『VS嵐』の後釜『VS魂』に「ジャニーズ寄せ集めの限界」の声 | FRIDAYデジタル

『VS嵐』の後釜『VS魂』に「ジャニーズ寄せ集めの限界」の声

スタートから半年。「嵐の不在」の物足りなさを感じてしまう理由とは?

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活動休止中の嵐(PHOTO・蓮尾真司)
活動休止中の嵐(PHOTO・蓮尾真司)

「寄せ集め形式」は昭和の手法

嵐の活動休止にともなう番組スタートからちょうど半年が経過した『VS魂』(フジテレビ系)。12年超にわたって放送された『VS嵐』の後継番組であり、「ジャニーズ事務所の所属タレントがアトラクション型のゲームでゲストチームと対戦する」というコンセプトは変わっていない。

一方で大きく変わったのがメンバー構成。嵐という1つのグループから、各グループからの寄せ集め形式に激変した。そのメンバーは、キャプテンの相葉雅紀(38歳)、キャプテン補佐の風間俊介(38歳)、ジャニーズWEST・藤井流星(27歳)、King & Prince・岸優太(25歳)、Sexy Zone・佐藤勝利(24歳)、美 少年(ジャニーズJr.)・浮所飛貴(19歳)の6人。

「いきなり嵐のあとを担える若手グループはいないし、そこまでのリスクを負わせたくない」。また、「若手を売り出したい」というジャニーズと、「視聴者の若返りを図りたい」というフジテレビの思惑が合致してこの形に落ち着いたのだろうが、ここまではうまくいっているとは言い難い。

そもそも『VS嵐』は、仲の良さが武器の1つだった嵐だからこそ企画され、放送され続けてきた番組。相手チームと対戦する構成ながら、メンバー同士で楽しげに振る舞う5人の姿が視聴者の笑顔や癒しにつながっていた。

その“仲の良さ”や“楽しげに振る舞う姿”を寄せ集めのメンバーで見せていくのは至難の業。グループだけでなく、年齢もキャリアもバラバラであり、半年が過ぎた今もまだ一体感や絆が生まれているようには見えない。もし本人たちが「徐々に距離が縮まっている」と思っていても、視聴者がそう感じるかは別の話であり、『VS嵐』を見ていた人にとってはなおさらだろう。

もともと『VS魂』のような寄せ集め形式は、昭和や平成初期の手法。現在よりも芸能人の格が高い時代に、「複数のスターを並び立たせて“夢の共演”というムードを作り出そう」という狙いがあり、本来若手に使う手法ではない。つまり、かなり古い手法であり、今回のメンバーでなくても成立しづらいものなのだ。

ゲームから漂う放送13年の金属疲労

もう1つ『VS魂』の難しさを象徴しているのが、それぞれのゲーム。

たとえば、7月1日に放送されたゲームを振り返ると、最初がアーチェリー型アトラクションの「アローシューティング」で、これは『VS嵐』で行われた「ウォールヒッター」と「キッキングスナイパー」を合わせたようなものだった。

また、最後のゲームは、パスをつないで移動型のゴールにパックを入れる「クラッチゲッター」だったが、これも『VS嵐』の「バウンドホッケー」に似ている。

その他、2人1組で積み上げたブロックをゴールまで運ぶ「グラグラデリバー」と、カードに書かれたお題の言葉を当てる「キキトリ魂」が放送されたが、これらも『VS嵐』のDNAを感じさせるゲームだった。「『VS嵐』から『VS魂』に変わってゲームも一新された」とうたわれていたが、内容としてはほとんど変わっていないのだ。

となれば、アトラクション型のゲーム番組としては、放送13年の金属疲労が表れても仕方がなく、飽きられている感は否めない。実際、業界内から「メンバーの人選というより、番組コンセプト自体がそろそろ限界なのではないか」という声も聞こえてくる。

番組は終始、ポップでカラフルなセット、画面の四方を埋め尽くすテロップ、急にインサートされるイラスト、出演者を囲むようにリモート観覧する観客たちなど、楽しさや明るさを強調するような演出が施されている。

