YouTube第一世代かずきむぎちゃが憂う「動画業界の今後」 | FRIDAYデジタル

YouTube第一世代かずきむぎちゃが憂う「動画業界の今後」

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黎明期からYouTuberとして活動しているかずきむぎちゃ氏。現在のチャンネル登録者数は25.3万人と安定した人気を保っている
黎明期からYouTuberとして活動しているかずきむぎちゃ氏。現在のチャンネル登録者数は25.3万人と安定した人気を保っている

「私が中学生の頃に、YouTubeが開設されたので、同級生がご飯を食べているところを隠し撮りして、その動画を勝手にYouTubeにアップするみたいなことが流行っていたんです。当時、『学ランでガチ喧嘩やってみました動画』が沢山アップされていたので、自分たちでもそういう動画撮ってみようぜとなって、ガラケーで撮り始めました。それが活動を始めたきっかけですね」

こう語るのは、「POLINKEY MOVIE」というYouTubeチャンネル運営者のかずきむぎちゃ氏(26)である。‘12年から9年間、仲間内での日常動画を投稿しているYouTube第一世代の一人だ。また、「SILENT KILLA JOINT」名義でラッパーとしても活動、関西で絶大な支持を得ている。

HIKAKINや、商品レビュー動画を多数上げている瀬戸弘司、検証ネタ動画を多数上げているワタナベマホトなどと同じく、黎明期を知る人物がかつてのYouTube界を振り返る。

「初期のころは動画の画質がめちゃくちゃ悪いので、顔もはっきり映らなかったですね。YouTubeビデオクリエイターという動画制作ツールがあったものの、動画をカットして繋げたり、フリーのBGMを付けたり……という簡単な作業しかできず、シンプルな動画しか作れなかったです」

昔に比べて凝った編集が誰でも簡単にできるようになり、動画を収益化することで、お金を稼ぐこともできるようになった。今でこそ芸能人をはじめ、様々な人が参入しているYouTube市場。広告収益以外に、インフルエンサー事業PR案件の動画によってまとまった収入を得ることもでき、一攫千金を狙って動画投稿を始める一般人も少なくない。

収益化がスタートした当時のかずき氏(かずきむぎちゃ氏、以下同)の収入は、一体いかほどのものだったのだろうか。

「‘12年当時はほとんど稼げなかったですね。それでも‘13年には収益が発生するようになり、私は月に5万円~10万円ぐらい稼いでいました。

そこから収益単価が上がったり、企業案件などが増えたりして、YouTuber間でも『貧富の差』が生まれてきました。ただ、昔と比べて数倍稼げるようになっても、私はYouTubeで生み出したお金は、すべてあぶく銭だと思っています。主に、ファンや友人との交流のために使いますね」

友人と一緒にチャンネルを立ち上げ、リスナーと一緒にゲームをするなど、YouTubeはあくまでも仲間内で楽しむ“趣味”のようなものなのだ。そうなると、“趣味”ではなく“仕事”として取り組んでいる同じ第一世代の人たちのことは、かずき氏にはどう見えているのだろうか。

『SILENT KILLA JOINT』名義でラッパーとしても活躍。関西で絶大な支持を得ている
『SILENT KILLA JOINT』名義でラッパーとしても活躍。関西で絶大な支持を得ている

「初期の頃から投稿しているYouTuberは、今ではクリーンな動画を目指しすぎているイメージがあるので、とにかく刺激がないんですよね。当初は、遊び心から始めたのに、結局は仕事にしてしまって、こうしたら再生回数が伸びる、このタイミングでテロップを出したらいい、カメラと照明はこう使えばいい…みたいにマニュアルが出来上がっている人が多いので、新鮮さがないんです。あとは、チャンネル登録者数が多いことなどを自慢してくるところが好きになれないです」

YouTubeで同期の人たちが遊び心を失っていく様を見て、残念に思っているようだ。かずき氏がそのような状況の中で、日々の動画投稿を楽しんで続けられているのは一体なぜなのだろうか。

「仕事として取り組んでしまうと、毎日投稿をしないといけなかったり、興味のない企業案件をやらないといけなかったりと、重荷を背負わないといけなくなります。だから、私のモットーである『遊び心でやる』を貫いて、自分のやりがいを常に優先しています。

特に、動画を通じて視聴者との交流を持てることがやりがいだと思っています。コメント欄などを通じて、仲良くなって、私の自宅で一緒にゲームをしたり、外で遊んだりとか、めちゃくちゃ楽しいことばかりが起こるんです」

確かに、仕事として意識してしまうと、「やるべきこと」が増えて、当初持っていた遊び心がなくなり、企画自体も定型的なものになってしまうのだろう。だから、「第一世代のYouTuberには刺激がない」と、かずき氏は言っているのだ。

動画のクオリティだけではなく、YouTube業界全体の未来を彼は案じているようで、

「YouTubeへの動画投稿である程度生活に困らないぐらい稼げる時代は、あと1〜2年なんじゃないですかね。冷静になって考えたら分かるんですけど、日本人全員が視聴者だったとしても、このまま動画投稿する人が増え続ければ、視聴者の見る時間が分散されていって、YouTube動画の数が飽和していく未来しかないんですよ。

いずれ稼げなくなるのは目に見えているわけなので、よっぽど、誰もが想像つかないような企画を思いつけるならまだしも、『YouTuberで人生を変えてやる!』みたいな気持ちなら、別で稼げることをした方がいいと思います。ただ、YouTubeに動画投稿することを単純に面白がっている人は、稼げなくても勝手にやるので、始めたらいいと思います」

初期から活動しているかずき氏の予想が、現実になる日は来るのだろうか。YouTube業界の今後から、目が離せなくなりそうだ――。

  • 取材・文村嶋章紀

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