神⽊隆之介、中村倫也、佐藤健、吉沢亮…夏アニメは「声」が凄い! | FRIDAYデジタル

神⽊隆之介、中村倫也、佐藤健、吉沢亮…夏アニメは「声」が凄い!

『100日間生きたワニ』『竜とそばかすの姫』『僕のヒーローアカデミア』…人気俳優たちが声を務めるアニメ映画に注目!

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細田守監督最新作『竜とそばかすの姫』(7月16日(金)より全国公開中) 🄫2021 スタジオ地図

新型コロナウイルスの感染状況はいまだ予断を許さないが、今年も“夏映画”の季節がやってきた。昨年(2020年)の7月劇場公開作は大作映画がほぼ壊滅状態だったことを考えると、まだまだ平時には遠いものの、少しずつラインナップが戻ってきているといえるかもしれない。

映画館の休業要請という逆風の中でも、4月から6月にかけて『名探偵コナン 緋色の弾丸』『るろうに剣心 最終章 The Final/The Beginning』『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』等の作品が気を吐き、7月には『ゴジラVSコング』『ブラック・ウィドウ』『東京リベンジャーズ』等が公開された。これらは皆、公開延期を乗り越えた大作たち。7月12日から都内には4度目の緊急事態宣言が発出されたが、映画館の休業要請は行われないため、とりあえずは現状発表されている公開スケジュールは動かなさそうだ。

その前提で今年の夏映画のラインナップを見ていくと、東宝配給のアニメ映画が強い。

公開中の『100日間生きたワニ』に続き、7月16日には細田守監督の最新作『竜とそばかすの姫』、7月30日には『映画クレヨンしんちゃん 謎メキ!花の天カス学園』、8月6日には『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ワールド ヒーローズ ミッション』が劇場公開される。『クレヨンしんちゃん』に関しては元々4月23日公開、『100日間生きたワニ』に関しては5月28日公開だったものがずれ込んだためイレギュラーだろうが、結果的にはアニメ映画が充実した格好だ。

その中で今回は、『100日間生きたワニ』『竜とそばかすの姫』『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ワールド ヒーローズ ミッション』の3作品について紹介したい。

この3作品にはいずれも共通項があり、人気俳優たちが声の出演を務めているのだ。もっと言うと、「声の演技も一級品」の人気実力派たちが続々と登場しており、お祭り状態といっていい。興行収入も期待できる3作品を、各作品の見どころや俳優たちの役どころ・演技を絡めて紹介していく。

『100日間生きたワニ』(公開中)

(あらすじ)
交通事故で死んでしまったワニ(神木隆之介)と、幼なじみのネズミ(中村倫也)ほか、友人たちが過ごしたかけがえのない日常の記憶。映画版では、原作の“後日談”がじっくりと描かれ、オリジナルキャラクターとしてカエル(山田裕貴)が登場する。

『100日間生きたワニ』7⽉9⽇(⾦)より全国公開中 ©2021「100⽇間⽣きたワニ」製作委員会

きくちゆうき氏のTwitterから生まれた「ワニが死ぬまでの100日間を、100日かけて連載する」という漫画『100日後に死ぬワニ』を、『カメラを止めるな!』の上田慎一郎監督と映画監督・アニメーターのふくだみゆき監督の夫婦が共同でアニメ映画化した本作。

全体の約半分の時間がオリジナル展開で、ワニが死んだ後の世界を描くという野心的な試みがなされている。「コロナ禍を受けて脚本を書き直した」との両監督の言葉通り、大切な人が消え、日常が消えてしまった世界でどう生きていくか、といった切実なテーマへの真摯なアプローチが光る。

ワニを演じた神木隆之介の実力に関しては、もはや言うまでもないだろう。『君の名は。』『千と千尋の神隠し』『サマーウォーズ』『シン・エヴァンゲリオン劇場版』……声優としてもスーパースターなのだ。本作でも、原作を活かしたシンプルなキャラクターデザインに合わせて、素朴で普遍的な「一般人」をさらりと演じ切っている。

見た目こそワニだが、神木が過度に色を付けずにその辺にいそうな普通の若者として演じているため、観客の心にすっと入り込んでくるのだ。失われた命を体現するワニの存在は、観客が自由に大切な存在を重ね合わせられる“器”としての役割も果たさねばならない。その点、神木の演技は実にバランスが良い。

