてのリアリティかつ共感や感情のゆらぎは丁寧に描きつつ、エンタテインメントとしてコントから始まるというところのギミック(仕掛け)を持って話題性を喚起しつつ、楽しんで見ていただける作品』と自信のほどを覗かせている。

みずらも『20代後半って特別。すごくいろんな選択が迫られる時期。自分も20代後半っていろんなことを思った』と話す福井。そしてマクベスを演じる菅田・仲野・神木の3人も期せずして28歳。ヒリヒリするようなリアリティは、これらの相乗効果から生まれているのかもしれません」(前出・制作会社プロデューサー)

このドラマは、世帯平均視聴率こそ右肩下がりと揶揄されているものの今、各局が重視しているコアターゲット(男女13〜49歳)では高視聴率をマークしている。

「中高年層の世帯視聴率にこだわるテレビ朝日に対して、日本テレビは生活者ファースト。特に若年層の個人視聴率の強化を図っています。しかも『コントが始まる』は、F1層(20〜34歳の女性)の視聴率もトップと、圧倒的な支持を受けています。スポンサー対策といった点では、大きな成功を収めているといってもいいでしょう」(放送作家)

さらに秀逸なのが、SNS時代を意識した”伏線回収”へのこだわり。”伏線回収”を見つけて、リアルタイムで呟くのも人気の理由の一つとなっている。

「第6話では、餃子パーティに遅れて参加した潤平が足を洗うために風呂場を借りると、浴槽に隠れていた奈津美(芳根京子)が、ウェットスーツ姿で飛び出すサプライズが登場します。実はこれ、前回奈津美に誕生日のプレゼントを渡すために、公園の噴水の中からウェットスーツを着て出てくる潤平のサプライズが失敗に終わったことを知り、”逆サプライズ”を奈津美が仕掛けるという伏線回収。

さらにラストのコントで、女神(瞬太)のキコリ(潤平)に対する『(池に落としたものは)壊れたルンバ』『ずっとあなたについていく』のオチは、潤平の後をついて歩く奈津美に『なんでついてくるの』と呟く潤平のセリフへの伏線回収。その他にも、言葉遊びを入れたら、毎話数々の伏線回収が登場します」(前出・放送作家)

さらにもう一つ、「コントが始まる」の魅力で忘れてはならないのが、マクベスを演じる3人の俳優と同い歳の女優・有村架純の存在ではないか。

「菅田将暉と有村架純は今年1月に公開され、興行収入40億円に迫る映画『花束みたいな恋をした』で共演。ロングランヒットの最中にドラマがスタートしたこともあり、映画館に足を運んだ多くの若い視聴者を獲得することもできました。お笑いトリオも恋愛も『お互いに離れたくない』って気持ちが残っているうちに分かれるから、いろんな記憶が輝いて見える。

このドラマを観ていると、『花恋』の麦と絹のことをやはり思い出してしまう。瞬太と有村演じる里穂子の妹・つむぎ(古川琴音)が付き合い始めた今、中々、次のステップに踏み出せない春斗と里穂子の今後も気になるところですね」(ワイドショー関係者)

福井プロデューサーは、このドラマについて

「“失敗”をしたからこそ出会う人や出来事によって、思い描きもしなかった”未知の幸せ”と巡り合う」

と話している。28歳ですべてを失った春斗に訪れる”未知の幸せ”とは、なんなのか。見届けたい。

  • 島右近(放送作家・映像プロデューサー)

    バラエティ、報道、スポーツ番組など幅広いジャンルで番組制作に携わる。女子アナ、アイドル、テレビ業界系の書籍も企画出版、多数。ドキュメンタリー番組に携わるうちに歴史に興味を抱き、近年『家康は関ケ原で死んでいた』(竹書房新書)を上梓

  • PHOTO近藤 裕介

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