性的暴行を受けた韓国女性兵士が「自死の瞬間」を撮影した理由 | FRIDAYデジタル

性的暴行を受けた韓国女性兵士が「自死の瞬間」を撮影した理由

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厳しい訓練を受ける兵士たち。写真は17年12月に行われた韓国と米軍の海兵隊合同演習の様子(画像:ロイター/アフロ)
厳しい訓練を受ける兵士たち。写真は17年12月に行われた韓国と米軍の海兵隊合同演習の様子(画像:ロイター/アフロ)

〈私の身体は汚れた〉

〈すべては加害者のせいだ〉

こう書かれたメモを残し、若い女性韓国人兵士は所属する舞台の官舎でみずから命を絶った。5月21日夜のことだ。彼女の携帯電話には、「最後の瞬間」を映した動画が残されていたという――。

自死のキッカケとなった事件は、今年3月2日に起きた。韓国西部・忠清南道(チュンチョンナムド)瑞山市の空軍第20戦闘飛行団に所属する女性軍曹Aさんは、男性軍曹から部隊員たちとの夕食に誘われる。新型コロナウイルスの影響で、酒をともなう会食は禁止されていたが、男性軍曹は高圧的にこう命令したという。

「必ず参加しろ」

「なかったことにしてくれ」

忌まわしい事態が起きたのは、会食の場からの帰途のことだ。Aさんは、男性軍曹から性的暴行を受ける。

「車の後部座席で、Aさんは強引にわいせつな行為をされたんです。車中には2人と、運転していた下士官がいたとか。翌日、Aさんは部隊に被害を訴えます。

しかし上官の対応は冷たかった。大事になるのを恐れたのか、こう言い放ったそうです。『なかったことにしてくれないか。合意の上だったということで』。『同僚たちのことも考えてくれ』と、組織的な懐柔も行われたといわれます。男性軍曹にも聞き取りは行われましたが、『死んでやる!』と取り乱した様子だったそうです」(韓国紙記者)

部隊の対応に失望しショックを受けたAさんは、2ヵ月間の休暇届を提出。さらに異動願いを出し、5月18日から空軍第15特殊任務飛行団に移ることになった。だが、事態はいっこうに好転しない。

「新しい部隊は、Aさんに性暴力被害者保護プログラムを適用しなかったんです。特別注意人物として、言動を観察しながら通常の訓練を要求したとか。強いストレスを感じたAさんは知人に『死にたい』というメールを送るなど、精神的にかなり不安定な状態となりました」(同前)

Aさんは5月21日に、以前から交際していた同じ軍人の恋人と結婚届を提出する。その日の夜のことだ。Aさんが自ら動画撮影し命を絶ったのは……。翌日、Aさんは変わり果てた姿で発見された。

「軍の態度に絶望したAさんですが、死の前に最愛の人と結ばれたかったんだと思います。またAさんが自死の瞬間を撮影していたのは、軍への強い抗議からでしょう。

Aさんの父親は、韓国大統領府のホームページ掲示板に投稿し、『娘の死の真相を明らかにしてほしい』と訴えました。『なぜ自分の死を動画で残したのか?』というメッセージを投げ、こう続けています。『他の部隊に異動した後、被害者である娘に保護プログラムを適応せず、形式的な手続きを行っただけだった。多大な圧力やストレスを加えた責任者を、徹底調査し処罰してほしい』と」(韓国在住ライター)

父親の書き込みには、25万人以上の同意を受けた。性的暴行事件から3ヵ月……。6月1日に、韓国国防部はようやく事件の隠蔽とAさんが受けた2次被害についての調査を開始。軍、検察、警察による合同捜査タスクフォースを立ち上げた。

  • 写真ロイター/アフロ

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