『坂上どうぶつ王国』愛され大家族・廣川家の撮影舞台ウラ | FRIDAYデジタル

『坂上どうぶつ王国』愛され大家族・廣川家の撮影舞台ウラ

テレビなし、ガスなし、水道は井戸水。俗世とかけ離れた廣川家の暮らしが魅力的に映るそのワケは?

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徳島で自給自足の暮らしをしている廣川家の面々 ©フジテレビ

今夜7時放送『坂上どうぶつ王国』(フジテレビ系)で『徳島県・自給自足7人大家族』のコーナーがオンエアされる。

取材対象は、徳島県の集落で暮らす廣川家。父・すーさん(46)、母・あゆみん(39)、長男・和楽(11)、次男・空太(10)、長女・雨種(7)、三男・然花(5)、次女・珠葉(1)の7人家族。加えてヤギ、鶏、猫、犬など多くの動物たちと暮らし、生活のほぼすべてを自給自足で行なっている。令和の俗世からはまるでかけ離れた一家だ。

昨年4月にこの家族の企画がスタートして以降、この家族の企画がじわじわと人気が上昇している。その人気を表すように、放送枠は毎回2〜3時間の特番でたびたび放送されている。人気芸人やアイドルなど、数々の芸能人たちが廣川家を訪れる企画もある。

ただ並べられた概要を読むだけでは、各局で放送されている“よくある大家族スペシャル”。でもそこにはただの大家族モノでは済まない何か仕掛けが潜んでいるはず。その答えを総合演出のフジテレビ・筧大輝さんに聞いた。

「踏み込みすぎず、あの家族の生活を壊さないこと」

このインタビューに出かけた私・小林は実は、動物も子どもも苦手な独身勢。それが何気なくテレビで見た『徳島県・自給自足7人大家族』に、大ハマりしてしまい、今ではラテ欄に彼らの名前が出ると、勇んで録画予約をするほどファンである。

そんな敬愛する番組の企画。直接、廣川家に取材へ出かけている人物と会えるというだけで浮かれてしまう。「どんな人だろう……」と待っていると、真っ白なスニーカーを履いた、予想していたよりかなり若い筧氏が登場した。「だいぶ……お若いですよねえ?」そう言葉を投げつつ、取材は始まった。

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――廣川家のテレビなし、ガスなし、水道は掘り当てた井戸水、塩や調味料、小麦粉は手作り、野生動物を絞めて食べるという、自給自足の生活が放送されていますが、まずはあの生活は本当なのでしょうか?

「もちろん本当です。僕らが現地へ取材に出かけても電話もネットもつながりにくく、基本的にすべての通信は制限されます。電話をするのも山をちょっと降りて電波を探す環境ですね」

――どのくらいの頻度で徳島へ行っているのでしょうか?

「平均すると2〜3ヵ月に1回くらいのペースです。でもお父さん(すーさん)から『猫が生まれた』『あゆみん(お母さん)が誕生日』などと教えてもらうと、時には日帰りでうかがうこともあります。飛行機に乗って、徳島空港から車で1時間くらい、合計で3〜4時間ほどかかりますが、何度も出かけていると全然遠く感じなくなりました」

――取材中に気をつけていることは。

「あの暮らしを壊さないこと。それだけは絶対です。テレビが入ったことで、彼らの生活を変えてはいけないですから。取材中も僕らの食事はコンビニ弁当ですが、子どもたちはそういう食生活を知りません。そのため、子どもたちの見えないところで食べるようにしています」

――大家族のそのままの生活を見せることが大切、と。

「リサーチで廣川家を発見して、まずはお父さん(すーさん)に電話で許可をいただいたことからこの企画は始まりました。ただいつも到着時間は伝えていません。いきなりスッと入ってカメラを回すようにして、生活に密着しています。『これをやってください』とお願いすることはありません。ただずっとカメラを回しているわけにはいかないので、生活を侵害しないように止める。でもそういうときに限って、三男の然花が爆発するんですよ(笑)。現場で『ああ〜……撮り逃した……』というのはしょっちゅうです」

――彼いいキャラしてますよねえ(笑)!

「先日も、ロケに行ったEXITと然花、和楽(長男)がカメラの回っていないところで遊んでいたんです。でも急に然花が『かねち! パクチー!!』って叫び出して。え? その一言なに?? って驚きますよね。彼のキャラは他の番組スタッフも『天才だ』と褒めています」

三男の然花くん ©フジテレビ

――ほっぺが真っ赤で、お菓子が大好きで(笑)

「(愛おしそうに)天然でとってもかわいいです」

――でも子役でもない普通の子が、都会からやってくる大人に馴染んでくれるものでしょうか?

