サッカー五輪代表エース堂安律が明かした「意外な悩み」 | FRIDAYデジタル

サッカー五輪代表エース堂安律が明かした「意外な悩み」

東京五輪の強化試合で2ゴールをあげた堂安律が「本当の自分」を語った

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12日のホンジュラス戦で2ゴールをあげた堂安律。言動からはわからない繊細さが彼の最大の武器かもしれない(写真:アフロ)

東京五輪でエースナンバー10を背負う堂安律。日本の未来を担うアタッカーであると同時に、海外生活5年目を迎えようとする23歳男子でもある。ピッチを離れたドイツでの暮らしについて質問すると、堂安は様々な表情を見せてくれた。

テレビの主電源が……

サッカーに関しては貪欲でハングリー、発言は大胆でストレート。怖いもの知らずという印象の堂安だが、意外な弱点を明かす。

「人よりも考える性格で、小さいことが気になりますね。繊細……って言ったら誰も信じてくれないんですけど最近(笑)。寝るときなんてテレビの主電源の赤いランプがついてたら眠れないです。ホテルだとそこもちゃんと隠していないと寝られない。そんなのも気になります」

主電源のランプが気になって眠れないとは、かなりの繊細さだ。大胆さと繊細さ、極端にその両方を持ち合わせているようだ。

「何も考えず行っちゃえって、飛び込んでみたらなんとかなるわって思うこともあるし、考えすぎることもあるし。極端ですね、確かに。ただ、いろいろ考えてしまうのはサッカーのことだけです。昨日調子悪かったなーと思ったらその試合の映像が頭の中で出てきたりもするし、考えちゃうと興奮してくることもあるし、もちろん調子が悪くて眠れないこともある。でも、多分僕だけじゃないと思います。発言するかしないかの違いだけで、アスリートって人一倍繊細じゃないんですかね」

一人で考える時間が増えたのは、海外に移籍してきたからこそ。日本にいれば家族や友人と会って話をし、もやもやをごまかすことができる。だが、海外ではなかなかそうはいかない。サッカーに集中できる環境に身を置いている分、あれこれ考える時間が増えた。だが同時に、その対処法も身につけた。

「考えすぎないほうがいいと思うんですよ、ストレスはかかりますし。ただもうこれが俺の性格や、って受け入れるしかない。この性格をもう消すことはできないので、考えすぎちゃう性格を理解して、考えすぎちゃってるなーっていう時はちゃんと考えてその時に対応して、次に進むようにしています」

コロナ禍もありこの1年は一人の時間がさらに増えた。だが、「飽きてしまうから」とゲームの類はあまりしないのだと言う。これまで多くの海外組から、家ではずっとオンラインゲームをしている、などと聞いてきたが、堂安は全く違った。

「日本の友人たちとフェイスタイムで話したり、暇な時はトレーニングしたいなと思うことが多かったです。じっとしていられない性格なので、ちょっと体を動かしたりして時間を潰してましたね」

いわゆる今時の若者とは少し違うようでもある。

「僕、ゲームとか現代っ子と真逆の方向いってるんです。今もキャッチボールしたいって言って野球のグローブ買いましたよ」

フライデーデジタルの取材日は、他にも取材が何件も続くというスケジュールだったが、その合間にキャッチボールをするのだと嬉しそうだった。堂安は野球好きでもあり、兵庫県尼崎市出身ながら「強いチームがかっこいい」と、阪神でなく巨人のファンなのだそうだ。

海外に行き、5年目を迎えた堂安。一人で過ごす時間が多くなり、悩むことが多くなったが、一つ一つ乗り越え、強くなっていった(写真:アフロ)

独学で英語を身につけられた理由

堂安を取材して驚くことの一つに、彼が流暢な英語を話すことが挙げられる。ほとんどの選手が通訳を必要とするメディア対応も一人で問題なくこなす。その英語は、日本で勉強したものではなく、フローニンゲンに入団した2017年以降に”独学”で身につけたと言う。

「もちろん最初は家庭教師をつけてました。でも、その家庭教師はオランダ人の女性で、『この単語わかんねーよ』って言っても英語で答えてくるから、こっちはそれもわからないんです。言ったことを修正されても、それもわからない。これは勉強と思って英会話してても楽しくないなって」

そこで、堂安は発想を転換。楽しみながら、英会話を身につける方法を思いつく。

「その先生と仲良くなろうと思って。普通に友達のように仲良くなろうと思って勉強をしました。そういう意味で、独学です」

友達と語学を同時に得る、いわば一石二鳥の勉強法だ。ただ、オランダと違いドイツでは英語の話せない人も多い。

「ドイツ語勉強しろって怒られたこともありますよ。冗談で、『おい、ドイツ語やらないでブンデスリーガに来んなよ』みたいな(笑)。だから、来季ももしブンデスリーガに残るようであれば、ドイツ語もちょっとやろうかなと思いますけどね」

郷に入っては郷に従うようである。

コロナ禍での一人暮らし、困ったのは食事面だろう。ドイツでは20年11月から21年5月までロックダウンし、飲食店はデリバリーか持ち帰り以外の営業が禁じられた。アスリートにとっての食事は我々一般人のそれとは違う。マクドナルドで一食済ますというわけにはいかないのだ。しかもビーレフェルトは田舎町で気の利いた店も少ない。森保一日本代表、五輪代表監督が「律が食事で困っていると聞いている」と気にかけていることを明かしたこともあったし、実際に日本サッカー協会がサポートの手を差し伸べてもいる。

「そのサポートにはすごい感謝してますね。特にコロナ禍で外食などできない中で、本当にありがたかったです」

感謝しつつも、サポートに頼りきりではなかったことを強調する。

「でも、大概はチームメイトの家いって、デリバリーでメシ頼んでもらってふたりで食べて、ありがとうごちそうさまーって言って、家に帰ってという感じですよ。基本、自分でなんでもできるので大丈夫なんですよ。生きていけるという意味です。僕どこいっても困らないですよ、多分。困らなさそうでしょ?強いんで僕、大丈夫です」

海外組の中では、個人的に家事スタッフを雇い鍵を渡しておき、遠征などで不在のあいだに掃除や洗濯、食事の作り置きを頼むというケースもある。だが、これに関しては堂安の繊細さが顔を出す。

「そういうのイヤです、『勝手におれのうち入るな』って思います。いやじゃないですか?だって僕の家ですよ」

心底嫌そうに否定しつつ、今度は茶目っ気たっぷりに質問を返してくる。

「えー?頼んだら作り置きを作ってくれるんですか?」

冗談半分の上目遣いで筆者をからかうのであった。

今後はできるだけ長く、欧州主要リーグでのプレーを望んでいると言う堂安。五輪後の所属先が決まっていない今、まずは東京五輪での活躍こそが未来への扉を開く鍵になる。

  • 取材・文了戒美子

    1975年、埼玉県生まれ。日本女子大学文学部史学科卒。01年よりサッカーの取材を開始し、03年ワールドユース(現・U-20W杯)UAE大会取材をきっかけにライターに転身。サッカーW杯4大会、夏季オリンピック3大会を現地取材。11年3月11日からドイツ・デュッセルドルフ在住

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