根拠不明、意味不明発言連発!菅首相「ヨロヘタ党首討論」の空洞 | FRIDAYデジタル

根拠不明、意味不明発言連発!菅首相「ヨロヘタ党首討論」の空洞

「東京五輪の思い出語り」に終始…野党から「不信任だ」の声

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2年ぶりの党首討論。初登場の菅首相が語ったのは「昭和の東京五輪思い出話」だった…。この国を導くリーダーの言葉に「力」は感じられない 写真:つのだよしお/アフロ
2年ぶりの党首討論。初登場の菅首相が語ったのは「昭和の東京五輪思い出話」だった…。この国を導くリーダーの言葉に「力」は感じられない 写真:つのだよしお/アフロ

「党首討論(QT)は、メモなしが通例なんですが、今回、菅首相はペーパーを用意していました。1964年の東京オリンピックを振り返る内容は、高羽陽首相秘書官に書かせていたようです。そのうえで、政府のコロナ対策に関して政権が揺らぐような不注意な文言はないか、ペーパーを精査したのは、おそらく杉田官房副長官と和泉首相補佐官。QT前に相当な準備をし、野党から『致命的な失策』を追求されることはないよう、シミュレーションを重ねて臨んだのです。

結果、『無難な党首討論』ができた。政権としては勝ったも同然ではないでしょうか』(官邸関係者)

6月9日、2年ぶりに行われた党首討論、菅義偉首相にとっては初めての「討論」。野党は、首相の返答によっては内閣不信任案を提出する腹づもり挑んだ。

国民が、まず菅首相の口から聞きたいのはこれだった。

「東京オリパラを開催して、感染が拡大するのではないか。リバウンドは大丈夫か」

「ワクチンは、いつ国民全員に接種できるのか」

そして「コロナで困窮する生活者、事業者への救済策はどうするのか」

今この瞬間に「食べるものがない」人がいるのだ。

思い出話で時間稼ぎを

「やぎさん答弁」と揶揄される菅首相。しかし初の党首討論で、今回こそは、コロナ禍の命と生活に心強い言葉をと、国民はほんの少し期待していた。

立憲民主党の枝野幸男代表はコロナ対応の失敗を認めさせよう試みるが、菅は「ワクチンこそ切り札」と繰り返し、あっさりかわされてしまう。あげく、準備していたこの発言だ。

「わたしが高校生だった57年前に行われた東京大会、東洋の魔女の回転レシーブはいまでも鮮明に覚えています。マラソンのアベベ選手、そして、柔道でオランダのヘーシンク選手に敗れたのは悔しかったが、敗者への敬意を示した態度は素晴らしかった。子どもたちにオリンピックを見てもらいたいと思っています」

そんな思い出話など聞いてはいない。議場もざわついた。なおも時間稼ぎは続く。

「ロックダウンした国でも、新型コロナは収束できなかった。切り札はワクチン、昨日は接種100万回を超え、合計で2000万回近い接種者数となった。21日からは職場や学校で接種が開始され、その後10月から11月にはワクチンを希望する国民全員の接種ができる」

だから、そこまで辛抱すれば新型コロナウイルスの脅威からは解放される、と言わんばかりなのである。もはや根拠不明・意味不明だ。

総理、間違ってる。基本的に認識が

国民民主党の玉木雄一郎代表は、困窮する国民への支援に触れ、ぐたぐたと同じことを繰り返す菅首相に対し、

「総理、間違ってる。基本的に認識が」

と、一喝した。

「(補正予算について)繰越の30兆円があるからいいということではありません。それは、宿題していないから、次の宿題をやらなくていい、というのと同じです」

と、噛んで含めるように言った。首相は力のない目で黙って聞いていた。

最後に登場したのは日本共産党の志位和夫委員長。

「この状況下で、オリンピックを、なぜ、開催するのですか」

「国民を守るのがわたしの責任、守れないならやらない」

と、「いつもの」答弁を繰り返す菅。対して志位は時間切れのなか

「日本国民の命をギャンブルにかけることは、やるべきじゃない。オリパラを中止して、あらゆる力をコロナ収束に集中させるべきだ」

と言い残し、2年ぶりの党首「討論」は終わった。

菅首相は、たくさんの付箋が貼り付けられた紙資料のファイルを閉じ、周囲に何度も会釈して退場していった。

五輪は、しょせん数週間のイベント

「国民が守れないならやらない」と繰り返す菅首相だが「守れる」とは、なにを意味するのか。

「生活困窮は極まっている。底が抜けました。炊き出しには、これまで以上に多くの人が食料を求めて並んでいます」

そして、困窮者支援団体の人は絞り出すように言った。

「民間の力ではもう限界です」

いまこそ、公助の出番ではないか。そのために予算をとり、国会を開いて対策を考えるべきときではないだろうか。

が、政権の思惑は、秋の選挙にどう勝つか、政権をどう維持するかに向かっている。国民の生活より今は選挙だ。

「菅首相も野党も結局、新型コロナウイルスに関する対策のやりとりが中心になった。党首討論の場に『専門家』はいないのだから、空疎な論戦。新しい要素はないし、何もかみ合っていなかった。

おかげで、政権としては深い議論を回避できた。’12年11月解散総選挙に突入した民主党政権の野田首相vs.安倍自民党総裁のようなガチンコ討論にならなくてホッとしているよ」(自民党重鎮議員)

1999年、イギリスに倣って始まった党首討論だが、これほどかみ合わない討論なら、時間の浪費でしかない。この日、全国のコロナ感染者は2242人、死亡者96人と発表された。

野党は、二階幹事長の「直ちに解散」という恫喝に屈せず「内閣不信任案」を提出する意地を見せている。

国会の延長はない。予定通り16日に閉会。東京五輪は開催に向けて進んでいる。オリンピックは、夏の数週間のイベントでしかない。国民の生活はそのあともずっと、続いていくのだ。「国民の命」を守るのは、だれなのか。

  • 取材・文岩城周太郎写真つのだよしお/アフロ

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