実写映画も大ヒット『東京卍リベンジャーズ』の”アツさ”の秘密 | FRIDAYデジタル

実写映画も大ヒット『東京卍リベンジャーズ』の”アツさ”の秘密

アニメ、映画などメディアミックスも絶好調。いま一番アツい少年漫画の魅力に迫る

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映画『東京リベンジャーズ』大ヒット上映中 ©和久井健/講談社 ©2020 映画「東京リベンジャース」製作委員会

漫画、アニメ、実写映画、舞台……。いま、メディアミックスが加速し、“熱”が急上昇している作品がある。『新宿スワン』の漫画家・和久井健氏が生み出した『東京卍リベンジャーズ』(アニメ・実写映画のタイトルは『東京リベンジャーズ』。以下、『東京リベンジャーズ』)だ。

7月9日に公開を迎えた実写映画版は、堂々の初週1位を記録(2021年公開の実写映画における土日2日間の週末オープニング動員数&興収はトップ)。北村匠海、山田裕貴、杉野遥亮、今田美桜、鈴木伸之、眞栄田郷敦、清水尋也、磯村勇斗、間宮祥太朗、吉沢亮といった人気スターが一堂に会した超豪華仕様で、このキャスト陣を見て『東京リベンジャーズ』に興味を持った方も多いだろう。

累計発行部数が約2500万部(2021年6月末時点)を超えた本作は、『週刊少年マガジン』の血統を受け継ぐ「ヤンキー漫画」でありながら、「タイムリープ」というSF要素を混ぜ込んだ新潮流の物語。

本稿では、漫画、アニメ、7月9日に公開を迎えた実写映画版を横断し、『東京リベンジャーズ』の魅力に迫っていく。まず、本作の簡単なあらすじは、こうだ(カッコ内の演:は実写映画版のキャスト)。

<あらすじ>
かつての恋人・橘日向ヒナ 演:今田美桜)が犯罪組織「東京卍會」の抗争に巻き込まれて命を落としたと知ったフリーター、花垣武道タケミチ 演:北村匠海)。そんな折、何者かに電車のホームに突き落とされたタケミチは、突如「12年前の今日に戻る(実写映画では10年前)」タイムリープ能力を発し、学生時代に戻る。その後、偶然ヒナの弟・直人ナオト 演:杉野遥亮)と握手したタケミチは、再び現在へと帰還。すると、未来が変わっており、ヒナと共に命を落としたはずの直人が生存していた。「タイムリープの発動条件(過去と現在を行き来する)は、ナオトと握手すること」と気づいたタケミチは、ヒナを死のループから救い出すために再び過去に戻ることを決意する――。

タイムリープで過去と現在の行き来が可能なタケミチ(演:北村匠海/左)に、ナオト(演:杉野遥亮)は姉・ヒナの運命を託す /映画『東京リベンジャーズ』より ©和久井健/講談社 ©2020 映画「東京リベンジャース」製作委員会

愛する人を不幸から回避させるため、何度も過去と現在を行き来するという設定は、映画『バタフライ・エフェクト』(04)やリメイク版『タイムマシン』(02)などを彷彿とさせるもの。ただし、『東京リベンジャーズ』が面白いのは、そこにヤンキー漫画の要素をミックスさせ、「現在では犯罪組織化した『東京卍會(東卍)』がまだ不良集団だったころに潜入し、内実を探る」というミッションを課していること。

そのなかで、タケミチは東卍の総長・佐野万次郎マイキー 演:吉沢亮)、副総長・龍宮寺堅ドラケン 演:山田裕貴)といった強者たちと出会い、友情を育んでいく。そうすると、タケミチの中に疑問が生まれる。「こんなに気のいい奴らが、なぜ極悪犯罪組織になったのか……?」。それは、東卍凶暴化の元凶である稀咲鉄太キサキ 演:間宮祥太朗)や、彼と手を組んだ半間修二ハンマ 演:清水尋也)の仕業だった。そしてタケミチは、仲間である東卍を護るため、彼らの野望を打ち砕こうと立ち上がる――。

タイムリープの命題だった「ヒナを救う」が、もっと大きな「自分の大切な人々を救う」へと発展していくという構造が、『東京リベンジャーズ』の骨格。そこにたどり着いたとき、「タイムリープもの」と「ヤンキー漫画」が融合し、不良同士のド派手な決戦シーンや男たちの熱血ドラマ、手に汗握る謀略サスペンスの要素が投入されていく。

