仮面女子 猪狩ともか「いつだって前向き思考で生きていく」 | FRIDAYデジタル

仮面女子 猪狩ともか「いつだって前向き思考で生きていく」

’18年、不慮の事故で脊髄を損傷し、立つことも歩くこともできなくなった 「29歳、車いすアイドル」が東京パラリンピック開催直前に想いを語った

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22歳だった’14年から芸能活動を開始し、’17年2月に「仮面女子」に加入。その1年2ヵ月後、事故に遭う(撮影:濱﨑慎治)

「私は怪我をするタイミングに恵まれていたのかもしれません。東京でパラリンピックが開催される数年前に事故に遭ったから、幅広い活動ができているのだと思います。新しい出会いも沢山あったし、100%悪いことばかりじゃないんですよ」

そう笑顔で語るのは地下アイドルユニット『仮面女子』のメンバー、猪狩(いがり)ともかさん(29)だ。猪狩さんは’18年春、東京都文京区の湯島聖堂の付近で、強風によって倒れた看板の下敷きとなり、脊髄を損傷して下半身不随に。今年5月には、倒壊した看板の管理責任は国にあるとして、東京地裁に損害賠償を求める訴訟を起こしたことでも注目を集めた。

「今も臍から下の感覚がありません。熱さや冷たさ、痛さを感じることもできません。猫ちゃんに噛まれても気づかないくらいなんです。そして何より、自分の足で踊ることができなくなりました。 でも、私だからこそ伝えられることがあり、悩んでいる人に勇気や希望を与えられるんじゃないかと思っています。ステージに立つメンバーの中に車いすの私が当たり前のようにいる。そういう姿を見てもらうことで、〝偏見の壁〟を少しでも低くできたらいいなと思っています」

彼女は『100%の前向き思考 生きていたら何だってできる!』という著書を執筆するほどのポジティブ思考の持ち主。もちろん、そう考えられるようになるまでには様々な逡巡があったという。

「リハビリを終えて4ヵ月ぶりにライブに復帰するときは、車いす姿の私をメンバーやファンの人は受け入れてくれるのか不安でした。満足なパフォーマンスもできず、復帰してしばらくは、『みんなの足手まといなのでは』という思いがずっとありました。そんなときに私の背中を押してくれたのが、パラスポーツの選手の方たちだったんです。怪我をする前は、障がいを持つ方を見ると、『大変そう、可哀相』というイメージがどうしても浮かんでいました。でも、パラアスリートの皆さんは実際にお会いすると、そういう印象がまったくない。人生を楽しんでいるし、自分の限界を越えようとチャレンジを続けている。私も障がいを理由に逃げちゃだめだって思いました」

30歳を目前にして

パラアスリートたちの生き方に共鳴した猪狩さんは、自身でも車いすテニスや水泳、スキーなどに挑戦。その活動が認められ、東京都から「パラ応援大使」にも任命された。さらにNHK・Eテレの番組『パラマニア』にレギュラー出演を果たすなど活動が広がっている。

「SNSなどで、『怪我してファンが増えて良かったね』なんて書き込まれると、違和感がありますね……売名のために下半身を犠牲にするわけないやん!って」

一方で、コロナ禍でのオリパラに関しては複雑な心境もあると語る。

「感染のリバウンドが懸念される中で、開催に反対する意見があるのも分かります。だけど、選手の皆さんの気持ちを考えると、頑なに反対する気にはなれません。批判や中傷を受けやすいという点では被害者でもあるんです。五輪が無事に始まれば、全力で応援したいと考えています。私は一人でも多くの人にパラスポーツの魅力を伝えていきたい」

ところで、猪狩さんは現在29歳。アイドルとして自身のキャリアを見つめ直す時期である。実際、昨年の予定では東京五輪後には、『仮面女子』を卒業し、一人のタレントとして活動する予定だった。

「もう年齢も年齢ですし(苦笑)。でもパラリンピックが延期され、私が作詞した楽曲『ファンファーレ☆』が入ったアルバム『MASK A RAID』が発売されたので、卒業も延期しました。最近になって、ついに一回2時間、一日2公演のステージにフル出演できるまで体力も回復してきたんです。だから、もう一度、大きな会場でのワンマンライブにフル出演してみたい。そしたら自分の中のアイドルにケリがつけられるかもしれません」

今年の12月9日には30歳を迎える。結婚願望はあるのだろうか?

「願望はめちゃくちゃあります!」

隣にいたマネージャーが、笑いながら「常にハンターのように相手を探していますよ」と茶々を入れるが……。

「でも、アイドルという職業をやらせてもらっている以上、ファンの方を裏切れません。だからすべては卒業してからですね。フライデーさんにスクープされるように私生活も頑張りたいです(笑)」

彼女の歩みはこれからさらに加速していくことになりそうだ――。

西武ライオンズの大ファンで、’18年9月には始球式に登場。2バウンドでキャッチャーのミットに収まった
本誌の取材場所に、猪狩さんは自らコンパクトカーを運転して現れた。ハンドルさばきも慣れたものだった
本誌未掲載カット 『仮面女子』猪狩ともか「いつだって私は前向き思考で生きています」
本誌未掲載カット 『仮面女子』猪狩ともか「いつだって私は前向き思考で生きています」

『FRIDAY』2021年7月16日号より

  • 取材・文尾谷幸憲撮影濱﨑慎治

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