RIZIN榊原代表に聞く「コロナ陽性をなぜ公表しなかったのか」 | FRIDAYデジタル

RIZIN榊原代表に聞く「コロナ陽性をなぜ公表しなかったのか」

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本誌の取材に答える「RIZIN」の榊原代表
本誌の取材に答える「RIZIN」の榊原代表

那須川天心や朝倉未来ら有名格闘家が参戦し、フジテレビでの大晦日中継でも知られる格闘技イベント「RIZIN」。コロナ禍の中でも大会を開催し、人気を博している。一方で、同イベントの運営会社代表取締役・榊原信行氏は昨年10月に新型コロナウイルスに感染していたことがわかった。

「感染してしまうこと自体は責められることではありません。ですが、その対応には疑問が残るのも事実です。榊原氏が新型コロナウイルスの検査で陽性だったことが判明したのは、昨年10月22日です。そのわずか3日前、10月19日に榊原氏は、朝倉未来ら5人の選手と『RIZIN.25』開催発表記者会見に出席しています。出席者は全員マスクなしで登壇していました。にもかかわらず、榊原氏はコロナ陽性を公表もせず、また同席していた選手たちにも知らせていなかったんです」(同イベント関係者)

榊原氏が、会見に参加していた選手や大会関係者・スタッフに新型コロナウイルスをうつしていた可能性は否定できない。また、逆に榊原氏が選手らからうつされた可能性もあっただろう。なぜ、大規模イベントの最高責任者である榊原氏が、自らのコロナ陽性を周囲に周知しなかったのだろうか。

本誌は榊原氏本人に直撃インタビューを行った。すると、榊原氏はこう説明した。

「昨年10月19日に開いた会見時にはまったくの健康状態でした。その2日後になんとなく体調が悪いな、なんか熱っぽいな、と思ってPCR検査を受けました。会社にウチのリングドクターに来ていただき、唾液を採取して持って帰ってもらったんです。翌日夕方に陽性が分かり、そこからは、保健所の指導のもと、完全にリモートで10日間、自宅で関係者と連絡を取りながら仕事をしていた。その間、誰とも会っていません」 

--榊原さんの陽性が10月22日に分かった後、会見に出席した選手がPCR検査を受けたのは、いつですか?

「11月の試合であれば、その一週間くらい前のタイミングだったと思います」

--11月21日が試合ですから、つまり10月22日から11月14日の間は検査をしなかったのでしょうか?

「そこは選手たち個人で受けているかもしれませんが、我々が試合に出る上で選手たちが感染しているかどうかの確認はそこまではやってないですね。逐次はやらないです。一回3万円もするんだから」

--10月19日に選手は会見で榊原さんにマスクなしで接触していると思いますが。

「発症してからですよ。発症してから感染を拡大するわけであって、コロナって。19日なんて全然元気な状態でしたから。

濃厚接触者に関して、保健所に確認したところ、そんなところ(会見があった10月19日)にさかのぼらず、体調悪くなった日のタイミングから誰か接触した方いますか? と。どれだけさかのぼって(濃厚接触者の範囲を決める)というのは、保健所が決めることだと思うんですよね。だから、保健所の指示で、濃厚接触と言われる人には、当然、話をしています」

--結局、選手には知らせたのでしょうか?

「10月22日に陽性反応が出て、そこからは個人的な僕の周りの中には伝えましたけど、あんまり公にして、またそれが尾びれ背びれが付くとあれなんで、最小限の人にお伝えした、って感じですね」

--選手には伝えてない、ってことですね?

「別に選手に伝える必要はないと思いました。自分が10日間、保健所の指示にしたがって完全な隔離になっちゃうだけだから」

--いつ頃感染したかは不明なんですよね?

「そこはわかんないんですよね。よくある感染経路不明な状態です」

--選手から榊原さんが感染した可能性もあったのではないでしょうか。そういう意味ではやっぱり伝えるべきだったんじゃないでしょうか?