『100日間生きたワニ』より ©2021「100⽇間⽣きたワニ」製作委員会

反対に、親友がいなくなることで大きく変化するのが、全編を通してキーマンとなるネズミ。ディズニー実写版『アラジン』の吹き替えでも美声をとどろかせた中村倫也が、序盤こそ陽気なキャラクターだが、後半になるとやり場のない哀しみと寂しさを漂わせたネズミというキャラクターの複雑な心境を、丁寧に魅せている。

彼はインタビュー等で「作り込みすぎずに演じた」という趣旨の発言を行っており、ガチガチに決め込んだ演技ではなく、アニメならではの様々な演出効果が映えるような、余白を残した「肩の力が抜けた」塩梅で好演。

これは上田・ふくだ監督の演出プランも影響しており、本作では「間(ま)」や「沈黙」を意図的に入れ、「言い損じ」や「アドリブ」も許容するという極めて実写に近いスタイルの作り方を行っている。そのため、キャスト陣も“生っぽい”演技を選択したというわけだ。

『100日間生きたワニ』より ©2021「100⽇間⽣きたワニ」製作委員会

そして……オリジナルキャラクターを演じた山田裕貴の存在感が、非常に効いている。週刊少年ジャンプをこよなく愛する漫画好きの山田は、ネズミたちが暮らす街に引っ越してきたカエルに扮した。友だちを作ろうと“ウザ絡み”し、その結果空回りするカエルは、ネズミたちが友を失ったことを知らない。しかし彼もまた喪失感を抱え、前に進もうとしていたのだった。努めて明るく振舞うことで哀れみが膨らんでいくという難役を、ピュアさが光る声質で表現した山田は、作品のテーマを司るMVP級の活躍を見せている。

『竜とそばかすの姫』(公開中)

(あらすじ)
幼少期に母親を亡くして以来、歌えなくなってしまった女子高生すず(中村佳穂)。友人の勧めで50億人が集うインターネット上の仮想空間<U(ユー)>に登録した彼女は、アバターとしての“もう一人の自分”=歌姫ベルとして世界的に人気者になっていく。そんな折、「<U>の治安を乱す」と忌避されている謎の存在・竜(佐藤健)と出会い……。

『竜とそばかすの姫』より 🄫2021 スタジオ地図

世界的に評価されている細田守監督の最新作。2006年の『時をかける少女』以降、約3年おきに新作映画を発表している彼が新たに描くのは、『デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!』や『サマーウォーズ』にも通じる“電脳世界”だ。高知の田舎町で暮らす女子高生が、ネット上のカリスマシンガーとなることで、リアルにも変化が起こっていく。

ミュージシャンの中村佳穂を声優に起用し、劇中曲も中村が歌唱。彼女の圧倒的な歌唱力と、震えるような感情を歌声にダイレクトに込める表現力が、壮大な映像世界と相まってエモーショナルに響き渡る。細田監督が「生と死」をテーマの一つに掲げたとおり、きらびやかな世界を爽快に描くだけでなく、他者に群がり祭り上げ、吊るし上げる人間のえぐみもしっかりと言及。観た者の中で議論を呼び起こすであろう問題提起も、しっかりと盛り込まれている。

音楽ユニット「YOASOBI」のボーカル・ikuraとして知られる幾田りらや、染谷将太に玉城ティナ、役所広司といった俳優陣に、人気声優の森川智之や宮野真守など、バラエティ豊かなキャスト陣が話題だが、中でも注目したいのは成田凌と佐藤健だ。

『竜とそばかすの姫』より 🄫2021 スタジオ地図

成田凌といえば、『君の名は。』出演時、あまりの上手さに「気づかなかった」という感想が多数出たほどの実力者。彼の声の演技は、俳優にありがちな“肉体感”が抑えられており、良い意味で主張が薄い。それでいて、プロの声優のような「作り込まれた声」とはまた違ったフラットな声質のため、キャラクターと見事に溶け合うのだ。要は、キャラに寄り添うシンクロ率が非常に高い。『竜とそばかすの姫』では、すずの幼なじみで初恋相手でもある学校の人気者・忍を演じている。だが本人は意に介さず、淡々と日々を過ごし、心の傷を抱えるすずを静かに見守るポジションだ。

キャラクターの性質上、「すず」と呼びかけるシーンが多いのだが、発声の仕方もシーンへの入り方も実にナチュラルで、ざらつきがない。こざっぱりした癖のない演技は耳に心地よく、改めて成田のポテンシャルの高さを発揮している。

