リアル『ドラゴン桜』隂山英男が指南「東大に入れる子の育て方」 | FRIDAYデジタル

リアル『ドラゴン桜』隂山英男が指南「東大に入れる子の育て方」

教育困難校が「変わった」。東大を目指して勉強することで、人生を切り開く

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「どんな子が東大に行けるのか。答えは簡単です。『自分は東大に行く、行ける』と思ってる子が、東大に行くんです」

まるで『ドラゴン桜』のように断言するのは隂山英男先生。「百ます計算」で教育界に殴り込みをかけた、あの隂山先生だ。

隂山メソッドで東大に。「子どもに夢を持たせることが大人の仕事。コロナ禍の困窮こそ教育を見直す機会だから。勉強が未来をつくるんです」 撮影:tenhana

「兵庫県の公立小学校で教えていたとき百ます計算を知って、クラスに導入しました。徹底して基礎学力の向上を目指したんです。そうしたら、学力が飛躍的に上がった」

隂山メソッドは、2000年にNHKなどで取り上げられ、大きな反響を呼んだ。

「百ます計算がドリル化されて、全国に広がりました。私の教育のポイントは徹底した反復学習による『基礎学力の向上』と『高速授業』、そして早寝早起き朝ごはんといった『生活習慣の改善』、これだけです。当時の教え子は1学年50人ほどでしたが、その後、東大京大、国公立医学部などにずいぶん進学しました。小学校低学年からの集中学習が『効いた』んです」

第1次安倍政権の目玉企画だった「教育再生会議」にも参加、地方の小さな学校から始まった「隂山メソッド」は、大きな評価を得た。

希望がない街の子どもを東大へ

広島県尾道市の公立小学校の校長、京都市内の私立小学校を経て、今。

「九州のいわゆる『教育困難』といわれていた地域の学校で、隂山メソッドを実践しています。学力向上なんてものじゃない、爆上がりですよ」

福岡県の筑豊地域は、かつて炭鉱の街として栄えていたが、廃坑にともなって街はどんどん寂れた。

「県内の学力テストで、筑豊地区は万年最下位。問題行動も頻発していました。地元の教育長さんから『この子たちに、この生活から抜け出る方法を身につけさせたい。この子たちの未来をつくりたい。そのために教育を』と話をいただきました。

はいはい、と引き受けて、実態を知ってちょっと引きました。ほんとうに学力が低かったんです。街には活気がありません。親の代から『希望』が見失われていた。だから子どもに勉強させようという気持ちも、起きてこないんです。でも、教育長や教員の思いは強かった。

よし!と思いました。この子たちのなかから、東大に入る子を出そう。子どもに、諦めではなく、未来があることを見せたい、と強く思いました」

そして実践したのが百ます計算、漢字練習など「基礎学力の向上」だ。

「そんなことで、って思うかもしれない。でも現実に、子どもたちはグングン伸びるんです。基礎学習を徹底して身につける。同じクラスのなかでも、子どもによって理解度、進度は違いますから、できる子にはどんどん先に進めるように促す。つまづいた子には、つまづいたところをできるまで繰り返し教える。こういうとすごくシンプルでしょ。でも、それができてない学校がたくさんあるんですよ」

保護者の間には「勉強なんか」という空気もあったという。

「親御さんたち自身、誤った学習方法によって勉強の楽しさとか喜びとか、知る機会がなかったんですね。だから、子どもたちが『やらされて可哀想』というふうに思ってしまわれた。でもね、当の子どもが輝いてきたんです。

勉強って、なんだと思います? 勉強とは『集中する練習』なんです。だらだらやっても身につかない。集中さえできれば、反復学習によって基礎学力が習得できるんです。そして、小学校で基礎学力を身につけた子は、そのあと中学、高校受験、大学受験まで乗り切れます」

じゃあ、その集中をどうやって身につけるか。

「まずは、徹底した反復学習で基礎学力をつけます。具体的には、百ます計算、漢字練習徹底反復、音読。これで学習が定着したら、集中速習授業です。これは、数時間分の授業を1時間でやってしまう方法。雑な授業のように誤解されそうですが、この一見常識破りな方法が極めて有効でした。授業していると、その1時間でみるみるうちに伸びてくる」

授業についていけない子はどうすればいいだろう。

「課題を与え、自力で解いていかせる。『解けない子は前においで』といって、教卓に子どもを集め指導をする。解けない子がいれば、何度でも説明します。子どもがわかっているかいないかが明確になることで、教員が指導しやすいというメリットもあります」

隂山先生自身が九州の学校で毎日教えるわけにはいかない。隂山メソッドを使って、現場の先生が指導をする。

「教育の世界も、因習とか上下関係とかいろいろありますよね。いちはやく導入して成功した福岡県飯塚市や田川市では、市をあげて体制を整えたことも大きいです。いっせいに導入して、市長を中心にみんなが応援した」

