激ヤセ金正恩…秘密警察が極秘調査した「健康不安説の深層」
〈CNNが緊急速報 金正恩氏が平壌の専門病院に搬送された〉
〈脳出血の状態が10日続き、回復は不可能〉
韓国のネット上では、北朝鮮の指導者・金正恩氏に関するフェイクニュースが飛び交っている。反響は大きく、同国の国家情報院が7月7日「金正恩氏の身辺異常説については根拠がない」と発表する事態に。また「金氏は今年2月に比べ10~20kgヤセた」とし、原因は「病気ではなくダイエット」だとした。
「確かに最近の映像を見ると、金正恩氏は激ヤセしたように感じます。7月8日に祖父・金日成氏の27周忌を弔った際の姿は、以前と比べ明らかに頰の肉が落ちスリムになっている。急激にヤセた様子を見れば、『身体は大丈夫かな』と思うのも当然でしょう」(韓国紙記者)
金正恩氏の減量や健康不安説が話題になっているのは、韓国だけではない。北朝鮮国内でも、重大な問題として市民の関心をひいている。北部・平安北道(ピョンアンブクト)の住民は、米国の『ラジオ・フリー・アジア』の取材に答え、以下のように語った。
「一般住民の間でも、『最高尊厳(金正恩氏)』の健康についての噂が広まっている。『歳は若いが、高血圧をはじめ様々な病気を抱えている。長くは生きられないのではないか』と。テレビに映った最高尊厳の姿が、あまりにも痩せていたためだ。『大きな問題があるのは本当ではないか』という疑念が、増幅されている」
金日成氏が亡くなる直前と同じ
北朝鮮では、指導者の身体問題はタブーだ。健康について言及するだけで反逆罪に問われる。発覚すれば、無期懲役や死刑は避けられない。前出の住民のコメントだ。
「当局は、かなりナーバスになっているようだ。国家保衛省(秘密警察)は、6月22日から最高尊厳の健康に関する流言飛語について、極秘調査を開始しているとか。地域の保衛部の知人から聞いた」
東部・平安南道(ピョンアンナムド)の人民班長(町内会長)は、『ラジオ・フリー・アジア』の取材に次のように話している。
「最近、地元の保衛部から、以下のような指示があった。『最高尊厳の健康に関して話す住民がいたら、どんなに些細なことでも報告せよ』と。このような命令は、94年7月に金日成主席が亡くなる直前や、11年12月に亡くなった金正日総書記が脳卒中で倒れた時にも出された」
果たして、金正恩氏は本当に健康を害しているのだろうか。『デイリーNKジャパン』編集長の高英起氏が語る。
「体重がだいぶ減ったのは事実ですが、歩き方などを見ているとしっかししている。今スグ問題になることはないと思います。金正恩氏の体重は、一時期140kgもあったと言われます。太り過ぎで将来に不安を感じ、意識的に体重を減らしたのでしょう。
ただストレスから、タバコを吸いや酒を大量に飲んでいるのは間違いない。公の場から、たびたび長期間姿を消すこともあります。現在は大丈夫でも、定期的に休養が必要な状態なのでしょう。5年10年先を考えると、持病が多くあり、とても万全な体調とは言えないようです」
浮かんでは消える、金正恩氏の健康不安説。当局が火消しに躍起になるのは、決して「事実無根」と言い切れないからなのかもしれない。
写真:共同通信社