うつ病を告白…大坂なおみ「ボイコット運動」が投げかけた波紋
全仏オープンを棄権 罰金約165万円に加え、四大大会からの追放処分の可能性を示唆されるもアスリートのメンタルヘルスを守るため、一石を投じる
トップ選手による前代未聞の会見ボイコットが波紋を呼んでいる。
「選手の精神状態が無視されている」
と、テニスの全仏オープン1回戦後の記者会見を拒否した大坂なおみ(23)は自身のインスタグラムで、’18年の全米オープン初優勝後から、うつ病に苦しんでいることと、全仏の棄権を発表した。
他競技の選手からも応援の声が寄せられる一方、「2億円にものぼる優勝賞金には、プレー以外の振る舞いも含まれる」と否定的な意見も見られた。事実、錦織圭(31)やノバク・ジョコビッチ(34)らは「会見に応じることもテニスの一部」と苦言を呈している。
はたして会見方法に問題はなかったのか。関係者が語る。
「記者会見自体に問題はないと思います。敗因について厳しい質問が飛ぶことはありますが、選手のプライベートに関する質問はしないという暗黙のルールがありますし、会見が義務化されることで、それ以外の場面での取材が抑えられ、試合に集中できるというメリットがある」
デビュー当時から大坂を追っているテニスライターの山口奈緒美氏は、彼女の意図をこう予測する。
「昨年5月に起きた警察官による黒人男性の殺害に抗議する活動、いわゆる『ブラックライブズマター運動』への参加が評価され、大坂は今年5月、スポーツ界のアカデミー賞と呼ばれる『ローレウス賞』の年間最優秀女子選手賞を、日本人で初めて受賞しました。SNS総フォロワー数は400万人を超え、インフルエンサーとしての自覚が芽生える中で、自身が感じた問題点は、テニス界全体の問題として発信しなくてはならないと責任を感じたのではないでしょうか」
早期の復帰を願うばかりだ。
『FRIDAY』2021年6月18日号より
写真:アフロ