アルコ&ピースがM-1優勝宣言!「結成15年目の意地を見せる」
「今年、賞レース出ます。しかも、圧倒的な優勝を狙います」
結成15周年を迎え、『M-1』ラストイヤーとなった『アルコ&ピース』。’18年の3回戦敗退以降3年間、『M-1』から離れていた二人だが、5月に放送されたラジオ番組『アルコ&ピース D.C.GARAGE』(TBSラジオ)にて、『M-1』への出場&優勝宣言が飛び出した。とはいえ、アルコ&ピースは、ラジオで出場を匂わせては見送った過去がある。
今年こそは本当に『M-1』に出るのか。真意を聞くため1時間にわたる独占インタビューを敢行した。
平子祐希「今年は本当に出ます。十何年ぶりに『サラリーマン金太郎』を読んだら、気持ちが昂(たかぶ)ってきちゃったんですよ」
――それは〝平子ってる〟(平子る=平子がラジオ内で突如、イタいキャラを演じること)わけじゃないんですよね?
平子「もちろん、違います。ただ、15年間やってきて、もう我々の半分くらいの歳の人らと同じ舞台に立つわけですから、不安はありますよ。でも、僕らにも中堅芸人の意地ってもんがありますから」
酒井健太「僕は平子さんが出るなら出るよって感じですね」
――これは『M-1』の出場宣言と受け取っていいんですね?
平子「僕ら取り調べ受けてます?(笑)出場宣言と取ってもらって大丈夫です」
――やはり、ラストイヤーというのが大きいのでしょうか?
平子「そうですね。最後の年ですし、50歳、60歳になった時に、〝ああ出ておけばよかったな〟ってなるのは、嫌だなと。あと、賞レースに出ないのが、寂しくなってきちゃったんですよ。『M-1』に出てた頃は、夏から秋にかけて賞レースの結果に一喜一憂して、そういうハラハラ感がないと、やっぱり季節感がないなって思うんですよね」
酒井「たしかに、僕も後輩が予選通っただの落ちただのと話しているのを見て、ちょっとうらやましいなって。その会話に入っていけないのがつまんないなとは思ってましたね」
「ネタはまだできていません」
平子「出場宣言なんて大げさなこと言っといて、数ヵ月後に1回戦で負けて、ひどい恥かいている可能性も大いにありますけどね(笑)。ネタもまだできていませんし、コロナでライブもできない。『M-1』の予選がネタの初おろしになっても不思議じゃない状況なんですよ」
――意識している芸人はいますか?
平子「もう誰が出てくるのかわからないような状況ですから、意識しようがないです。僕らが若い頃は、中堅の『TKO』さんや、『X-GUN』さんが賞レースに出てるのを見て、『いつまで出てんだよ』って思ってましたけど、今は僕らがそう見られると思うと、楽屋に入れないです」
――『M-1』といえば、優勝賞金1000万円ですが、もし手にしたら何を買うか決めてますか?
平子「もうそれ訊(き)かれるんすね!(笑)そうですね……賞金を頭金にして高円寺に3LDKの一軒屋建ててやりますかぁ。高円寺ドリーム、叶えますよ」
酒井「僕は……後輩を皆、引き連れて高級焼き肉店の『游玄亭』に行ってみたいですね。バカ高い、生まれ年のワインとか頼んで。それを『D.C.GARAGE』のトークにできたら最高っすね」
――『M-1』ラストイヤーということはコンビ結成15周年でもあります。15年間を振り返ってみて、いかがですか?
平子「まぁ、よくも悪くも波風立てずにやってこれたなって。僕らは低空飛行芸人ですから。かれこれ8年くらい『ネクストブレイク芸人』って言われ続けてます。変化でいえば’12年にバイトをやめられたのが、一番大きかったです。芸人で食えるのなんてほんの一握りって言われてきましたから」
酒井「’12年に『THE MANZAI』の決勝に行けた。それから何とか芸人としてやっていけるようになりましたね」
――15年間の中で芸人として達成感を感じた瞬間はいつですか?
平子「有吉(弘行)さんの番組で、肛門に物を当てて、それが何か当てるクイズをやった時ですね。正解した時、芸人になったなと思いました(笑)」
酒井「僕はフジテレビのスタジオで新垣結衣さんを見た時です。『コード・ブルー』の撮影風景を見られて、嬉しかった」
――完全に一般人と同じ感覚ですね……。二人の関係性に変化はありましたか?
平子「そんなに変わってないです。酒井と、酒井の彼女の3人でカラオケに行くことがなくなって、僕がAIの『Story』を歌って、〝すげー似てる〟って褒(ほ)めてもらうのはなくなりました」
酒井「年一回、平子さんの家で忘年会はやります。今はコロナでできてないですけど、僕は後輩を連れて、平子さんは『平子お買い物クラブ』のメンバー(『タイムマシーン3号』・山本、『宮下草薙』・草薙)を呼んで」
ラジオで見えたファンの顔
――二人は、〝ラジオスター〟という異名もつくほど、ラジオで圧倒的な人気を集めています。二人にとってラジオはどういった場所なのでしょうか。
平子「本音を言えば、テレビに出て、その裏側をラジオで話すのが一番いいんです。でも、ラジオの話をテレビでしてくれって言われる。ありがたいですけど」
――’16年の『オールナイトニッポン』終了の際、早朝5時にリスナーがラジオ局に駆け付け、レッドカーペットを敷いた。二人のリスナーは熱狂的だと感じます。
平子「僕らは、今でいう〝陰キャ〟ですから。学生時代にヒエラルキーの隅(すみ)っこのほうにいたんですよ。そこに親近感を持ってくれるんだと思います」
酒井「ラジオ聞いてますって声かけてくれる人はだいたい〝陰キャ〟です(笑)」
平子「最近、リスナーの顔が見えるようになりましたね。テレビの収録終わりにディレクターから〝ようやくお呼びできました〟って声かけてもらえるんです。僕らのラジオを聞いて、一緒に仕事したくて、テレビ業界に入ったみたいな人もいて。ほぼ皆、暗そうな顔してます」
酒井「僕は’15年にラジオの企画でリスナーとディズニーランドに行ったんですけど、彼も、その後ディレクターになって、今でも一緒にご飯に行きます。リスナーも僕らと同じようなヤツらなんすよ。サウナ行くと、リスナーですって声かけられる。趣味も同じっていう(笑)」
――最後に今後の目標を教えてください。
平子「やっぱり、僕はゴールデンでMCやりたいです」
酒井「ゴールデンのMCはしんどそうなので、そこは平子さんに任せます。僕はCSで、町中華で飲むみたいな番組をやりたいっすね(笑)」
平子「それでもいいけど、収入、雲泥の差になるぞ」
熱狂的なファンを獲得し、すでにラジオ界に確固たる地位を築いている二人。それだけに注目度は高く、プレッシャーもかかる。最後の『M-1』挑戦はどんな結末となるか。






『FRIDAY』2021年7月23日号より
撮影:結束武郎