「う~ん、それ(発症)が会見のタイミングの重なってればね、濃厚接触ってことになるんですけど、濃厚接触の範囲に入ってないわけだから。保健所には言われなかったですよ」

榊原氏は「発症2日前に行われた会見は濃厚接触の範疇でないので、選手には知らせなかった」という説明に終始した。だが、国立感染症研究所のHPには発症した2日前から隔離開始までの間を感染可能期間とご判断ください」と明記されており、さらに厚生労働省結核感染課によればPCR検査が陽性だった場合、発症2日前以降、誰と接触しましたか?という形で濃厚接触者を特定するのが保健所の基本的なやり方です」ということだ

「保健所に聞かれなかったから」と言っても、選手をはじめとする記者会見の出席者・スタッフと情報を共有するという判断もあったのではないだろうか。

一方で、本誌の取材によれば、昨年大晦日、埼玉スーパーアリーナで開催された『RIZIN.26』のグッズ売り場関係者が新型コロナウイルスに感染していた。

「TシャツなどRIZINのロゴが入ったグッズを物販するスタッフやその関係者から感染者が出てしまいました。当日は30人ほどの販売スタッフが、かなり忙しく仕事していました。そして1月2日に何人かが体調を崩し、販売会社の指示のもとスタッフら関係者のPCR検査をしたのです。その結果、1月3日に5人以上の陽性が判明しました。大会の会場で感染した可能性が高いでしょう。お客さんにうつしてしまった恐れも十分に考えられます。当然、榊原社長にも報告はいっており、把握しているはずです」(前出とは別の同イベント関係者)

グッズ売り場から複数の感染者が出ていたことについて、『RIZIN』は公表していない。本誌はこの件についても榊原氏に見解を聞いた。

--売り場から感染者が出た、という話は聞いていますでしょうか?

「売り場で出たんではないんだと思うんですけどね。これもまあ難しいと思うんだけど、発症したのは年明けだ、って聞いてますけど」

--保健所に相談はしたのでしょうか?

「いや、彼らが届けてるんじゃないですか。その人たちは年が明けてどこかで感染されて発症したんじゃないですか? その場でなにかクラスターが起きて観客の人とか関係者に一気に広まったわけではないじゃないですか?」

ーー販売スタッフはお客さんと接触していたと思うのですが。

「まあ、そうだったとしても、その時に発症してしてないわけじゃないですか? お客さんたちからひょっとしたら飛沫で感染したかもしれないですが、それはわからないですよね。発症したときに保健所から指示を聞いて、その範囲の中で処理していくことなんだと思うんですよね」

--だから、グッズ売り場から感染者が出たことは公表はしなかったのでしょうか?

「12月31日に勤務に来てた物販チームの中で、年明けにコロナに感染した人がいるかもしれないですけど、そこまで僕らが追いきれてないというか。保健所から僕らに聞き取りがあったわけでもないですから」

榊原氏はコロナ禍でイベントを開催、運営することについてこう語る。

「最大限(対策を)やった中で、それでも感染していくものだと思います。一方で、一定の距離でコロナときちんと向き合いながら経済活動をしていかなくては、立ち行かない。行政の方々の指導を一生懸命守った上で、大会はこれからも開催していきたいと思ってます」

ーーイベント開催のプロフェッショナルとして、東京五輪の開催についてはどう考えているのでしょうか?

「やらざるを得ない、ってことなんだと思います。ただ、もう少し落ち着くまで延期できたら一番良かったとは思いますけどね。もう一年とか。ワクチン接種もだいぶ遅れてしまっているなかで、いまこの時期に無観客というのは、血税も使われるわけですから、残念に思います。国民がみんな誇りに思えるようなタイミングで開催できたらよかった。ただ、コロナの感染者数の状況も世の中のムードも、観客の人数制限も、誰も先が読めない。そこは難しい判断です」

東京五輪はもちろん、コロナ禍での大規模イベントの開催には、クラスター発生のリスクは常に存在する。だからこそ、最大限の対策がとられたうえで、情報共有もなされるべきではないだろうか。

  • 写真濱崎慎治

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