井上尚弥 二人の世界王者が絶賛「進化を続ける男の圧倒的な強さ」 | FRIDAYデジタル

井上尚弥 二人の世界王者が絶賛「進化を続ける男の圧倒的な強さ」

WBAスーパー&IBF世界バンタム級タイトルマッチで圧巻のKO勝利 タイトルマッチを闘った田口良一(元WBA・IBF世界ライトフライ級統一王者)× 盟友・京口紘人(WBA世界ライトフライ級スーパー王者)

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まさに「子供扱い」だった。

井上尚弥(28)は傷ひとつ負うことなく、9分弱でマイケル・ダスマリナス(28)をKO。WBAスーパー&IBF世界バンタム級王座の防衛に成功した。

井上のボディで悶絶するダスマリナス。8月に行われるドネア(WBC)対カシメロ(WBO)戦の勝者と、年内にも4団体統一戦を行う
井上のボディで悶絶するダスマリナス。8月に行われるドネア(WBC)対カシメロ(WBO)戦の勝者と、年内にも4団体統一戦を行う

井上の盟友でWBA世界ライトフライ級スーパー王者の京口紘人(27)は開始20秒後の変化を見逃さなかった。

「1ラウンド、井上選手はいつものように相手のパンチが届く距離やスピードを分析していましたが、ゴングから20秒くらい過ぎたころ――ダスマリナスのジャブの打ち終わりに、カウンター気味に左フックを当てた。すると即座にダスマリナスは警戒を強め、ガードを固めました」

挑戦者が実力差を知るには十分な一撃だった。そう分析するのは、かつて井上とタイトルマッチを闘った元WBA・IBF世界ライトフライ級統一王者の田口良一(34)だ。

「後輩とダスマリナスが後楽園ホールで闘ったことがあるのですが、打たれても打たれても、ゴリゴリ押してくるラフなファイターでした。それが今回は完全に腰が引けていた。井上選手はたった一発で『思ったように動けない』『危険だ』と挑戦者にわからせたのです」

ガードを固め、ディフェンシブになった世界ランカーを倒すのは至難の業だ。しかし、京口はKOを確信したという。

「1ラウンドの中盤にはダスマリナスの動きを見切っていましたからね。2ラウンドに入ると、井上選手は自分のガードを下げて顔面をガラ空きにした。あえてスキを見せてパンチを打たせようとした」

パンチを打たせてカウンターを狙う。ここまでは田口、京口両氏の想定内だったが、井上は即座に次の戦略に移行する。

「『ボディでのKO』に切り替えました。腕を前に押し出すようにしてアッパーを打つボクサーはたくさんいますが、横から肉を抉(えぐ)って刈り取るようなあのボディフックが打てる選手は、世界トップの舞台でも、なかなかお目にかかれません。’19年のWBSS決勝で闘った元5階級王者で現WBC世界バンタム級王者のノニト・ドネア(38)も、あのボディフックで倒されました」(田口)

ボディアッパーの名手・京口も「あのボディフックは打てない」と驚く。

「あんなにコンパクトにベストタイミングで打てないですよ。ハイレベルです。ダスマリナスはサウスポーだから、右半身を前にして構える。『左ボディフックが当てやすい』と判断したのでしょうが、彼は世界ランキング1位の指名挑戦者。それを同じパンチで3回も倒すとは……相当な実力差がないとできない芸当です」

距離を支配し、閃(ひらめ)きが天から降りてきたとき、KOが生まれる。井上自身が本誌に語っていた境地である。

「僕と闘ったときは右ボディストレートから左アッパーという高度なコンビネーションでアゴを突き上げられました。いったい、どれだけの攻撃パターンを持っているのか……」(田口)

常に上を目指す――この徹底こそ井上の強さだと両氏は口を揃えるのだった。

『FRIDAY』2021年7月9日号より

 

  • PHOTOAP/アフロ

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