傘で威嚇されても…初の元Jリーガー都議を狙う自民公認候補の覚悟 | FRIDAYデジタル

傘で威嚇されても…初の元Jリーガー都議を狙う自民公認候補の覚悟

都議選立候補を決めた元町田市議、星だいすけ氏に聞いた

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6月15日、駅に立って演説をする星だいすけ氏(本人Facebookより)
6月15日、駅に立って演説をする星だいすけ氏(本人Facebookより)

注目の東京都議選(6月25日告示、7月4日投票)の立候補予定者に、元プロサッカー選手がいる。前町田市議会議員・星だいすけ氏だ。サッカーJ1横浜F・マリノスを皮切りに7クラブを渡り歩いた元Jリーガーが、2018年地元の町田市議選(立候補44、定数36)に初出馬して初当選した。誰もが2期目も町田市議で続投すると思っていたが、新型コロナウイルスの蔓延で「家賃保証などの政策はあったものの、市単独では財源が無く、できることがほとんどない」ことを痛感し、都議選へのチャレンジを決断した。

星氏は、国民に対してコロナ禍で東京五輪パラリンピック開催をする大義を明確に示せていない自民党公認候補であるが、元プロアスリートであり、五輪を目指す選手の熱量は想像できる。一方、市議としての経験から市民の訴えも十分理解できる。この「板挟み状態」をどう受け止めて戦いに出るのだろうか。

自粛を続けている人も『ゴール』がなければ走り続けられない

「駅頭に立っていると、確かに厳しい言葉もいただきます。看板をけ飛ばされたり、傘で威嚇されたり…新型コロナウイルスに関する様々な不満や、自民党に対するご意見として受け止めています」

今月25日に公示される東京都議会選挙。星だいすけ氏は自民公認の逆風をもろに感じながら、連日駅を利用する乗客に挨拶している。

新型コロナの感染が拡大してから、安倍晋三前首相、菅義偉首相と結果的に打つ手が後手に回り、国民の納得感を得られているとは言い難い。東京都をはじめ、一部地域に対し、昨年4月に初めて出して以来、3度、緊急事態宣言を出していた。人の流れを制限している間に、ワクチンの製造や確保、治療薬の製造を目指したが、世界に比べて大きく後れをとった。

東京都の小池百合子都知事は一度目の緊急事態宣言が明けた昨年7月以降にふたたび感染者が急増したとき、その原因として「夜の街」という表現を繰り返し、特にホストクラブやキャバクラが槍玉にあがった。居酒屋などの営業時間も制限が加えられ、廃業する店も続出。一方で、緊急事態宣言中に、国会議員による大人数での夜の会食が続々発覚し、こういった矛盾の数々が、国民の怒りを増幅させた。3回目となる緊急事態宣言は6月20日まで延長され、期限が近づいてきているが、東京都の新規感染者数は目に見えて減ってきているとは言い難い。

それに対し、星氏は「今、自粛や制限に協力してもらっている皆さんに対して、どこかで『ゴール』をお示ししないと、走り続けられないと思うんです。それはサッカーや陸上などスポーツなどとも一緒ですよね。それをどう見極め、政策として反映するか、難しいことは承知しています。

私の考えでは、収束に向けたゴールの設定は『新規感染者数が少なくなること』、これに尽きるかと思います。たとえば感染者数が何日続いたら段階的に蔓延防止策に切替え、それをクリアしたら自粛するなど感染者数に応じた対応を決めて、それを忠実に守ることが大切ではないかと思います。都議会で仕事をすることになったら、もちろん小池都知事にも訴えていきます」

星氏の中で明確な基準がある分、東京五輪パラリンピックの開催についてのスタンスもはっきりしている。6月8日、都議会自民党が公約には入れない方針を打ち出したが、4月に自民党から配布された都議選候補者が選挙活動に使うチラシには「東京五輪パラリンピックを成功させよう」という大きな文言が入っていたが、今はそれはない。

2018年に初当選した町田市議時代にはスポーツをする「環境整備」に走り回った。市内の小中学校にナイター照明をつけるべく道筋をつけ、曖昧であった公園の中でのボール遊びを子ども達が利用しやすいように制度変更を実現した。誰にも分かりやすいことをきちんと実行に移すプロセスはエネルギーを費やす。都議になれば、なおさら関係各所との意見交換や調整が必要になってくる。

だからこそ、市議1期からの都議選へのチャンレンジは極めて異例で、支援者からも「まだ早すぎる」という声があがった。それでも新しい舞台にチャレンジしようと思ったのはなぜだろうか。

「それは、このコロナ禍に背中を押されたからです」ー。

3年間の市議生活で市だけでは解決しにくい問題をたくさん目の当たりにしてきた。そんな思いの中で、新型コロナウイルスがどんどん蔓延していった。東京都や国とのパイプをより太くしていかなければ解決しない。そう痛感する日々だった。今回の都議選では地元を離れて出馬する候補者もいる中、星氏は「町田を離れることは絶対にない。地元のために働かせて欲しい」と話した。「次回の都議選だったら44歳になる。遅いくらいだ」と逆に応援してもらえる体制が出来上がってきた。

握手は”ご法度” 手ごたえがわからない不安

ただ、間も無くスタートする都議選の選挙戦ではガラリと光景が変わるはずだ。コロナ禍の中、有権者への握手などは当然ご法度だからだ。2年前の市議選の時は「握手をした数が必ず票につながる』と全員の方に言われました。集会を開くたびに聴衆の方もぐんぐん増えていったのがわかり、投票前から手ごたえはある程度感じたんです。でも、今回は大きな集会が開けないので、手ごたえがわからない、なんとかミニ集会ははじめましたが不安はあります」

その不安に打ち勝つだけのタフな精神力を、プロサッカー選手として培ってきた。さわやかなイケメンの体内に、生き抜くのも大変な泥臭い日々が隠されている。1999年にはじまった13年のプロ生活で、3度も戦力外通告を受けた。特に現役生活終盤のJ2栃木在籍時(2008―09年)は引退を決意してもおかしくない状況だった。

「アキレス腱を切ってしまって。1年間プレーができず、戦力外通告も受けましたが、その後、半年だけクラブが面倒を見てくれました。でも無給。たった一人でリハビリもした。練習場は使わせてくれましたが、ジャージなどの支給もありませんでした。その状況から何とかもう一度ピッチに立てる状態に戻ったのですが、あの時の絶望感を思えば何が起きても大丈夫。苦労ばかりかけた妻とはこの年に結婚しました」

町田市の定数は4。そのうち2枠は公明、共産党が優勢とみられる。残り2枠を星氏や現職を含めた5人で争う。

「一番は、コロナ対策を重視したい。ワクチン接種については、これからも続く話ですから。そして同時に、経済の発展も大切です。町田市に、より多くの人が集ってもらいたい。もう何十年も、多摩都市モノレールを町田市へ延伸する構想が止まっている。多摩地区は八王子、立川といった北部に移動する交通手段が本当に少ないので、都議になったらこれを早期に実現させたいです」

当選すれば、史上初のJリーガー都議になる。歴史の扉を開き、若い人にも関心を持ってもらえる政治に変えるきっかけを作りたい。

「どんな状況でも決してあきらめないこと。チャレンジすること。そのメンタリティーはサッカーから教えてもらいましたから」―。

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