「としまえん」跡地を空撮したら…ハリポタ施設の工事が着々進行中 | FRIDAYデジタル

「としまえん」跡地を空撮したら…ハリポタ施設の工事が着々進行中

’23年完成予定 「災害時の避難場所はどうなるのか?」

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工事開始から約1ヵ月後に撮影。すでに区画割りがされており、建設される施設の大きさがイメージできる
工事開始から約1ヵ月後に撮影。すでに区画割りがされており、建設される施設の大きさがイメージできる

着工から1ヵ月後、上空からよく見ると、クレーン車やショベルカーが確認できた。更地を区画に分けて、重機が基礎工事の穴を掘り始めているようだ。

東京都練馬区にあった老舗遊園地「としまえん」跡地の北半分で、「ワーナー ブラザース スタジオツアー東京 ―メイキング・オブ ハリー・ポッター」の建設工事が5月中旬からスタートした。広さは約3万㎡(東京ドーム1個分弱)を誇り、映画「ハリー・ポッター」シリーズの世界を体験できるエンタメ施設である。

着々と工事は進んでいるが、住宅地のド真ん中で大規模な工事が始まったことに、近隣住民の不安は大きくなっている。

隣接する住宅に住む40代男性が語る。

「朝8時半頃には、工事用の大型車両が頻繁に出入りしています。周辺は道が狭いうえ、その時間には循環バスや幼稚園・保育園のバス、介護施設のワゴンなども行き来するので、混雑は避けられません。徒歩で通勤や通学をしている方も、危険を感じているのではないでしょうか。

また、私は自宅で仕事をする日もあるのですが、テレビ会議をすると工事の音を拾ってしまう。騒音は日に日に大きくなっており、窓は開けられない状況です」

開業は’23年前半。いままでなら7月からプールの営業が始まり、歓声が響く時期である。だが、本誌が週末の昼間に最寄りの豊島園駅周辺を歩いてみると、商店街からは活気がすっかり消えていた。

「駅前のコンビニは、かつて日本一の売り上げを記録したことがあると地元で言われていました。こんな寂しい状況があと2年近くも続くのは心配です。せめてプールだけでも開けてほしい」(同前)

上写真を見ると、上半分のプール部分は解体されずに放置されたままだ。「としまえんプールの存続を求める会」代表の秋田英明さんはこう指摘する。

「プール側は公園として整備される予定ですが、東京都公園審議会の答申によれば、完成は8年後。放置期間を考えれば1~2年の限定でもプールを有効活用すべきでしょう。行政は老朽化を指摘していますが、去年まで営業していたわけですから、十分に可能なはずです」

としまえん跡地にはいまも課題が山積みなのである。この問題を取材しているジャーナリストの田中圭太郎氏が言う。

「としまえんは災害時の避難場所に指定されており、跡地もそれに変わりはありません。しかし、工事中のエリアには非常時用の備蓄がないですし、建設が進むほど、避難場所として機能しなくなります。また、プール部分の公園整備について、東京都の担当課に問い合わせたところ、土地を所有する西武鉄道から購入する時期は未定で、財政難のために分割して買っていく可能性もあるとのことです。

そもそも、当初はとしまえん跡地の全体が防災機能を強化した公園として整備される予定でした。にもかかわらず、ハリー・ポッター施設の建設が急浮上して工事が進んでいく一方で、肝心の公園はまだ土地の購入計画すら決まっていない。〝ハリポタファースト〟で跡地の利用計画が進んでいることは明らかです」

住民の声が反映されることを願う――。

昨年8月の閉園後、9月から始まった解体の様子。プールは放置されたままだが、遊園地の施設はすぐに撤去された
昨年8月の閉園後、9月から始まった解体の様子。プールは放置されたままだが、遊園地の施設はすぐに撤去された

FRIDAY2021年7月23日号より

  • 撮影桐島瞬

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