コロナ禍、絶好調と思いきや…「キッチンカー」社長の苦悩と挑戦 | FRIDAYデジタル

コロナ禍、絶好調と思いきや…「キッチンカー」社長の苦悩と挑戦

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大手飲食チェーンの参入で戦国時代に! 

都内を中心にアジアン料理を提供しているキッチンカーの「アジアンランチ」。赤い車体がトレードマークで、スパイスのきいた本格的なアジア料理で多くの中毒者を輩出しています。 

実はこのお店、店舗の業務拡大が難しいといわれるキッチンカー業界において、20車両・40カ所でお店を運営する一大グループ。飲食店が苦境のコロナ禍、テイクアウトやデリバリーが急成長で順風満帆かと思いきや、大打撃を受けて業績が悪化。ついには7ヵ所が営業終了に追い込まれたといいます。 

しかし、オンラインショップをスタートさせて、苦戦しながらも復活を目指し、さらなる成長を掲げています。 

今年の春に代表取締役に就任したばかりだという菊地幸二さんに、アジアンランチ成功の軌跡やコロナ禍での奮闘の様子、またキッチンカーを続けることの難しさなどをうかがいました。 

20車両・40ヵ所で営業! 店舗の拡大が難しいと言われていたキッチンカー業界の常識を覆した「アジアンランチ」(撮影:川戸健治)

創業1997年! 「キッチンカー」の老舗 

――「アジアンランチ」誕生の経緯は?

「『アジアンランチ』は、創業者の山口健司が1997年にはじめました。子どもの頃からアジア料理が好きだったそうで、シンガポールやタイなどをまわりながら現地の料理を研究して、夫婦でスタートしました。その後、従業員を雇ってキッチンカーの台数を増やしていき、2001年に有限会社化しました。 

その頃はアジア料理が珍しく、キッチンカー自体が少なかったのもあって、20台にまで増えていました。2019年に変わった代表が社長立候補制を提案し、私が立候補しました。そして今年の春に私が3代目として就任した、という流れです」 

――20車両40ヵ所のキッチンカーの営業を可能にしたのは? 

「うちはチェーン店ではなくすべて直営で、本部にセントラルキッチンを置き、キッチンと販売を分離することで、日替わりのメニュー作りと20台のキッチンカー営業を可能にしています。 

出店場所は東京都と神奈川県に40ヵ所。普通のキッチンカーは、キッチンや販売などのすべての作業を一人でやらないといけないので、拡大は難しいでしょうね。複数のキッチンカーを経営しているところもありますが、10台を超えるお店はなかなかないと思います」

アジアンランチ3代目取締役社長の菊地幸二さん
日替わりで6種類あるお惣菜から好きなものを選ぶ。仕切りのある「ランチボックス」タイプ、1種類のカレーを選ぶ「カレーボックス」タイプがある

デリバリーやテイクアウトが好調なコロナ禍、順調と思いきや…

――コロナ前の状況を教えてください。

「今考えると順風満帆だったと思います。基本的に、色々なアジアの国の料理を一度に食べられるお店は多くないので、『珍しい』というのがアジアンランチの大きな特徴です。 

過去にオンラインショップやフェスなどの大型イベントに出店したこともあったんですが、うちはキッチンカーのランチ営業が向いているという結論になり、お弁当販売に注力していました。 

波はありますが、キッチンカー1台の1日当たりの平均売上は5~6万円くらいで、業界内で考えてもまずまずな数字でした」 

――コロナで外出自粛、休業要請が出た時の状況は?

「倒産するかと思いました。ステイホームでのリモートワークの影響で、オフィス街から人影が消えて…。特に、最初の緊急事態宣言が発令された3~5月は全店舗で売り上げが約50%減って、危機的な状況でした。 

正直なところ、従業員の解雇も考えないといけないくらいでしたが、誰も辞めさせたくなくて……。給付金や助成金制度なども利用したけど、それだけじゃ足りません。全員を守るためには、少しでも売り上げを出さないといけない。 

ある日の社内会議で、若手社員から『クラウドファンディングをしてみないか』という意見が出ました。インターネットへの抵抗は多少あったのですが、そんなことは言っていられないので、とりあえず挑戦してみました。その結果、目標金額に達することはできませんでしたが、700人以上の方が応援してくれました。こんなにたくさんの方が応援してくれると思っていなかったので、本当に驚きましたね。とても励みになりました。 

また、クラウドファンディングと同時期に、LINE@でカレーや惣菜のオンライン販売もはじめたんです。キッチンカー以外の収益の柱を作らないといけないということもあって試しにオンライン販売をしてみたら意外と好評だったんで、今年に入ってからBASEで一般発売に踏み切りました」 

オンラインで販売しているお惣菜200g×12袋が入った「お得セット」は毎回即日完売するほどの人気商品
「使用する無農薬無肥料の玄米は年間30トン。こんなに使っているのは、日本中でうちだけだと思います」と菊地さん。オンライン販売の予定もあるとか

キッチンカー参入者が多く、都内は飽和状態に…

――本業のキッチンカーの今後の戦略は?

「キッチンカーは、コロナになる前から少しずつ注目度が高まっていて、参入者も少しずつ増えていました。そこに大手飲食チェーン店のキッチンカーも次々に参入し始めたので、都内は飽和状態です。これからキッチンカーをはじめる場合は、都内を避けるのも生き残るひとつの方法かもしれません。 

私たちも最近は、都内の激戦地を避けて、神奈川県内にシフトしています。自粛期間中は武蔵小杉に出店しました。昔から縁のあったタワーマンションの下に開いたんですが、テレワークになった方が多かったようで、けっこう好評をいただけました。オフィス街もいいですが、都心から少し離れていて、なおかつ工場や大学が近くにある場所が狙い目だと思っています」

――都内を避ける以外の秘訣は?

「キッチンカーだけに頼れなくなったいま、オンラインショップも大事な生命線だと思っています。

また、そのキッチンカーならではの『こだわり』も大切です。うちでは先代の時からオーガニックやヴィーガンを取り入れようという動きがあって、それを少しずつ実現化しているところです。現在は、オンライン販売分でしか無農薬無肥料の野菜を使っていませんが、将来的にはキッチンカーで提供するメニューでも活用したいと思っています」

「最近は、新横浜と鶴見でも出店しました。工場や大学が近くにあるので」と菊地さん

 

  • 取材・文安倍川モチ子

    WEBを中心にフリーライターとして活動。現在は、「withnews(ウィズニュース)」「Business Jounal(ビジネスジャーナル)」などで執筆中。また、書籍や企業PR誌の制作にも携わっている。専門分野は持たずに、歴史・お笑い・健康・美容・旅行・グルメ・介護など、興味のそそられるものを幅広く手掛ける。

  • 撮影川戸健治

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