しかし、本当に必要なのは、『VS嵐』を忘れさせるような新鮮かつ斬新なゲームであり、「どこかで見たようなもの」ではなく、SNSでマネする人が続出するようなヒットゲームの存在だろう。

視聴率は早くも“低め安定”で定着

この1か月間の視聴率は、6月3日が個人3.7%・世帯6.1%、10日が個人3.7%・世帯6.1%、17日が個人3.8%・世帯6.2%、24日が個人3.8%・世帯6.2%、7月1日が個人3.8%・世帯6.2%。ほとんど変わっておらず、ここ3回はまったく同じであることから、現在の数字で定着したのだろう。見てわかる通り、及第点と言えるレベルには至っていない。

ただ、『VS魂』は若年層視聴者の獲得を求められた番組だけに、本当に重要なのはフジテレビが重点ターゲットに掲げる“キー特性”(13~49歳)の視聴。とりわけ「若年層のファンが多い藤井、岸、佐藤、浮所がどれだけ視聴者を連れてこられるか」がカギを握っている。また、1日の放送にはSexy Zone・中島健人やHiHi Jets・髙橋優人らが出演したが、ゲストチームの人選も若年層視聴者を意識した顔ぶれが続いていくはずだ。

ちなみに1日放送時にCMが流れたのは、日本臓器製薬(漢方ラックル顆粒)、フジパン(スナックサンド)、P&G(アリエール)、再春館製薬所(ドモホルンリンクル)、マンナンライフ(ララクラッシュ)、エステー(脱臭炭)、第一三共ヘルスケア(マキロン アクネージュ、ロキソニンSローション)、KINCHO(お肌の虫よけプレシャワーDF)、小林製薬(漢方テイラック、消臭元パルファム)、PREMIERE ANTI-AGING(クレンジングバーム DUO、カナデル)、CROP、SERAO(38colars mask)、アサヒ飲料(濃いめのカルピス、カルピス)。

ワーナー・ブラザース(映画『東京リベンジャーズ』)、Apple(iPad)、セブン&アイHLDGS.(セブンイレブンアプリ、セブンイレブン)、DELL、FANCL(カロリミット)、任天堂(リングフィットアドベンチャー)、ユニ・チャームペット(三ツ星グルメ)、UQモバイル、CANMAKE TOKYO(クイックラッシュカーラー)。

若年層やファミリー層より高齢層向けのほうが、やや多いだろうか。やはり藤井、岸、佐藤、浮所がもっと若年層視聴者を連れてこられるくらいの人気者にならないと、今後は苦しいのかもしれない。

「活動再開の嵐がゲスト出演」という夢

『VS』シリーズは歴史のあるブランドである上に、これだけの若手を集めてはじめた以上、すぐに打ち切られることはないだろう。ただ、個人はもちろんジャニーズWEST、King & Prince、Sexy Zone、美 少年の人気を上げていかなければ、この先の放送は不安定と言わざるを得ない。

その際、「このグループを売ろう」と集中させるのではなく、「どのグループも売れてくれ」と複数を並び立てようとするジャニーズ事務所の戦略が成長スピードにブレーキをかけてしまう可能性はあるだろう。やはり、寄せ集め形式は難しいと言わざるを得ない。

前述したように、嵐と寄せ集めメンバーの比較や、アトラクション型ゲーム番組の金属疲労が見られるだけに、制作サイドのさらなる工夫が求められているのは間違いない。嵐の活動再開まで、現在のメンバーで番組を保っていけるのか。理想は活動再開した嵐に対戦相手としてゲスト出演してもらうことだが、そこまで踏ん張れるかは未知数だ。

現状、ファンたちが「最も嵐の不在を感じてしまう番組」となっているだけに、まずはその印象を覆していきたいところだろう。

  • 木村隆志

    コラムニスト、テレビ・ドラマ解説者、タレントインタビュアー。ウェブを中心に月30本前後のコラムを提供し、年間約1億PVを記録するほか、『週刊フジテレビ批評』などの番組にも出演。各番組に情報提供を行うほか、取材歴2000人超の著名人専門インタビュアーでもある。1日のテレビ視聴は20時間(同時視聴含む)を超え、地上波全国ネットのドラマは全作品を視聴。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』など。

  • 写真蓮尾真司

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