秋の総選挙を占う都議選で小池都知事は都民ファ「見殺し」の可能性 | FRIDAYデジタル

秋の総選挙を占う都議選で小池都知事は都民ファ「見殺し」の可能性

都知事にとっても政治生命の危機が…

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衆院選の前哨戦となる東京都議会選挙は、告示まで3週間を切った。前回、圧倒的な人気で都議選を席巻した「都民ファーストの会」。小池百合子都知事が特別顧問を務める都議会最大会派が、強い危機感を抱いているという。

小池百合子緊急事態。そんなムードが漂い始めた。パフォーマンスに走り「やり過ぎた」都知事に、都議選で審判が下る… 写真:つのだよしお/アフロ
小池百合子緊急事態。そんなムードが漂い始めた。パフォーマンスに走り「やり過ぎた」都知事に、都議選で審判が下る… 写真:つのだよしお/アフロ

「小池都知事が自民党の二階幹事長と会談したあとから潮目が変わったように見えます。小池は、オリパラ開催可否について、まったく言及しなくなりましたからね。小池劇場の終焉が近づいているのかもしれません」(都庁幹部)

都民ファは、2017年の都議選で49議席を獲得、今年7月の都議選には、新人4人を含む48人が立候補の予定だ。が、

「このうち、当選の可能性が高いのは10議席に満たない、という厳しい見方もある」(都議会関係者)

という。理由は「小池都知事の失速」だ。

天才的「風をよむ力」も今は

冒頭の「小池・二階」会談は5月11日。2人は、3週間前の4月20日にも会っている。このわずかな間に、何が起きたのだろうか。

「2度目の5月の会談は、二階幹事長が小池都知事を自民党に『呼びつけた』んです。このころ、党内はオリパラ強行開催に舵を切っていた。菅首相がもっとも警戒したのは、小池の天才的なポピュリズム。つまり『五輪中止』発言という切り札です。二階幹事長は、新型コロナ対策の政府方針を説諭しながら、小池に『勝手な発言は厳に慎め』と釘を刺したんです」(二階周辺)

小池都知事は「自民党を訪れた」のではなく、二階俊博幹事長に「呼びつけ」られ、たしなめられた。そのため、その後の取材に対して

「しっかりと感染対策をして、五輪開催に向けた安心安全な準備をしていかなければならないと思っています」(小池都知事)

と発言、ぐっと方向転換を見せたのだ。もっとも、

「オリンピックを強行して、そのあと年末にかけて変異種が流行しないことを祈るばかりね」

と、悔し紛れに周囲に漏らしているという。

けっきょく、小池は「政争」に敗北したのだ。都議会関係者が解説する。

「今、自民党をはじめ、各団体、各機関で、都議選情勢調査がさかんに行われています。その結果に驚きました。前回、小池率いる都民ファは、49議席と驚異的な議席を獲得、その後、離党者が出たものの現在でも46議席と都議会第一党です。しかし、今度の都議選では苦戦する見通し。たとえば、読売新聞が5月下旬に東京都民を対象に行った世論調査によると、今度の都議選での政党別投票先に「都民ファ」と答えたのは全体の11%。「自民党」と答えたのは30%で、トリプルスコアとなっている。なかには『40議席減』という厳しい調査結果もあったのです。

東京都議会は42選挙区、議員定数127人。小池・都民ファは、公明党の23議席と共闘し、過半数の69議席を確保していた。これが、小池の強い政治力の源泉となっていましたが、これをそのまま維持できるとは思えない」(同)

自民党の選対関係者は、逆にこう自信をのぞかせる。

「都ファは定数5人区以上の8選挙区に滑り込み当選がやっとという予想。対して、巻き返しを図る自民党は、現有の23議席から倍増の勢い。都民の期待値が高まっている立憲と共産党は、選挙協力が実って相応の議席増が見込まれます」

昨年7月の都知事選挙で366万票を獲得した小池人気も、もはや期待できないと見られている。なぜか?

「参謀だった野田数氏を切ったことが、直接的な原因でしょう。彼は創価学会や公明党との強力なパイプ役でしたが、野田氏と小池知事のあいだに温度差が生じ、小池知事は野田氏を『東京水道株式会社』社長にして、体よく遠ざけた。

一方、公明党は自民党とめでたく復縁、なんとか協力体制を取り戻しました。もともと組織力のない都民ファに勝ち目はありません」(都議会議員)

都民ファは生き残りをかけて選挙区調整を急いでいる。が、参謀を欠き、小池の求心力がなくなった今、都議選を戦える力はあるのだろうか。昨日の敵は今日の友、友はすぐに敵になるのが政治の常なのだ。

「なによりの失策、小池は政権攻撃をやり過ぎました。森喜朗東京オリパラ組織委員会との主導権争い、バッハ会長との4者会議ドタキャンと、派手なパフォーマンスを繰り返し存在感をアピールしていました。連日の作業服姿での会見も、今となってはこっけいでしょう。

そして、コロナ感染対策の規制。これによって、生活が立ち行かなくなった多くの都民がいます。規制対象に不公平感が生じ、とくに飲食、サービス業者は反小池になった。

これまで『空気を読む力』は天下一品でしたが、それも危うい。そして、小池にマネージメントはできなかったということです。東京都最強の広報マンでしかなかった」(都庁職員)

自身の立ち位置が不安定な今、「都民ファーストの会」に力を注ぐ余裕はない。いわば「見殺し」にされた都民ファには危機の時が迫る。東京都議会議員選挙投開票日の7月4日は、政治家として全力疾走してきた小池にとって最大のターニングポイントとなるかもしれない。

  • 取材・文岩城周太郎写真つのだよしお/アフロ

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