現役世代の接種が進めば必ず来る「ワクチン相場」の読み解き方 | FRIDAYデジタル

現役世代の接種が進めば必ず来る「ワクチン相場」の読み解き方

外食・交通・旅行・イベント関連に熱視線

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日本でも大規模接種が進む。現役世代にまで広がれば、米NY(下)のようにマスク無しで外出できるようになる

英米に比べれば、たしかに日本のワクチン普及は遅いかもしれない。しかし、高齢者向けの大規模接種が始まり、ゆっくりと着実に広がりつつある。

「英米を見れば明らかなように、高齢者のワクチン接種が進めば死者数が減少し、個人消費は急回復して株価が上がっていきます。日本でも安心感が広がって、個人消費が爆発するはず。すでに株価にはその徴候が表れていて、トヨタ自動車は上場来高値を更新し、百貨店各社の株価も高くなってきました」(株式ジャーナリスト・天海源一郎氏)

5月28日にはワクチン接種の拡大を好感したのか、日経平均株価は600円も急上昇。「ワクチン相場」が始まる予兆を感じさせた。天海氏が続ける。

「国民はコロナで消費を先送りしている状態で、家計は従来に比べて28兆円もの現預金を積み増しています。ワクチン接種が進めば、個人消費関連銘柄の大きな値上がりが期待できます。

最初に株価が動くのはネット通販でしょう。個人や小規模事業者向けEC(電子商取引)プラットフォームを運営しているBASEや、フリマアプリで国内トップのメルカリの動向に期待です。

緊急事態宣言の解除で業績が回復する外食関連では、家族連れに人気が高い回転寿司に注目しています。業界トップは『スシロー』ですが、すでに株価は高くなっているので、二番手のくら寿司を挙げました。ワクチン接種が進めば国内旅行も増えるので、東海道新幹線を擁(よう)するJR東海も株価回復が期待できます」

金融情報サービス会社、フィスコの企業リサーチレポーターの馬渕磨理子氏も飲食業界に熱い視線を注ぐ。

「外食ではロイヤルホールディングスが運営するファミレス『ロイヤルホスト』の客足の戻りに期待しています。

飲食店の周辺ビジネスにも注目していて、アルファクス・フード・システムは『飲食店経営管理システム』などを販売。すでに業績は改善傾向で、今期第1四半期から営業利益が黒字転換しています。これから飲食店の復活が続けば、外食産業向け経営サポートを手がけるG-FACTORYも需要が高まるはずです」

7月23日から開催される予定の東京オリンピックも日本の株価に影響を与えそうだ。財産ネット企業調査部長の藤本誠之氏がこう話す。

「無観客でも開催されて、日本の金メダル獲得が相次ぐような事態になれば、景気のムードは変わります。株価にプラスの影響をもたらすでしょう。

五輪が開催できれば、国内旅行も活発になる。エアトリはオンラインで航空券やホテルの予約ができるサイトを運営。昨年から厳しい状態ですが、リストラによってコストを削減し、筋肉質な財務体質になりました。売り上げが回復すれば、業績は一気によくなるはずです。

オリンピック開催後は、昨年は開催できなかった多くのイベントが再開されるようになります。式典やスポーツイベントなどを企画・運営するセレスポは業績回復が見込めるでしょう」

高齢者から動き出す

「山高ければ谷深し、谷深ければ山高し」という相場格言がある通り、「コロナで大きく売り込まれた銘柄に『逆襲高』が期待できる」と言うのは、マーケットアドバイザーの天野秀夫氏だ。

「7月には都議選、秋までには総選挙が控え、『政治の季節』も到来します。選挙に向けて、与野党こぞって地方の景気回復策を打ち出してくるはずです。その結果、地方で各種イベントが開催され、活発化する。イベントや商業施設開発の企画・設計から制作・運営まで手がける総合ディスプレイ会社の乃村工藝社には追い風です。パビリオンの施工も得意で、少し先の話ですが’25年の大阪・関西万博も同社に恩恵をもたらすでしょう」

さらに天野氏が注目するのは、ウェディング業界である。コロナ禍で昨年に続いて今年の出生数も過去最低に沈みそうな見込みで、政府の少子化対策は待ったなしだ。

「自民党で人口減少対策を検討する議員たちがブライダル業界からヒアリングを行い、結婚式を支援する具体策を検討しています。コロナが収まれば、手控えられてきた結婚式も挙げられるようになる。結婚式場運営のテイクアンドギヴ・ニーズは、限られた人数しか呼ばないハウスウェディングの先駆けで、同社のスタイルはウィズコロナ時代のニーズに合致するのではないでしょうか」

ワクチン接種はまず高齢者から進められており、当然、高齢者から日常を取り戻していく。つまり、「シニア市場」から動き出すわけだ。

「コロナで高齢者が家に閉じ込められてしまいました。体も動かせない、カラオケも行けない、旅行も駄目、喫茶店でおしゃべりもできない。ワクチン接種が進むことで、これらができるようになるのです。近所の散歩しかできずに太ってしまった人は、ダイエットの必要性を感じているはず。カーブスホールディングスは中高年女性向けに手軽なフィットネスを提供する会社で、健康増進と免疫力アップを兼ねてコロナ太りを解消できると人気になるはずです。一日6分のオンラインサービスも始め、ウィズコロナを見越した業態変化も進めています。

安価なイタリアンを提供するサイゼリヤは、お年寄りから子供まで幅広い世代に人気です。ワクチン接種が進めば、まずシニア層の客足が戻ってきます。さらに進めば、学生やママたちも来店し、日常の風景が戻ってくる。今期は赤字予想から一転、10億円の黒字になりそうです」(株式アナリスト・鈴木一之氏)

外食産業が次々と息を吹き返せば、再び「人手不足」が問題となるはずだ。経済アナリストの田嶋智太郎氏が言う。

「今はバイトを雇う余裕のない飲食店が大半ですが、客足が戻れば急速に人手不足になり、バイト需要が一気に復活します。国内最大級のアルバイト求人情報サイト『バイトル』を運営するディップの業績は急速に回復するでしょう。

米国の求人情報検索エンジン『インディード』を買収し、国内で運営するリクルートホールディングスも同様で、飲食や小売りのアルバイト需要が急拡大しそうです。同社は加えてウェディング分野で雑誌『ゼクシィ』を発行するなど、メディア事業の収益増も期待できます」

現役世代のワクチン接種が進めば、さらに株価を押し上げることになるはずだ。

ワクチンを接種すれば「接種済証」が発行される。この接種済証でさまざまなサービスが受けられるようになる


『FRIDAY』2021年6月18日号より

  • 撮影蓮尾真司(1枚目上)写真アフロ(1枚目下) 共同

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