安倍前総理が画策する「二階を落としてキングメーカーに」の深層 | FRIDAYデジタル

安倍前総理が画策する「二階を落としてキングメーカーに」の深層

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自民党女性局デザインの街宣車に乗る二階幹事長。お手上げ、それともサヨナラ…?
自民党女性局デザインの街宣車に乗る二階幹事長。お手上げ、それともサヨナラ…?

動きまくりの安倍前総理

電撃退陣から9ヶ月。安倍晋三前総理が表舞台で活発に動き出した。五輪を前にして支持率が下がり続ける不人気の菅義偉首相を尻目に、「もう一度私が」と言わんばかりだ。

事実、元気になった安倍氏に期待する向きが自民党に生じている。6月11日、安倍氏が二つの議員連盟を梯子したことからもそれは明白だ。

ひとつは第二議員会館で開かれた、岸田文雄前政調会長が主催した「新たな資本主義を創る議員連盟」の設立総会。隣に座る麻生太郎副総理兼財務相を引き合いにし、こう挨拶した。

「今日は渋沢健さんの講演ということですが、渋沢栄一翁を1万円札のモデルに決めたのは安倍総理大臣と麻生財務大臣であります。一つだけ注文があるとしたら、大河ドラマ(の『青天を衝け』)を作るにあたって長州の描き方がちょっと一方的だと」

わざわざ自分を「安倍総理大臣」と呼ぶキングジョークで会場を沸かすと、中座し、今度は600メートル離れた自民党内で開かれた甘利明税調会長主催の「バッテリーの基礎産業振興議連」でも最高顧問として挨拶を行った。

さらに15日、二階俊博幹事長が会長に就く「自由で開かれたインド太平洋推進議連」でも、最高顧問に就任。この活発な動きについて、清和会に所属する議員がこう解説する。

「秋の総裁選を見越しての主導権争いであることは間違いない。コロナ感染拡大や五輪で不確定要素が大きいので菅政権がどうなるかわからないが、安倍さんは最大派閥(98名)の清和会を細田博之会長から引き継ぐ手はずが整っている。盟友の麻生副総理が率いる55名の志公会を足せば150名を超える国会議員が集まる。本人が再登板する気がある、というより、キングメーカーになることが狙いでしょう」

月刊誌「Hanada」7月号に登場した安倍氏は、菅義偉総理の続投を支持した上で、茂木敏充外相、加藤勝信官房長官、下村文雄政調会長、岸田氏4名の政治家を「ポスト菅」と名指しした。ただ、ここでは「ポスト菅」として挙げられなかった候補に注目すべきだ、と前述の議員はこう分析する。

「一人は石破茂元幹事長。安倍さんは心底彼のことを嫌っているので、石破さんだけは総理にしたくない、というのが本音だろうが、世論調査を行えば常に上位につけている。無視はできない。ただ、石破派は17名まで数が減っているので、秋の総裁選に出られても、次がラストチャンスとなるだろう。

もう一人は河野太郎ワクチン担当相。菅総理は小泉進次郎環境相と並んで目をかけて育てているが、河野さんは麻生派でもある。河野さんを持ち上げると、派閥内で代替わりが進み、麻生さんの求心力が衰えてしまう。安倍さんがキングメーカーとして振る舞うためには、麻生さんの力添えあってこそなので、あえて名前は挙げなかったが、当然『次の一人』と目されている」

実は、安倍氏の本当の狙いは「幹事長交代」にあるという。

「真のキングメーカーになるには、自分の息のかかった人間が幹事長でなければならない。二階幹事長では、自分の意のままには動かせない。首相は菅が続けても、幹事長は俺の息のかかった人間にやってもらう、というのが安倍の魂胆だ。現在のところ、岸田を幹事長に据えることを狙っているようだ」(自民党・古参議員)

とはいえ、権力を握る菅総理・二階幹事長がおいそれと安倍氏やその「後継者」にその地位を譲るはずもない。いま、水面下では安倍VS菅の激しい攻防が行われているのだ。

そのひとつが、「赤木ファイル」の公開。安倍政権のアキレス腱となった森友学園問題で、文書の改ざんを巡り自殺した近畿財務局職員がまとめたファイルが6月23日、大阪地裁で公開される。なぜこのタイミングで…という答えは、永田町では一つしかない。「活発化した安倍の動きをけん制するため」だ。

「菅政権下で前政権のスキャンダルを封じ込むのか、はたまた公にするのか、決められるは俺だ!という菅首相の示威行為だ。他にも『桜を見る会』前夜祭を巡る政治資金規正法違反で、安倍前総理をなぜ起訴しないのか、と弁護士グループが検察審査会に審査を申し立て受理されている。特捜部は『権力と一線を画する存在』と考えたいが、突然自分たちに矛先を向けてくるのではないか…と安倍周辺は警戒している」(全国紙政治部記者)

15日、二階幹事長が会長を務める議連に数分遅れで訪れた安倍前総理。マイクを握ると、

「いろんな(議連の)顧問を引き受けているが、この会こそ最高顧問を引き受けたかった」

と、憶測を呼ぶ挨拶で笑いを誘った。

振り返れば、安倍・二階の両氏は、安倍政権時代から幹事長ポストを巡って緊張関係にあった。安倍氏が幹事長を変えようと試みるも、政局に発展することを恐れ、結局は諦めざるを得なかった…ということが何度もあった。

二階幹事長続投か、交代か。五輪後の政局に向けて、テーブルの下では激しい抗争が繰り広げられている。

  • 取材・文岩崎大輔

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