菅田将暉×Fukaseの激突作は『キャラクター』が衝撃すぎる! | FRIDAYデジタル

菅田将暉×Fukaseの激突作は『キャラクター』が衝撃すぎる!

菅田将暉、「SEKAI NO OWARI」Fukase、高畑充希、中村獅童、小栗旬…豪華キャスト集結の体験型ダークエンターテインメント

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映画『キャラクター』2021年6月11日(金)ROADSHOW ©2021映画「キャラクター」製作委員会

今をときめく大人気俳優・菅田将暉。2021年は映画『花束みたいな恋をした』が興行収入37億円を突破(5月10日時点)する大ヒットを記録し、4月からは仲野太賀・神木隆之介・有村架純・古川琴音と共演したドラマ『コントが始まる』が放送中だ。

今後も、巨匠・山田洋次監督の『キネマの神様』(8月6日公開予定)や、カルト的人気を誇る『CUBE』の日本リメイク(10月22日公開予定)が控えており、先日は人気漫画「ミステリと言う勿れ」の実写ドラマ化において主演を務めることが発表された(2022年1月放送予定)。

この勢いはまだまだ加速しそうだが、6月11日に公開を迎える主演映画『キャラクター』も、非常にくせ者な野心作。様々な形態でエンターテインメントの可能性を追求してきた菅田らしい、斬新さが随所に感じられる。『帝一の國』で組んだ村瀬健プロデューサー、永井聡監督との再タッグ作であり、彼にとって盤石の布陣であるともいえるだろう。今回は、本作の魅力をネタバレなしで紹介していきたい。

<あらすじ>
高い画力を持ちながらも、「悪役が描けない」という致命的な欠陥を抱える漫画家のアシスタント、山城圭吾(やましろけいご/演:菅田将暉)。彼はある日、師匠の依頼で民家のスケッチに出掛け、一家惨殺の現場と、犯人の両角(もろずみ/演:Fukase)を目撃してしまう。あまりの事態にパニックに陥る山城だったが、同時に鮮烈なインスピレーションを感じてもいた。その後、山城が記憶にこびりついた殺人犯をモデルにした漫画を発表すると、これが大ヒット。あっという間に大人気漫画になるが、同時に不可解な事件が世を騒がせる。なんと、漫画に感化された両角が、現実世界で漫画内の殺人の「再現」を始めたのだ――。

まず注目いただきたいのは、原案と脚本を長崎尚志が書いていること。漫画家・浦沢直樹の相棒として知られ、『MASTERキートン』や『20世紀少年』『BILLY BAT』の共同原作を務め、『MONSTER』のスーパーバイザーも担当している。『キャラクター』は構想から10年以上をかけて完成に至ったオリジナル作品であり、「売れない漫画家と猟奇殺人鬼が互いにインスピレーションを与え合う」という危うい関係性が描かれる。長崎らしい、ダークでスリリング、かつ挑戦的な物語が展開していくのだ。

こうした連続猟奇殺人を題材にとったサイコサスペンスといえば、「七つの大罪」になぞらえた連続猟奇殺人事件を描いた『セブン』、半身不随の科学捜査官が連続猟奇殺人事件の解明に挑む『ボーン・コレクター』、『羊たちの沈黙』やそのドラマ版『ハンニバル』、国内の作品であれば『るろうに剣心』の大友啓史監督による『ミュージアム』など、「スタイリッシュ×グロテスク」な内容を期待するもの。実際、本企画は「日本でも『セブン』や『殺人の追憶』のような企画を作りたい」という想いが初期段階からあったという。となれば、内容的にも映像的にも攻めた内容でなければ、目の肥えた観客は納得しない。

そうした意味で、長崎が原案・脚本というのは非常に大きな安心材料だ。ストーリーラインだけを追いかけても、「漫画←→殺人、が相互関係になることで、フィクションと現実が融解していく」つくりは歴史の闇に踏み込んだ『BILLY BAT』に通じるし、コピーキャット(模倣犯)ものにつきものの異常な偏愛、漫画家と殺人犯という異色の対決(人によってはデヴィッド・フィンチャーの『ゾディアック』がよぎるかもしれない)といったダークなアイデアがこれでもかと詰まっている。

殺人漫画を描く漫画家と猟奇殺人犯、フィクションとリアルの隔たりはあれど、脳内の残虐性においては近しいのではないか――? という深遠なテーマにまで踏み込んでいく本作は、エンターテインメントの枠組みの中でかなり挑戦的な問いかけを行っているといえるだろう。

©2021映画「キャラクター」製作委員会

「何が両角というモンスターを作ったのか?」という人格形成の言及もなされ、ある種の現代的な社会問題も内包。作品自体が、フィクションではあれどリアルを無視していないため、ガツンとした“実感”が得られるのだ。そこに二転三転する物語のスピード感やそれに伴う感情のアップダウン、予想を裏切る衝撃的なトラップが巧妙に仕掛けられているため、ぐいぐいと引き付けられてしまう。

こうした物語に呼応するのが、同じく攻めたデザイン性の高い映像。『キャラクター』は、明け方の団地を外から見つめた映像から始まるが、その中で一部屋だけ明かりが灯り、カメラが寄っていくと一心不乱に漫画を描いている山城がいる、というファーストカットは画的にも芸術性が高く、一瞬で魅せられるだろう。ちなみに、永井監督は山城にナイフが振りかざされるカットで、高低やスピード感に徹底的にこだわり、リテイクを44回も重ねたとか。こういったエピソードからも、本作が“本物感”に満ちた作品に仕上がったのは、必然だということが見えてくる。