恋人を救うだけなら不必要だったヤンキー漫画の華である友情&ケンカシーンが、「仲間を救う」に目的が拡大することで必須なものになっていく構成が実に巧みで、読者&観客のテンションも「ラブストーリー」から「ケンカアクション」へとスイッチ。そこに、タケミチが逃げ続けた自分の運命にケリをつけるべく、「泣き虫のヒーロー」へと駆け上がっていく成長ドラマが加わり、“熱”が一気にスパークしていく。

ヒナを救う手がかりを得るため、そして逃げてばかりの自分を変えるため、タケミチは宿敵・キヨマサ(演:鈴木伸之/左)に立ち向かう 映画『東京リベンジャーズ』より ©和久井健/講談社 ©2020 映画「東京リベンジャース」製作委員会

一度あえて異端な道を通ってから本流に戻ってくるトリッキーなつくりは、ヤンキー漫画への苦手意識がある読者をも惹きつけ、読み進めるうちに今度はヤンキー漫画ならではの拳闘&友情にハマっていく。『東京リベンジャーズ』の読者層は女性も多いというが、裾野を広げられたのも、このようなアプローチが成功しているからこそだろう。

加えて、本作の大きな強みは、とにかく出てくるキャラクターが全員魅力的であること。主要キャラクターたちに加え、立ちはだかる敵も入れれば相当キャラクター数は多いのだが、“推し”を1人に絞るのが至難の業になってしまうほど、どの人物も生き生きと描かれている(ちなみに筆者は千冬と三ツ谷推しだ)。

たとえば、和久井氏が「『背の小さいヤツが強い』という『週刊少年マガジン』 のヤンキー漫画の鉄板ネタに、感覚的に格好いいと感じるデザインを組み合わせた」(『東京卍リベンジャーズ キャラクターブック 天上天下』(講談社)より)と語るマイキーは最強の名にふさわしいオーラが漂っており、その相棒で視野が広いドラケンに憧れの眼差しを抱く読者も多いだろう。

実写映画では吉沢亮と山田裕貴が完コピレベルで熱演しており(山田はドラケンになりきるため髪の毛を伸ばし、2020年を通して“ドラケンヘア”で過ごしたとか)、生身の人間としての格好良さまでも付加。山田のドスのきいた演技はその場の空気をビリビリとひりつかせ、吉沢の日頃はローテンション→配下を率いる際の「潰すぞ!」の号令というキメのシーンで見せるカリスマ性が熱い。アニメでは、林勇の少年性を纏った声質と、鈴木達央の安心感漂う低音ボイスのコントラストが効いている。

東卍の初代にして最強総長・マイキー(演:吉沢亮/中央左)と、マイキーから絶大な信頼を寄せられる副総長・ドラケン(演:山田裕貴/中央右奥)/映画『東京リベンジャーズ』より ©和久井健/講談社 ©2020 映画「東京リベンジャース」製作委員会

ケンカはからきしで負け犬根性が染み付いているが、大切な人のためならどんなにボロボロになっても諦めないというタケミチも、現代の「共感型」な主人公像にピタリとハマり、自然と応援したくなる。

アニメの第10話は、名ゼリフ「今度こそ逃げねぇ。これはオレの人生のリベンジだ!!」が登場する“覚醒回”だが、新祐樹の気持ちを前面に押し出した泥臭い熱演が、タケミチとシンクロ。実写映画版では、『アンダードッグ』で天才ボクサーを力演した北村匠海が、狂気すら感じさせる“覚悟”を全身全霊の演技で魅せる(ギャグパートのコミカル演技とのギャップが熱い!)。

ただし、『東京リベンジャーズ』の真髄は、ここにとどまらない。本作のキャラクター描写の見事さは、「タイムリープ」と組み合わさったときに、究極進化を遂げるのだ。それは何かというと、過去では自由奔放に暴れまわっていた不良たちの「現在の変化」を並行して描くこと。

たとえばマイキーは、現在は完全に“闇堕ち”しており、当時の快活さは見る影もない。また、タケミチの親友である千堂敦アッくん 演:磯村勇斗)は、タイムリープするごとに性格も立場も微妙に変化している。未アニメ化&実写映画化の部分になるため深くは語らないが、このほかにも多くのキャラクターに変化(しかも、現在に帰ってくるごとに変わる)が訪れており、単なる「カッコいい!」だけに終わらせない。情緒がぐらぐらと揺れるマイキーにおいては、原作の中である種のヒロイン的な扱いとさえいえる。

Twitterでもトレンド入りした、黒髪のマイキーの衝撃的なビジュアル! /映画『東京リベンジャーズ』より ©和久井健/講談社 ©2020 映画「東京リベンジャース」製作委員会

