マーケット視点で本気分析!『ラヴィット!』の持つ可能性 | FRIDAYデジタル

マーケット視点で本気分析!『ラヴィット!』の持つ可能性

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ダウンタウンの松本人志が「今は世帯視聴率よりもコア視聴率の方が大事」という内容をTwitterでつぶやいたことで、世帯視聴率を指標に番組を語られることが少なくなったテレビ業界。今まで、このやり方で散々騒がれたのが『ラヴィット!』だ。しかし、辛口なネットニュースが多い中にも、「そんなにダメだろうか?」という疑念の声もあった。 

テレビ業界のセオリーから言うと異端なのかもしれないが、web制作現場の人間からすると、及第点どころか最先端を走っているとすら感じるという。その理由を、webマーケット・webブランディングに詳しい某代理店のwebディレクターにも意見をうかがいながら、『ラヴィット!』を分析してみよう。 

TBSテレビ『ラヴィット!』公式HPより

SNSの使い方と《PDCA》を回すのが速い! 

まずは、『ラヴィット!』の褒めるべき点から説明したい。マイナスなニュースが多いが、実はSNSの使い方とPDCAを回す速さには、文句のつけようがないというのだ。

SNSについては、特にTwitterとインスタグラムの活用が上手い。その日放送されたランキング結果やレシピ、お店や商品情報はインスタを使い、次回放送の予告、プレゼント企画の応募、コーナーの情報提供の呼びかけ、出演者のオンエア終業後の感想ムービーの投稿などはTwitterでという風に、特性に合った活用ができている。

「ランキング結果やレシピのシェアは、放送を見逃した人を置いてけぼりにしませんし、たまたま見られなかった人の番組回帰の助けにもなります。プレゼント企画は引きがいいですし、コーナーの情報をTwitterで募るのも、採用された視聴者が一緒に番組を作っている気持ちになれます。本当に素晴らしいの一言です!」

続いては「PDCAを回す速さ」だ。これは、Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)の頭文字から作られた言葉。webの世界では、このサイクルが早いのだ。元々、どのくらいの反響が期待できるのかを元にコンテンツをつくっているため、予測を下回ることがあれば、「すぐに原因追跡にとりかかり、改善策を施行する」のを繰り返す。

各曜日のレギュラー陣のキャラクターや特技に合ったコーナーが次々に誕生している点(「見取り図の安くてウマくて〇〇な店」、「ぼる塾の芸能界スイーツ部」 、「クイズ エモジット」 )や、太田夫妻の別荘購入企画から、別荘のDIY企画にシフトしたもの「実にお見事!」だという。

「試行錯誤をしつつもPDCAを回しているのはいいですね。グルメロケ、スイーツ作り、DIY企画は、多くの人がついつい見てしまうジャンルでしょう。SNSの使い方に続いて、この点も素晴らしいです!」 

「超万能タイプの芸人」と名高いMC麒麟・川島明(写真:アフロ)

実はあまり「視聴率」を意識していない!?

同番組の批評でやり玉にあがりがちなのが2点ある。1つは、視聴率に直結する「ターゲットのセグメント」だ。こちらは、単純なwebマーケティング的な視点からだと、他のネット記事と同様に、どうしても辛口になってしまうが……。

「コンテンツ制作の前段階のリサーチがちゃんとできているかが疑問ですね。平日のこの時間帯にテレビを見ている層は、主婦か年配の方がメインです。その中に、『ラヴィット!』がターゲットにしたい層はどのくらいいるのでしょうか? 

webマーケティングでは、コンテンツがどんなに素晴らしくても、それを好んで見てくれるターゲットユーザーが存在しないと意味がないと考えます。それに当てはめると、ターゲティングリサーチ部分ができていないか、ターゲティングリサーチの結果がコンテンツ作りに反映されていないために、視聴率が伸び悩んでいるのだろうと考えられます」

『ラヴィット!』の場合は、「平日の午前中にテレビを見る視聴者層」に起点を置かずに制作されている可能性があるため、視聴率が伸び悩んでいると考えられる。これは番組スタート当初から言われていることだが、もし、視聴率を指標にしていないとしたら?

webサイト制作では、《KPI》をどこに設定するのかが重要になる。KPIとは、《重要業績評価指標》という意味。KPIを“視聴率”としていたら、伸び悩んでいる現状では失敗と言わざるを得ないが、“番組の協力企業の貢献度”などに置いているとしたら、視聴率はそこまで重視していない可能性が出てくる。

実際に、ランキング上位に入った商品が、翌日品薄状態や完売していたということもニュースになっている。

また、近年webマーケティング界に浸透しつつあるwebブランディグ視点から見ると、

「番組が視聴者にどんなイメージを持ってほしいのかをあらかじめ設定して、それに合ったアピールを展開できています。番組コンセプトの『日本でいちばん明るい朝番組』に合わせて、出演者が芸人とアイドルと若手俳優のみで構成されているので、この点はクリアしているでしょう」とのこと。 

さらに、この手法では、認知度を得るには手間や時間がかかっても仕方がないというのが前提にあるので、現時点で視聴率の低さをつつくのはナンセンスとさえ思えてくる。

失敗に見えるポジショニングだが狙いは明確

最後に、「ポジショニング」。当たり前だが、同時間帯の中から選ばれる番組になるには、他チャンネルと同じような内容を放送しても意味がない。

「この時間帯でのポジショニングはできていると思います。競合する番組と言えば、NHKの『あさイチ』くらい。『あさイチ』は安定した人気を保っていますが、『ラヴィット!』と決定的な違いがあるとすれば、年配の方が好むタレントが出ているかどうかということでしょう。 

『あさイチ』のメインパーソナリティーの博多華丸大吉さんはともに50歳を過ぎていて、この時間帯にテレビを見ている層とマッチしています。それに対して『ラヴィット!』の出演者は総じて若いので、正統派とも言える『あさイチ』との差別化を図ったのかもしれませんね」

視聴率というフィルターを外すと、コンセプト通りに発進して、順調に育てられている印象の『ラヴィット!』。定説を覆そうとする姿勢は、どちらの意味でも良い前例となったといえるだろう。

そして、秋からスタートするのが、安住紳一郎アナウンサーをメインキャスターにした新番組『THE TIME,』。コンセプトは「ニッポンの朝がみえる」。「安住アナウンサー『が』見るニッポンの朝」なのか「安住アナウンサー『と』見るニッポンの朝」なのか。それによって大きく番組構成は変わるだろうが、この数ヶ月間に『ラヴィット!』が経験したことをいかして、テレビ業界に新たな化学変化を起こしてもらいたい。

  • 安倍川モチ子

    WEBを中心にフリーライターとして活動。また、書籍や企業PR誌の制作にも携わっている。専門分野は持たずに、歴史・お笑い・健康・美容・旅行・グルメ・介護など、興味のそそられるものを幅広く手掛ける。

    初めて『ラヴィット!』を見た時、「『ちちんぷいぷい』に似てる」と思った。私のように、関西に住んでいたことのある人には、違和感なく受け入れられたはず。半年を過ぎるころには、関東の人にもなじむのでは?

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