田川市では、市内の9小学校で、このメソッドを取り入れている。

「田川の奇跡です。朝学習に隂山メソッドを取り入れて5年で、学校の風景ががらっと変わりました」(田川市教育委員会・石井雄二さん)

結果、全国標準学力テストの成績が爆上がり。全国平均を30-40ポイント上回ることも少なくない。すべての小学校で、全国平均を上回る。筑豊地区の学力は大躍進し、他地域の学校を慌てさせているという。

そうなると、子どもたちも教員も学校が楽しいのだ。学校に活気が戻った。隂山先生が言う。

「そうしたらね、中高生や若者の非行が劇的に減ったんです。警察署長さんが『おかげで暇になった』って笑ってました。勉強についていけず、学校がつまらないという子が減ったからだと言われました。うれしかった。

それと、市への流入人口が増えてきたんですよ。筑豊にはもともと大手企業の工場があって、そこには本社から社員が赴任してくるんですが、これまでは単身赴任が多かったんです。けれども、市内の教育レベルが上がったことで、社員が安心して家族を帯同するようになった。その後、移転してくる企業が相次ぎ、ともなって住民が増え、商店が活気づき、税収も増えたそうです。

そんなふうに街全体が盛り上がったことは、予想外の効果でした」

すべての子に夢を持たせたい

今、このメソッドを全国に届けたいと試みている。

「コロナ禍で、経済的な困窮、子どもへの影響も深刻です。経済格差が教育格差につながり、子どもたちの未来が閉ざされることは、いちばん恐ろしいことです。公立の学校でしっかり勉強をして、東大でもどこでもいけるようにしたいんです。

一方で、現場では先生たちの負担が大きく、教員のなり手が激減している。先生に余裕がない。公立学校の教育の質が問われています。

オンライン授業の可能性が広がった今、SNSのオンラインラボで全国対象の交流研修会も始めました。教育の現場に隂山メソッドを導入できる仕組みです。今、実践校は九州の福岡、宮崎、佐賀から、大阪、岡山、新潟、高知、鳥取、香川、岐阜と各地に広がりました。このシステムなら、経験の浅い先生でもしっかりした授業ができます。

東大に行けるのは、東大に行けると信じている子だけ。そう、信じさせなければ。経済的余裕がなくても、地方に住んでいても、東大に行きたい、行けるはず。子どもたちが夢を持てるように育てるのが僕ら大人の仕事です」

「夢」と「勉強」は、未来を開くためにある

「僕自身の夢はね、ラジオのDJになりたかったんですよ。それは実現しました。ラジオ番組をもってるんです。あと音楽。作詞作曲して、CDをリリースしました。バンド活動はちょっとお休みしてますが、京都にはいいライブハウスがあってね。こないだもライブを聴きに行きました」

音楽が好き。ライブに足を運ぶだけでなく、自分で演奏したりミュージシャンと交流も。「妄想こそ夢。それはいつか叶うんです」

かつて、新米教師だったころの「失敗」がある。

「学力の低い子に、調べられる限りすべての方法を尽くして伸ばそうと努力しました。その子も、一生懸命にやった。けれども、学力は伸びませんでした。

懸命に努力したのに伸びなかったということは『自分はダメだ』と思い込ませるに等しい。正しくない努力は残酷です。それを子どもに強いてしまったことを深く悔やみました。絶望しました。子どもに申し訳なかった。それでも、なんとか子どもを伸ばしたい。前に進みたいと思ったとき、百ます計算に出会いそれを実践したら、子どもたちにいい表情が生まれきたんです。

東大がすべてじゃないです。でも、東大は頂点です。どんな子にも頂点をめざす権利があります。僕はその権利を守り、伸ばしたい。勉強は、未来を開くためにあるんです」

「筋トレを始めて体が変わったら気持ちがより前向きなった」という。新米教師だったころの失敗を今も忘れない。60歳を過ぎて「失敗してもいい。挑戦し続ける」と、あらためて思う

隂山英男:1958年兵庫県生まれ。公立小学校の教員として学力向上の成果を上げる。「百ます計算」などをドリルにした『徹底反復シリーズ』は累計800万部を超えている。これまでの実践をまとめたオンライン学習システム『K-GYM』をリリース。著書多数。最新刊『子どもの幸せを一番に考えるのをやめなさい』(SB新書)では、親世代に向けた熱いメッセージを伝えている。次女は東大卒。3人の子はそれぞれ独立、現在は京都に近い滋賀県大津市、琵琶湖のほとりに妻と暮らしている。

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