判決は懲役7年 ナンパアカデミー強姦事件・被害女性の慟哭

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女性に酒を飲ませ、酩酊状態にさせたうえ性交したとして、準強制性交等罪と集団準強姦罪に問われているナンパ講座『リアルナンパアカデミー』(通称RNA)の塾生だった元会社員、羽生(はぶ)卓矢被告(33)の判決公判が10月18日、東京地裁で開かれ、家令和典裁判長は羽生被告に懲役7年、未決勾留日数30日算入の判決を言い渡した(求刑懲役8年)。公判を傍聴したライター高橋ユキ氏がレポートする。

 

「ハウス」として利用されていたマンション

羽生被告は昨年4月1日に同じく塾生だった大瀧真輝被告(29)と共謀、ナンパした被害者Bさんを酩酊させ、性行為に及んだという『Bさん事件』と、昨年7月31日の夜から翌日の1時半ごろにかけ、同じく塾生だった東京メトロ社員・根本賢被告(27)と共謀し、被害者Aさんを酩酊させ、性行為に及んだという『Aさん事件』に問われていた。

RNAでは女性をナンパしてセックスに至るまでのテクニックをマニュアル化していた。マニュアルに忠実に従った羽生被告らの犯行手口は『Aさん事件』『Bさん事件』ともに全く同じ。店で飲んだのち、新宿区にあるRNA所有の通称“ハウス”と呼ばれる部屋に女性を連れ込む。ダーツおよびカードゲームを持ちかけ、イカサマも交えて負けに追い込む。罰ゲームとしてウオツカやイエーガーなど度数の高い酒を飲ませて酩酊させ、性行為に及んでいた。

さらに『和姦の証拠を残す』こともマニュアル化。そのため塾生たちは性交中に動画を撮影した上、塾長にそれを送信していたという。この2つの事件でも羽生被告らは性行為を動画などで記録し、その後それをRNAのグループラインに送信していた。裁判所は判決で、こうした一連の手口がRNAの「マニュアル通り」であると認定。「経緯や動機などどの点をとっても悪質かつ卑劣な犯行」と断罪した。

羽生被告は前回公判の弁論で「妻との間に産まれてくる子に先天異常がある」ことや「犯行時間が短時間だった」ことなどを理由に執行猶予判決を求めており、AさんとBさんにそれぞれ400万円の被害弁償金を支払っていたが、裁判所は「酌量減軽した上で法定刑を下回ったり執行猶予すべき事案とはいえない」とし、懲役7年を言い渡した。

いっぽう、羽生被告をはじめとする塾生らの公判が行われている間も、リアルナンパアカデミーの塾長・渡部泰介被告(42)はSNSで司法批判や被害者らに対する“セカンドレイプ”を繰り返していたが、9月10日に準強制性交等の容疑で逮捕。10月に起訴された。そしてこの塾長・渡部被告の逮捕で、羽生被告の共犯のひとりである根本被告のさらなる“悪行”が白日の下に晒されるという波乱も起こった。渡部被告逮捕後の9月27日に開かれた、根本被告の判決公判でのことだ。

根本被告は羽生被告とともにAさん事件に及んだとして準強制性交等罪に問われていたが、この日、検察側の証拠として、逮捕後の塾長の携帯電話解析結果が提出された。根本被告は第一回公判ののちに保釈されていたのだが、この携帯電話の使用履歴から、保釈後に塾長とコンタクトを取っていたことが明らかになったのである。

「この事件をどうしたらいいのか、僕がアタマ悪いんで、(塾長に)アドバイスもらえるかな、と」

こう語った根本被告。塾長からは「羽生被告が主犯であると主張する」ことと「被害者との示談を再度試みる」よう助言を受けていたという。だが事件関係者との接触は、保釈許可決定の指定条件に違反する行為だ。このため根本被告の保釈保証金200万円は没収され、再度勾留されてしまっていた。判決は懲役5年6月(求刑懲役6年)。控訴せず確定している。

羽生被告の公判では、被害者のAさん、Bさん両名が意見陳述を行なった。ともに、検察官席の後ろにある衝立で姿は見えないが、時折、泣いている様子で声を詰まらせながらもこう述べていた。

「私が7月31日をどんな気持ちで過ごしたかわかりますか。羽生たちに殺された命日だと思いながら過ごしました。RNAのメンバーが性行為の動画を共有していたLINEグループの名前は『終戦記念日』でした。羽生たちは、和姦の証拠として撮影していた動画で、虚偽告訴の文言を持ち出し私を脅していました……イカサマのゲームをして女性に酒を飲ませ、女性をモノ扱いした性行為を行いました。女性を半殺しにしただけで、戦っていません。真っ当な戦いがどういうものかこれから学んでください。RNAが一掃されたらそれが私にとっての終戦記念日です。羽生たちは私の体を傷つけただけでなく、心も殺し、人生をめちゃくちゃにしました。到底許すことなどできず、一生刑務所で暮らしてほしいと思っています」(Aさん)

「平成29年4月1日、私は羽生と大瀧にナンパされレイプされました。ナンパについて行っても、セックスに応じるものではないと普通はわかりますがRNAは違いました。どんな手を使ってもセックスすることが彼らの目的なのです……。今年5月、羽生の逮捕を知り警察に行きました。そこで刑事から『普通の人なら死んでるくらいの酒の量だよ』と言われました。羽生はRNAをやめたと強調していますが自分の身を守りたいだけです。その後も塾生が私の仕事場に来たり、ネットに書き込みしたりしています。安心して生活できません。Aさんは『死にたい』と言っていましたが私も同じ気持ちです……」(Bさん)

女性を飲酒酩酊させ、抗拒不能な状態に乗じて性交、そして『和姦の証拠を残す』までの流れをマニュアル化していたリアルナンパアカデミー。意識の朦朧とする中、性行為を撮影され、それを塾生らで共有されていた被害者らの苦痛は計り知れない。

さらに新宿署は19日までに、大阪のマンションで女性に酒を飲ませたうえで乱暴したとして、塾生の大学生を逮捕、塾長を再逮捕したと発表している。まだ事件は収束しそうにない。

  • 取材・文高橋ユキ

    傍聴人。フリーライター。『暴走老人・犯罪劇場』(洋泉社新書)、『木嶋佳苗 危険な愛の奥義』(徳間書店)、『木嶋佳苗劇場』(宝島社)、古くは『霞っ子クラブ 娘たちの裁判傍聴記』(新潮社)など殺人事件の取材や公判傍聴などを元にした著作多数。

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