その対極を行くのが、シークレットキャストとして先日まで伏せられていた佐藤健。彼の場合は、代表作の『るろうに剣心』シリーズや『いぬやしき』、或いはドラマ『恋はつづくよどこまでも』で顕著なように、演技におけるテクニカルな声の上手さが特長だ。例えば『るろうに剣心』では、幕末最強の暗殺者の現在と過去を演じるにあたり、声を硬質化する、軟化させる、立てる、寝かせるといった“業(わざ)”を随所に披露。「声で刺す」も「声で癒す」ことも自在な佐藤が、正体不明の竜を演じるときたらハマるに決まっている。

『竜とそばかすの姫』より 🄫2021 スタジオ地図

『竜とそばかすの姫』は、ネット上で知り合ったふたりが交流を図っていくのがメインの物語だが、「竜が抱える秘密」「竜の正体は誰か?」も重要なキーワード。周囲に攻撃的に接し、拒絶する竜が胸の内に秘めた想いをさらすとき、物語は大きく動き出していく。いわば、佐藤の演技や存在感が作品のダイナモになっているのだ。すずをめぐるふたりのキャラクターに扮した佐藤と成田、ふたりの演技の“色”の違いにも注目していただきたい。

『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ワールド ヒーローズ ミッション』(8月6日公開)

(あらすじ)
プロヒーローを目指し特訓中の高校生・緑谷出久(山下大輝)。彼は仲間たちと異国での任務にあたっていた際、ある事件に巻き込まれ、全国指名手配犯になってしまう……。そんななか、世界中の“個性”保持者のせん滅を企む謎の組織「ヒューマライズ」が動き出し、全世界が危機にさらされる。出久は、ヒューマライズの陰謀を食い止め、未来を護ることができるのか――。

『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ワールド ヒーローズ ミッション』2021年8月6日 全国東宝系にてロードショー ©2021「僕のヒーローアカデミア THE MOVIE」製作委員会 ©堀越耕平/集英社

2014年に「週刊少年ジャンプ」にて連載がスタートし、世界累計発行部数5000万部を突破した人気漫画『僕のヒーローアカデミア』(ヒロアカ)のアニメ映画化第3弾。世界総全人口の約8割が“個性”と呼ばれる超常能力を宿した世界で、悪辣な犯罪者「敵(ヴィラン)」から人々を護るために台頭してきた職業「プロヒーロー」。出久はトップヒーローのオールマイト(三宅健太)から“個性”を授かり、ヒーロー養成校の名門・雄英高校へと進学。「最高のヒーロー」への道を駆け上がっていく。

「ジャンプの新・王道漫画」と評されるほど、友情・努力・勝利を完璧に描きつつ、緻密に設計された物語展開や卓越したバトル演出(アニメ制作は人気スタジオのボンズが担当)、心に響く名ゼリフが多くのファンを獲得している。本作はアメコミやハリウッド映画の要素も数多く取り入れており、アメリカをはじめ世界的にファンが存在する。日本発のワールドワイドなコンテンツなのだ。

その『ヒロアカ』がついに“世界”を描くということで、大いに期待が高まるところ。TVアニメは第5期が放送中で、原作漫画は「終章」に突入。原画展「僕のヒーローアカデミア展 DRAWING SMASH」も絶好調のフィーバー中のため、興収的にもヒットの可能性を秘めている。

そのメモリアルな『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ワールド ヒーローズ ミッション』において、大役を任されたのが飛ぶ鳥を落とす勢いの人気実力派俳優・吉沢亮。出久たちと出会うキーキャラクターの少年ロディ・ソウルを演じる。詳細は謎に包まれているが、予告やニュースを見る限り、彼の活躍が出久たちの運命を左右することにもなっていきそうだ。

しかも、『100日間生きたワニ』『竜とそばかすの姫』が俳優中心のキャスティングなのに対し、本作は声優中心の中に飛び込んでいかねばならない。また、この2作は単体映画だが、『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ワールド ヒーローズ ミッション』はシリーズもの。吉沢にかかるプレッシャーは相当なものだっただろう。

しかし、心配することなかれ。彼は意気込みコメントで「色んなところでヒロアカ愛語って良かった! 届いた! 計画通り!」と語るほどの『ヒロアカ』ファン。ヒロアカ展を回る映像も公開されたが、ガチファンぶりが隠しきれておらず、原作・アニメファンにとっても納得のキャスティングといえるのではないか。