「最初から僕らに興味を持ってくれたのは、子どもたちなんです。『名前なんて言うの?』って寄ってきてくれて。彼らは本当に純粋で、好奇心も旺盛です。テレビやインターネットなどから離れすべてを自分たちでまかなう環境で暮らしているので、世の中の流行など知らないことも多いですが、父親のことを尊敬していて、生きるための家事をものすごい熱量で覚えているんです」

――そんな彼らにすごい友達ができましたよね。

「そうです、EXITです」

EXITと廣川家のみなさん ©フジテレビ

「嫌がる子どもはいません。みんな僕らに興味津々です」

――EXITさんだけではなくて、他にも有名人が出かけられています。でもあの二人は(EXIT)ご家族とかなり盛り上がっていたのが、放送から伝わってきて……。私もそれまで『チャラ!』と、彼らのことを思っていましたけど、放送を見て尊敬するようになりました(笑)

「そのようにおっしゃる方が多いです。ご本人たちもSNSでの反響がすごいと驚いていましたけど、EXITと廣川家の化学反応は我々の想像以上でした。人気コンビなのでロケに行くのも大変ですし、しかもコロナ禍ですから、何度もロケは中止になっています。でもあの見た目のふたりと(笑)大家族がどうなるのかが見てみたくて……」

――結果「ポンポーン!」と大成功でした。

「兼近さんは出身地の北海道で似たような体験をしたこともあるそうで、生活に馴染むのが早かったです。さらにベビーシッターとして働いた経験もあるので、子どもたちとの距離も急速に縮まりました。二人とも『こういうふうに話したら喜ぶだろうな』『これを仕掛けたら、反応してくれる』という塩梅を熟知している。だから子どもたちも二人がくると『かねち!』『りんたろー!』と大騒ぎです」

――和楽くんが兼近さんに『鬼滅の刃』をクラスで自分だけが知らないと悩み相談をしたこともありました。

「そこで兼近さんは『和楽はみんなが知らない花の名前を知っているだろう?』と、素敵な言葉をかけてくれました。EXITもご家族のことを今後も見守りたいと言ってくれています」

兼近(EXIT)と和楽くん ©フジテレビ

――今後、あの家族をどんなゲストが訪れる予定でしょうか?

「収録ではレギュラー出演者たちがみんなでVTRを見ていて、『また鹿食べていたね!』『次はくっきー!がロケに行くのでは?』などと盛り上がっています。もちろんEXITには引き続きお願いしたいと思っています」

――できれば坂上さんに行って欲しいなあと、ファンとしては願います。

「きっと興味は持っていただいていると思います。いつもあの家族は本当にすごいなぁと感心されています」

――でも改めてすごい家族ですよね……全員、主役で脇役がひとりもいない雰囲気がします。

「普通の大家族の企画の場合、なにか事件があるじゃないですか。家族同士で揉めるとか、子どもたちが巣立つとか、そういう目玉があるんでしょうけど、あのご家族の日常は、圧倒的に見たことがない世界ですよね。テレビの存在意義は、通常生活では見られない、やれないことを見てもらえることだと思っています。彼らはその原点なんじゃないかなと思います。

僕も何度も現地に行っていますが、本当に見たことがないことばかりです。こんなに何度も放送しているのに『まだあるか!』というほど、新しい発見があるんです。だから彼らの嘘のない日常を、そのまま見せることが一番だと思っています。こちらが手を加えたら何も出てきません」

三男の然花くん ©フジテレビ

――個人的にはすーさんがイケメンというのも、ヒットの理由なのかなと思っています(笑)。友人同士で盛り上がったんですよ。すーさんって見た目もいいし、これまでの“大家族モノ”にはなかった、独特な爽やかさがある。こんな不協和音な時代だからこそ、自給自足で暮らして家族を牽引していく男はかっこいい! って。

「おお! それは新しい視点ですね。今度、お父さん(すーさん)さんに伝えておきます」

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終始、楽しそうに筧さんが語る廣川家の様子。まるで親戚の近況を聞いているようで、こちらも楽しかった。

廣川家のVTR編集は、ありのままを見せるために、敢えてテンポをあげない編集方法を採用しているという。今、コロナ禍の影響で思うように仕事が進まず、悩むひとたちが数多くいる。彼らも例に漏れず、予想外のパンデミックに何度も企画を倒され、「やりたかった企画の8割は頓挫しました」と筧さん。

でもそういう状況下でも、なにか廣川家のような見る側をワクワクさせる企画はある。必ずある。そういうことをあの素のまんまの家族は教えてくれているのかもしれない。たくさんの話を聞いて、なぜペットも飼ったことはないし、もちろん子どもを産んだこともない自分が、あの徳島県の一家に思いを馳せるのか分かった気がする。

●筧大輝
1988年生まれ。慶應義塾大学卒業後、2011年にフジテレビジョン入社。2019年より『坂上どうぶつ王国』総合演出を務める。

 

  • 小林久乃

    エッセイスト、ライター、編集者、クリエイティブディレクター、撮影コーディネーターなど。エンタメやカルチャー分野に強く、ウエブや雑誌媒体にて連載記事を多数持つ。企画、編集、執筆を手がけた単行本は100冊を超え、中には15万部を超えるベストセラーも。静岡県浜松市出身、正々堂々の独身。女性の意識改革をライトに提案したエッセイ『結婚してもしなくてもうるわしきかな人生』(KKベストセラーズ刊)が好評発売中。

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