与沢翼の「第二子誕生」ツイートが1000万円で売れた背景
「第二子誕生」のツイートは1000万円で落札! 海外ではアート作品が75億円で取り引きされたケースも
「1000万円は完全に想定外ですよ。数百万円が限界だと思っていたので大満足です。そもそも半分は遊びのつもり、もう半分はどういうシステムか興味があって始めただけで、僕のツイートにこんな価値がつくとはまったく思っていませんでした」
純資産90億円、今年4月にはドバイの5億円豪邸まで手に入れた与沢翼氏(38)をもってしても、興奮を隠せないことが6月19日に起きた。自身の何気ないツイートが、オークションで1041万円で落札されたのだ。
「販売したツイートは今年5月に第二子が生まれたときに投稿したものです。当然ですが、今回のオークション、ヤラセは一切していません」
なぜ誰でも閲覧可能なツイートが1000万円越えという高額落札に至ったのか。そこには、このツイートが「NFT(非代替性トークン)」というデジタル資産として販売されたという背景がある。与沢氏が「NFT」について解説する。
「『NFT』が登場したのは’17年頃と言われていますが、今年に入ってから急速に注目を集め始めました。春頃には、仮想通貨関連のニュースで『NFT』という言葉を見ない日は一日もなかったというくらい。『NFT』とは簡単に言えばデジタルデータの登記簿です。今までのインターネットの世界のデジタルデータは、スクショ撮り放題、ダウンロードし放題でまさしく無法地帯。
『NFT』はその流れを変えようとするもので、仮想通貨のブロックチェーンシステムを使ってデジタルデータの正式な所有者を証明できるようになっています。売買の記録もすべてブロックチェーン上で記録され、嘘もつけないし細工もできません。画期的なシステムです」
今年3月にはアメリカの無名デジタルアーティストであるビープル氏の「NFT」作品が75億円で落札。ツイッター社のジャック・ドーシーCEOもツイートを「NFT」としてオークションに出品し、3億円という驚愕の価格で落札されている。
本誌は、実際に1041万円をかけて与沢氏のツイートを落札した人物にも話を聞いた。落札者は岐阜県在住の自営業者で、ツイッターアカウント『バナナ配りおじさん』を名乗っている。
「ツイートを『NFT』として出品するのは、与沢さんが日本初。どんな結果になるのか興味があり、オークションに参加しました。中途半端な金額はないと思っていたので、1000万円は想定内の金額です。落札できて満足しています」
とはいえ、『バナナ配りおじさん』自身も落札は興味本位であり、ツイートを「NFT」としてどのように運用していくかはノープランだという。
与沢氏は「NFT」の可能性にこう期待を寄せる。
「たとえば今回落札してくれた方がずっとツイートの所有権を持っていて、将来僕の娘が活躍したら価値がつく可能性がないとは言えない。ちなみに、『NFT』の一番のメリットはクリエイティブ作品にあります。『NFT』作品が転売をされた際に、著作権者に収益の数%などが還元されるようプログラミングすることもできる。いくら転売を繰り返されても、必ず著作権者の利益になるシステムはマジで凄いです。
ただその反面、前途多難なビジネスモデルであるのも事実。最大の問題は『NFT』の所有権が、ネットのユーザー目線で言うと重要ではないという点です。所有しなくともネットで検索すれば簡単に画像は見られるわけで、当然、私のツイートだって購入しなくても見ることは可能。つまり、・所有・していること自体には、現時点では価値が少ないんです。今後、『NFT』が生き残っていくには、所有者になることに付加価値をつけるなど、さらなる進化が求められます」
「NFT」は新時代の資産となれるのか。熱狂の行く末を注視していきたい。
『FRIDAY』2021年7月16日号より
- PHOTO:与沢氏提供(2枚目) AFP/アフロ(3枚目)