異様な存在感…六本木のど真ん中で住吉会と稲川会が「トップ会談」
小川修司会長と内堀和也会長が対面
ダークスーツ姿のオトコたちが鋭い眼光で周囲を警戒し、それを10人弱の私服の警察官が見守るーー。6月29日午前中の東京・六本木。東京ミッドタウン近くの路上には尋常ならざる緊張感が漂っていた。
11時近くになって、5台ほどのワンボックスカーが建物の前に次々と横付けされ、関東最大の指定暴力団「住吉会」の小川修司会長が降り立った。同じクルマに乗っていた、ナンバー2・小坂聡会長代行(幸平一家加藤連合会会長)がこれに続く。出迎えを受けた彼らが入っていくビルには、指定暴力団「稲川会」の総本部がある。
「小川会長は4月に就任したばかり。今回は、新体制になったことを稲川会・内堀和也会長らに報告するための挨拶が目的で訪問したと思われます。トップ人事が行われたときに、付き合いのある他団体に挨拶回りをすることは慣例行事であり、小川会長にとっては、いわゆる”外交デビュー”でしょう」(稲川会関係者)
ただし、住吉会と稲川会は水面下で緊張関係にある。例えば、’19年1月、神奈川県川崎市の路上で稲川会関係の男女2人が銃で撃たれて重傷を負う事件が発生し、後日、住吉会系組長ら5人が殺人未遂と銃刀法違反の容疑で逮捕されている。さらに言えば、’01年8月、住吉会幹部の通夜が執り行われていた東京都葛飾区の「四ツ木斎場」で、住吉会系幹部が稲川会系組員2人に射殺されている。
「その都度、表面的には手打ちはしても、それは形だけだと言えます。住吉会は新体制で、武闘派で知られる『加藤連合会』を率いる小坂会長代行がナンバー2となりました。小川新会長は、その小坂会長代行を挨拶回りに同行させています。ナンバー2なので当然なのですが、儀礼的な挨拶とはいえ、武闘派路線の継承を周囲に意識させる結果になったと思います」(全国紙社会部担当記者)
15分弱ほどで挨拶を終えた小川会長が稲川会の総本部を後にする際、見送りの中に内堀会長の姿は見られなかった。それから約20分後、エントランスから現れた内堀会長は実に険しい表情をしていた。
「ヤクザの”外交”の舞台では、挨拶に来た相手の団体のトップが見送りをするのが一般的なのですが、やはり、特別な緊張感があったのかもしれません。
東京五輪の期間中は警察当局も徹底して暴力団組織をマークするでしょうから、特段大きな動きはないと思います。ですが、五輪後はどの組織がどう動くのか、まったく予想がつきません」(同前)
嵐の前の静けさでないことを祈るばかりだ。






写真:田中俊勝