「俺は総理になる」パワハラ大失言の西村康稔大臣の野心と限界 | FRIDAYデジタル

「俺は総理になる」パワハラ大失言の西村康稔大臣の野心と限界

秀才中の秀才がつまずいた、残念すぎる「人との付き合い方」

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西村康稔(やすとし)経済再生担当大臣兼「新型コロナウイルス対策担当大臣」の不当圧力発言に、日本中が唖然とした。

飲食店に対する「金融封鎖」を提案。翌日撤回したが、一度失墜した信頼は簡単には戻らない。というか、この人の「信頼」は、そもそもから怪しかったことが露呈した。

「俺は総理大臣になる」そう決意して、階段を昇ってきた西村康稔大臣。自信に溢れるあまり、周囲の声に耳を傾けることができなかったのか 写真:ロイター/アフロ

「飲食業の営業を阻止すれば、コロナウイルス感染は阻止できる。手っ取り早いのは銀行に協力させて運転資金を止めること。そうすれば、飲み屋は営業できないと西村大臣は考えたんでしょうね。でもこれは独禁法の優越的地位濫用です。行政に携わる者にとって、絶対侵してはならないことなんです。コロナ対策だからといって、こんな初歩的なミスリードを事務方が容認するなんて、死んでもありません」(経産省キャリア)

行政の基本を理解していなかったのか。「パワハラ癖」が各メディアでも報じられている西村大臣に、官僚たちはなすすべがなかったという。

西村大臣は、兵庫県明石市出身、神戸大学附属明石中学校から高校入試で灘高に進学した。現役で東大に進み、法学部を卒業、1985年に旧通産省入省という秀才中の秀才。苦学からのし上がったといわれている。

東大時代を知る人物が言う。

「西村くんが大学2年のときに、学内で署名運動があったんです。署名を持ちかけられた西村は真顔で『俺は将来、総理大臣になるから、こんな署名はできない』と断わった。びっくりしましたよ。断るでもふつうは『いや、ちょっと』とか、いうじゃないですか。その断り方があんまりなので、ある意味すごいやつだと噂になりました」

駒場時代から「政治家、総理大臣」を目指していたという。

強い上昇思考を持ち、頭もよく、容姿を気にしてか日頃から運動するなど努力家。その一方で、週刊文春で「ベトナムでの夜のスキャンダル」を報道されたことがある。本人は否定したものの、「総理への階段」を昇るためにずっと努力してきた割に「脇が甘い」のだ。

官僚時代の西村を知るベンチャー経営者はこういう。

「ある企業のオーナーがスポンサーの、東京湾クルーズパーティに行ったことがあります。若手官僚だった西村さんはイケイケで。同乗した女性たちに『俺が総理大臣になったらみんな呼んでやるよ』と豪語。33歳にしてエリート官僚を自任し、何をしても許されると思っているようでした」

通産省時代に西村は、岸信介元首相と近しい吹田幌元自治相の愛娘と結婚している。1999年に退官、翌2000年に衆院選に出馬して落選。2003年に初当選をした。

2009年、3回生のときに自民党総裁選に出馬。以来、「総理大臣になる」という野望への階段を着実に昇っている。今の位置は「総理大臣」への通過点と考えているのだろうか。

兵庫9区から6期連続で当選。がしかし、地元での評判は、けっして「よく」はない。

「西村さんは部下に厳しい。それと女性関係が『きれいじゃない』んです。宴席で女性にタッチするようなことを、人が見ていてもやったりするんですよ。そういった『欲望』に関しては脇が甘い印象というか、ひとことで言って品がないところがあるんです」(地元関係者)

「部下に厳しい」西村。秘書官へのパワハラがたびたび報道されている。

「我々を仕事上の仲間とは思っていないですね。『お前』って呼ばれますから。『バカ』とか、『クビだ!』と怒鳴られるのは日常的です。共感力とか、ないんだと思います、逆に自分にメリットのある人以外の人から『よく思われたい』という気持ちもないから腹が据わっているんです」(関係者)

「コロナ対策として、飲食店の営業を止めるために銀行から協力要請をしてもらいたいという文書が金融庁に届きました。受け取った職員は愕然。直ちに内閣府に、この指示書はまずい、これが外に漏洩したら、大臣は更迭という事態も考えられる、と注進したそうです。内閣府側は、西村大臣の指示ですからと言葉少なに答え、怯えているようでした」(財務省キャリア)

飲食店いじめとも取れる不当圧力発言のあと、ことの大きさ、誤りに気づいた西村大臣は発言を撤回、謝罪した。が、世論の反発を受けるまで、この発言の問題、大きな反発が起きることも想像できなかったともいえる。

菅義偉首相は当初、コロナ対策に忙殺され勢い余ったと西村を庇うような会見でお茶を濁そうとしたが、じつは「本気で庇う気はなく、世論の動向を注視している」(官邸スタッフ)という。

今後の世論を見つつ、西村更迭としてトカゲの尻尾切りで事を納めるのかもしれない。今、菅首相にとっては政権の延命が最大の課題なのだ。

19歳のときからの「総理大臣になる」という目標に向けて「努力」を重ねてきた秀才・西村康稔。その野望を目前にした今回の大失言だ。彼の「階段」は、ここまでだったのかもしれない。

(文中敬称略)

  • 取材・文岩城周太郎写真ロイター/アフロ

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