二階幹事長が「安倍前首相に屈した」その歴史的な瞬間 | FRIDAYデジタル

二階幹事長が「安倍前首相に屈した」その歴史的な瞬間

会場に溢れた自民議員たちは、自らの「政治」を何に捧げているのか

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自民党の党内抗争がついに、しかもかなり露骨な形で表面化した。

15日17時。自民党本部で「二階議連」があった。最高顧問は安倍。予想を大きく上回る人数の自民議員が詰めかけたこの会合の裏側、本当の意味は

6月15日、二階俊博幹事長が中心となって設立された「自由で開かれたインド太平洋」推進議員連盟設立総会。党所属国会議員に送られた案内状を入手した。

このペーパーの持つ「意味」は深い

注目は議題2「安倍晋三前内閣総理大臣ご挨拶」だ。

自民党幹部代議士が言う。

「党内の権力抗争はこの秋、ヤマ場を迎える。安倍(A)、麻生(A)、甘利(A)+岸田(K)が、かなり早い段階で多数派構築のため同盟を結んだからね。菅義偉政権の生みの親、二階幹事長は、今や孤立無援といえる。このところ党内では、二階が政治家として生き残りをかけた『次の一手』に注目が集まっていた。それがなんと、安倍晋三を自らの議連の『最高顧問』に迎えるという、この荒技だったんだ」

「密」すぎる会場で、安倍・二階の対比が

15日17時から自民党本部で行われた「議連総会」には、予想を大きく上回る議員が詰めかけ、会場はたいへんな「密」だった。ちょうどその時間帯、参議院は会議中のため、衆院議員しか参加できなかったにもかかわらず、会場は席が足りなくて「立ち見」もでる盛況ぶりだった。

冒頭、挨拶をした二階の声は小さく、マスク越しのためもあってか、その掠れ声は聞き取りにくかった。続けて挨拶に立った安倍は、あの甲高い声で定番の「長州」ネタを投げて会場を沸かせた。

「敵陣からの一本釣り、あるいは前首相へのリスペクト、というより、なりふり構わぬいわば『抱きつき心中』に見える。3AKの頭目である安倍を自らの議連の最高顧問に据えるという二階さんのこの判断。恐れ入った。これにはさすがに驚いたよ」(自民党幹部)

現在、安倍は「最高顧問」の肩書きをいくつ持っているのか分らない。今の自民党は、疑惑にまみれ体調不良を理由に「逃げた」安倍を中心に、いくつもの惑星が周回している状態なのだ。

「二階さんは安倍さんの携帯に直接電話をして、『自由で開かれたインド太平洋の推進する議連なんだから是非ともご挨拶をお願いしたい』と言ったらしい。さすがの安倍さんも、この事案では断ることはできないんじゃないか」(同)

内容的にみて安倍が意を唱えることはできないはず。二階の読みは的中、安倍はいそいそと最高顧問に就いた。

「選挙のためにどっちにつくのか」という空虚

この二階議連が、なぜこうも大きな波紋となっているのかー。

この深謀は、練りに練って繰り出されていた。結果、党内隅々に行きわたり「二階ハレーションとしてすさまじい破壊力」なのだと、自民党若手議員が困惑の表情で言う。

「じつはこの日、同じ時間に、AAA同盟の甘利明税調会長の『半導体戦略推進議連』の勉強会が予定されていたんです。われわれ若手にとっては、どちらの会合に行くほうが選挙に有利に働くか迷い悩みました。3ヶ月以内に必ず行われる衆院総選挙の前に、参加議員はいわば『踏み絵』を強いられたんです」

この時点で、3A+Kに与すべきか、二階幹事長を選択すべきなのか、選択を迫られた自民党議員は多かった。

数でいえば3A+Kが圧倒している。一方で、菅首相を擁した二階幹事長は、なんといっても選挙の公認権といった『党人事と政治資金の差配』をがっちり握っている。

これが、7年8ヶ月に及んだ長期安倍政権の「負の遺産」。政治家の矜持は失われ、派閥を形骸化した専政政治のなれの果てだ。自民党の政治家は自立心を失った。数の安倍か、権力の二階か。「なにか」に依存しなければ政治活動ができなくなってしまったのだ。

二階・安倍の「抱きつき心中」そのとき菅は

だからこそ二階も、幹事長として権力があるうちに勝負に出なければならなかった。二階が選んだ「一手」は安倍接近作戦。それは、秀吉亡き後、豊臣恩顧の家臣団から命を狙われることとなった石田三成が、助命を願い徳川家康の屋敷に逃げ込んだ有り様を想起させる、安倍への「抱きつき心中」作戦だ。

「幹事長職にとどまることはもうできないかもと不安な二階は、党内で再び力を示し始めた安倍との対峙を避け、多数派に乗り遅れてはならないと判断したのです」(安倍周辺議員)

自民党有力議員がこう解説する。

「二階幹事長は、菅政権が安倍傀儡(かいらい)だとわかっている。そうなら、自らのポジションを維持するためには、安倍が自民党の全権力を掌握することに近寄っていったほうが得策だと考えた。マキャベリスト二階の真骨頂というべき妙手だ」

自民党選対やマスコミ各社、民間調査会社による選挙区情勢調査で、菅政権の「不支持」は政権発足以来の最高値。自民党は逆風の中で選挙を戦うことになる。

とはいえ、菅政権は、安倍連合体の多数派工作によって続投が約束されている。政治家は、ひとたび権力にたどり着くと権力に固執する。総理総裁の椅子に座ろうとは夢にも思っていなかった菅だが、ヨレヨレながらも政権発足1年を迎えようとしている。

「菅首相は、国会答弁にも慣れ、作り笑いができるようになってきた。デジタル庁を本格稼働させて、ワクチン接種は接種券からマイナバーカード活用へ、GOTOキャンペーン再開までたどり着けば、もう少し政権を維持できると期待している」(前出議員)

総選挙を優先させるスケジュールに日程変更したのは、菅が初めて見せた「政治家としての野心」かもしれない。

ちなみに、二階議連とかち合った甘利半導体議連は、予定を30分動かして「譲り」、会合を開いた。

参加議員とマスコミで200人を超える大盛況となった二階議連発足会合。会場のぎゅう詰めの席には石破茂、野田聖子、稲田朋美ら「有力」議員の姿もあった。しかし目立っていたのは、壇上の安倍だったのである。主役であるはずの二階は、安倍の隣でただじっと座っているように見えた。二階議連は、安倍にジャックされたと感じたのは小誌だけではないだろう。

キングメーカー気取りの安倍の「活躍」が著しい。選挙を控えた自民議員たちは「力」に阿(おもね)る。しかし国民は、放り出されたままの数々の疑惑を忘れてはいない。

(文中敬称略)

報道陣も詰めかけた会場はまさに「密」。妙な熱気に気分が悪くなった人もいた
  • 取材・文岩城周太郎

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