また、オープニングクレジットのシーンにも仕掛けが施してあり、警察に通報してからの山城の動きが、POV(主観映像)形式で描かれるのだ。オープニングクレジットは、映像にスタッフ・キャストの名前が表示されることで、ある種“作り物感”が如実に出てしまうシーンでもある。そこをこのようにトリッキーな映像とノイズ強めの劇伴(BGM)で処理することで、“遊び”を一極集中させる手腕は極めてハイセンスだ。

©2021映画「キャラクター」製作委員会

フィクショナルな話であればこそ、観客と物語の橋渡しをするのはリアリティの配分だ。その点、本作においては演出はもちろん、全体的な質感や照明、色調に至るまで非常に細部まで作り込んであり、劇場で見るにふさわしい精緻な世界観が広がっている。白眉といえるのは山城の仕事部屋で、どこに目をやっても漫画家の部屋として成立しているため、「引き」の画にも十二分に耐えうる。美術を手掛けたのは『影裏』や『花束みたいな恋をした』などの杉本亮だ。

そしてやはり、殺人現場のシーンの本気度が凄まじい。冒頭の一家惨殺現場においては、床にはぬるりとした血だまりが広がり、椅子に縛られ、メッタ刺しにされた4人家族の死体が食卓を囲むように配置されているわけだが、その生々しさはかなりのもの。その後も、車の中で見つかった死体は腐敗が進み、蛆がわいていたり、水に濡れて皮膚が膨張していたりと妥協がまるで感じられない。ショッキングなシーンが続くが、逆に言えばこの部分が生ぬるければ作品としての見ごたえは大きく損なわれてしまう。

劇中の漫画も『キャラクター』のリアリティを担保する重要な要素だが、こちらは江野スミや『帝一の國』の原作者・古屋兎丸といった一線で活躍するプロ漫画家が務めており、取材協力にはえすとえむ等がクレジットされている。漫画自体の“圧”も映画本編に引けを取っておらず、漫画パートにおいてもテンションが保持できているのも、本作の注目すべき点といえるだろう。なお、山城の心情や状況に合わせてアナログ作画→デジタル作画→アナログ作画へと制作スタイルが移行していく演出も組み込まれており、そうした意味でも物語と劇中漫画が見事に連結している。

©2021映画「キャラクター」製作委員会

漫画だけでなく、エンドロールで流れる本作の主題歌「Character」は、人気ミュージシャンの「ずっと真夜中でいいのに。」のACAねとRin音のコラボレーションによるもの。最後の最後まで、本作ならではの“共作”が仕掛けられているのだ。

そうした世界観で“生きた”のが、菅田将暉とFukase。菅田は、自分が「描いてしまった」ことで悲劇を招いたと悔やみ、作り手の責任に葛藤する山城の心情を丁寧に表現。ただそこには、漫画家としての「描きたい」というどうしようもない“業(ごう)”が潜み……という危うさや狂気を常にちらつかせている部分が絶妙だ。難航していた企画開発が一気に進んだのは、制作陣が『帝一の國』で菅田と仕事をしたことで「行ける」と判断したことが大きかったそうだが、その言葉を裏付けるような、「分厚い繊細さ」でもいうべき名演を披露している。

そして、本作最大のジョーカー(切り札)といえるのが、本作で本格的に役者デビューした音楽バンド「SEKAI NO OWARI」のFukase。撮影の2年前からプロデューサーにアプローチを受けていたという彼は、約1年間演技のレッスンに通ったうえで、撮影に参加したそうだ。

©2021映画「キャラクター」製作委員会

彼が劇中で魅せる、「子どもの表情」をテーマにしたという無邪気な狂気はぞっとするほどおぞましく、冒頭シーンからシリアルキラーとしての負の魅力を完全に確立している。往々にして演技初挑戦の場合、自分主体で進める「アクション」はできても「リアクション」に経験不足が出てしまうものだが、Fukaseにおいては菅田との演技の応酬も見事で、観る側が妙なストレスやノイズを感じる隙がない(劇中に登場する2メートル四方の絵画も、Fukaseが描いたという)。

そこに高畑充希や小栗旬、中村獅童といった手練れたちが華を添え、メジャー大作らしいスケール感もカバー。高畑が演じる山城の妻や、小栗や中村が扮する刑事たちが、Fukaseが体現した両角という悪魔に呑み込まれていくさまが恐ろしい。逆に言えば、Fukaseの演技にそれほどのパワーがあるからこそ、実力派のキャストを“食う”に至ったのだ。

©2021映画「キャラクター」製作委員会

物語、世界観、人物――。それらを担保するスタッフ・キャストたちが、各々の個性(キャラクター)をいかんなく発揮したからこそ、『キャラクター』は単なる娯楽作を超えた「後を引く」傑作と相成った。国内では珍しいサイコサスペンス大作でもあり、ひょっとしたら今後の国内の大作映画の“流れ”に影響を与えるきっかけとなるかもしれない。見逃すには惜しい一本、ぜひ劇場で体感していただきたい。


映画『キャラクター』 2021年6月11日(金)ROADSHOW
【キャスト】菅田将暉 Fukase(SEKAI NO OWARI) 高畑充希 中村獅童 小栗旬
【スタッフ】原案・脚本:長崎尚志 監督:永井聡
◆配給:東宝  ◆コピーライト:©2021映画「キャラクター」製作委員会
◆公式サイト:http://character-movie.jp/

  • SYO

    映画ライター。1987年福井県生。東京学芸大学にて映像・演劇表現について学ぶ。大学卒業後、映画雑誌の編集プロダクション勤務を経て映画ライターへ。現在まで、インタビュー、レビュー記事、ニュース記事、コラム、イベントレポート、推薦コメント等幅広く手がける。

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