幹部が続々…金与正「周囲の人間が相次いで消える」ヤバい背景 | FRIDAYデジタル

幹部が続々…金与正「周囲の人間が相次いで消える」ヤバい背景

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兄の意向を受け新しい方針を次々に実行する与正氏。高齢幹部との軋轢も取りざたされている(画像:ロイター/アフロ)
兄の意向を受け新しい方針を次々に実行する与正氏。高齢幹部との軋轢も取りざたされている(画像:ロイター/アフロ)

姿を見なくなって5ヵ月ーー。

北朝鮮の最高幹部の消息がわからなくなっている。その人物の名前は崔輝(チェ・フィ)。朝鮮労働党中央委員会部長に抜擢され、「金正恩総書記がもっとも信頼する側近の一人」と言われる重鎮だ。

「今年1月の党大会で党中央委員会副委員長を解任されてから、消息がまったくわかりません。崔氏は現在60代後半。高齢のため引退したという話がありますが、なんらかの理由で静粛されたという噂もあるんです」(韓国紙記者)

消息不明となっている幹部は、崔氏だけではない。朴泰成(パク・テソン)党宣伝書記も、その一人だ。朴氏は、1月の党大会の時点で党政治局の序列1位だった最高幹部。韓国紙『東亜日報』記者チュ・ソンハ氏が5月にアップした自身のYouTubeによると、朴氏は処刑された可能性が高いという。

失踪した重鎮2人の恐ろしい共通点

崔氏と朴氏には、ある共通点がある。2人とも、金正恩氏の妹・与正氏の上司だったのだ。『デイリーNKジャパン』編集長の高英起氏が語る。

「崔氏は一時期、党宣伝扇動部長の職にあり、同じ部に籍を置いていた与正氏の直属の上司でした。18年2月に韓国で開かれた平昌五輪では、与正氏とともに代表団の一員として参加。韓国高官と会談した際には、与正氏が崔氏より上位の席につき話題になっています。

朴氏も党宣伝扇動部長や、日本の国会に当たる最高人民会議議長を歴任。正恩氏の国内視察、外国訪問にたびたび同行し、機関紙『労働新聞』にも頻繁に登場しています。正恩氏の叔父・張成沢(チャン・ソンテク)氏が13年に処刑されて以降、最高位の人物と言えるでしょう」

与正氏の周辺では、以前から失踪事件が起きている。15年5月には、金日成総合大学の同級生数十人が突然いなくなってしまったのだ。高氏が続ける。

「彼らは平壌の中央機関に勤めていましたが、急に行方不明になってしまいました。後に地方へ追放されていたことが判明しますが、理由は些細なことだったとか。『自分たちは与正氏の同級生』と、周囲に語っていたというのです。『最高尊厳の妹の知人』と軽々しく吹聴したことが、問題視されたといわれています」

今回、行方がわからなくなっている最高幹部2人は追放ではない。粛清されたと見られるのだ。背景には「与正氏との近すぎる関係があったのでは」と高氏は考える。

「歴代の宣伝扇動部長たちは、与正氏と葛藤を抱えていたといわれます。同部が統括する北朝鮮のメディア戦略は、金正恩時代になって大きく変化しました。父親の金正日時代には、最高指導者の露出は少なく神秘的なイメージをまとっていた。しかし正恩氏は比較的オープンで、外交の場にも積極的に姿を出します。夫人もファーストレディとして、たびたび登場している。以前はなかったことです。

このような劇的な変化は、スイスでの海外生活を経験した正恩氏と与正氏の若い感覚が影響しているのは間違いないでしょう。彼らのセンスに、高齢の幹部がついていけなかったとしても不思議ではない。『最高尊厳は露出を控えるべき』という古い考えの上司が反感を持ち、与正氏との関係に隙間ができたと考えられます。独裁者である兄の意向で動く与正氏との溝は、上司たちにとって命取りになりかねないのです」

北朝鮮でも世代交代が進んでいる。背景には、同国の残酷な事情も働いているようだ。権力者に反発した幹部は消される……という現実が。

  • 写真ロイター/アフロ

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