もちろん吉沢は、声の演技も超一流。『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』のチームが再結集したアニメ映画『空の青さを知る人よ』では、同じキャラクターの高校生時代と現在を巧みに演じ分け、高く評価された。この作品では、回想ではなく同一人物の高校時代と現在が同時期に存在する、という特殊な構造になっており、明るく快活な高校時代と、ふさぎ込んで内にこもる現在という真逆のキャラが“対決”するシーンまで用意されている。吉沢の演技がハイクオリティでなければ破綻してしまうところだが、そんな不安を一蹴するほどの活躍ぶり。『ヒロアカ』の世界でも、そん色なく暴れまわってくれることだろう。

*******

かねてより「俳優の声優起用」においては、クオリティの側面などから不安視する声も多く上がっていた。だが、いまやどちらもこなせて、かつ人気を博すスターたちが続々と台頭中。彼らのパフォーマンスが、国内のアニメ映画における新たな扉を開くかもしれない。


『100⽇間⽣きたワニ』
7⽉9⽇(⾦)より全国公開中

声の出演:神⽊隆之介 中村倫也 ⽊村昴
新⽊優⼦/ ファーストサマーウイカ 清⽔くるみ Kaito  池⾕のぶえ 杉⽥智和/ ⼭⽥裕貴
原作:きくちゆうき「100⽇後に死ぬワニ」
監督・脚本:上⽥慎⼀郎 ふくだみゆき
⾳楽:⻲⽥誠治
主題歌:いきものがかり「TSUZUKU」(Sony Music Labels)
製作:市川南 ⼤⽥圭⼆
共同製作:藤川克平 中尾恭太 春⼭ゆきお 辻野学 五⽼剛
エグゼクティブプロデューサー:⼭内章弘 上⽥太地
プロデューサー:⾅井真之介 ⼭中⼀孝
コンテ・アニメーションディレクト:湖川友謙
美術監督:徳⽥俊之
⾊彩設計:池⽥ひとみ 撮影監督:簡佳瑩
製作:「100⽇間⽣きたワニ」製作委員会
アニメーション制作:TIA 配給:東宝
©2021「100⽇間⽣きたワニ」製作委員会


『竜とそばかすの姫』
7月16日(金)より全国公開中

【キャスト】
中村佳穂
成田 凌 染谷将太 玉城ティナ 幾田りら
森山良子 清水ミチコ 坂本冬美 岩崎良美 中尾幸世
森川智之 宮野真守 島本須美
役所広司 / 石黒 賢 ermhoi HANA / 佐藤健

メインテーマ: millennium parade × Belle 『U』(ソニー・ミュージックレーベルズ)

原作・脚本・監督:細田 守
作画監督:青山浩行 CG作画監督:山下高明 CGキャラクターデザイン:Jin Kim 秋屋蜻一
CGディレクター:堀部 亮 下澤洋平 美術監督:池 信孝 プロダクションデザイン:上條安里 Eric Wong
音楽監督/音楽:岩崎太整 音楽: Ludvig Forssell 坂東祐大
色彩設計:三笠 修 撮影監督:李 周美 上遠野学 町田 啓 衣装:伊賀大介 / 森永邦彦 篠崎恵美 編集:西山 茂
リレコーディングミキサー:佐藤忠治 スーパーヴァイジングサウンドエディター:勝俣まさとし ミュージックスーパーヴァイザー:千陽崇之 キャスティングディレクター:増田悟司 今西栄介
企画・制作:スタジオ地図 🄫2021 スタジオ地図


『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ワールド ヒーローズ ミッション』
2021年8月6日全国東宝系にてロードショー

【キャスト・スタッフ】
声の出演:
山下大輝、岡本信彦、梶裕貴、
稲田徹、中村悠一、三宅健太/
中井和哉、林原めぐみ、吉沢亮  ほか

原作・総監修・キャラクター原案:堀越耕平(集英社「週刊少年ジャンプ」連載)
監督:長崎健司
脚本:黒田洋介
キャラクターデザイン:馬越嘉彦
音楽:林ゆうき
アニメーション製作:ボンズ

©2021「僕のヒーローアカデミア THE MOVIE」製作委員会 ©堀越耕平/集英社

  • SYO

    映画ライター。1987年福井県生。東京学芸大学にて映像・演劇表現について学ぶ。大学卒業後、映画雑誌の編集プロダクション勤務を経て映画ライターへ。現在まで、インタビュー、レビュー記事、ニュース記事、コラム、イベントレポート、推薦コメント等幅広く手がける。

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