『東京リベンジャーズ』自体、各キャラクターが壮絶な過去を抱えていたり、仲間に恋愛感情に近い複雑な気持ちを抱いたり、保身のために嘘をついたりパニックに陥って心が壊れたりと、メンタル面の描写に「これくらいでいいだろう」という妥協がない。登場人物を追い込み、成長も没落も真摯に見つめる(その結果、読者にもエモーションが伝播していく)和久井氏の繊細な「心の描き方」を、「タイムリープ」という設定が大幅に強化しているのだ。

だが面白いのは、この「タイムリープ」のアイデアは和久井氏が発案したものではないということ。

前述の『東京卍リベンジャーズ キャラクターブック 天上天下』では、担当編集者から「ヤンキー漫画を描いてほしい」と言われた和久井氏が「最近の若いヤンキーがわからない」と断ったところ、「(和久井さんも)わかる時代の過去まで、主人公がタイムリープすればいい」と提案されたことに端を発しているのだという。編集者の柔軟な思考に驚かされるが、その素材をここまで見事に料理した和久井氏の手腕も、流石としか言いようがない。

「芭流覇羅編」(第8巻)までの内容を網羅した『東京卍リベンジャーズ キャラクターブック 天上天下』(講談社)はファン必見の一冊 ©和久井健/講談社

このような経緯で生まれた原作から派生したアニメ・実写映画に共通するのは、愛情の強さだ。実写版はあるオリジナルのシーンから始まるが、「明らかに原作を好きな奴が作った」とニヤリとさせられることだろう。役者たちのノリにノった演技にも、原作愛がほとばしっている(アニメでは、上記のメンバー以外にも、半間をクレイジーに演じた江口拓也らが印象的だ)。

7月に入り、アニメ第13話から始まった新EDの映像も、非常に気合が入っている(ED主題歌を歌うのが、気鋭のミュージシャン「泣き虫」であるのも、作品とのリンクを感じさせる)。ロックテイストの劇伴(BGM)も、アニメと実写映画版で共通項が多く、アニメの“キメ”のシーンの完成度と熱量を含め、「好きな奴らが集まって作った」感がビシビシと伝わってくる。

特に実写版は『るろうに剣心』シリーズが完結した配給のワーナー・ブラザースにとって、次なる大型シリーズと位置付けられるものといえるかもしれず、かかる期待は大きい。実写版において「長く続くシリーズをどこまで描くか」は非常に重要だが、本作においては決して無茶はせず、原作ファンにも納得のいくエピソードまでにとどめている。

その辺りも原作愛が感じられる部分だが、翻って見れば、この作品が成功すれば続編制作、さらなるシリーズ化も視野に入れていると推察できる。なお、7月19日現在の情報では、公開から10日間で動員110万人、興行収入は15億円を突破とロケットスタートを切っている(香港、台湾、タイでの上映も決定)。

現在23巻まで発売されている『東京卍リベンジャーズ』は絶賛連載中であり、アニメは”血のハロウィン編”に突入。ここからさらなる物語を見せるのは必定で、実写映画版もヒットはもちろん、どこまで数字を叩き出せるか期待が高まるところ。鉄板の面白さと斬新性が備わった『東京リベンジャーズ』の“未来”は、まだまだ無限に変化していきそうだ。

『東京卍リベンジャーズ』23巻 (2021年7月16日発売) ©和久井健/講談社

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映画『東京リベンジャーズ』 大ヒット上映中

◇原作:和久井健『東京卍リベンジャーズ』(講談社『週刊少年マガジン』連載中)
◇監督:英勉
◇脚本:髙橋泉
◇出演:北村匠海 山田裕貴 杉野遥亮 今田美桜 鈴木伸之 眞栄田郷敦 清水尋也 磯村勇斗/間宮祥太朗/吉沢亮
◇主題歌:SUPER BEAVER「名前を呼ぶよ」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
◇配給:ワーナー・ブラザース映画
©和久井健/講談社 ©2020 映画「東京リベンジャーズ」製作委員会

◇公式サイト:tokyo-revengers.jp
◇公式Twitter:@revengers_movie #東京リベンジャーズ
◇公式Instagram:@revengers_movie

  • SYO

    映画ライター。1987年福井県生。東京学芸大学にて映像・演劇表現について学ぶ。大学卒業後、映画雑誌の編集プロダクション勤務を経て映画ライターへ。現在まで、インタビュー、レビュー記事、ニュース記事、コラム、イベントレポート、推薦コメント等幅広く手がける。

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