「コロナ禍に嫌々描いた絵が最高」レジェンド・横尾忠則の「現況」 | FRIDAYデジタル

「コロナ禍に嫌々描いた絵が最高」レジェンド・横尾忠則の「現況」

ビートルズから大谷翔平まで、変化し続ける美術家の今

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「コロナ禍に作品を作るエネルギーなんてありません。もうね、いやいや描いてますよ。嫌だな嫌だなと思いながら、絵を描いてるんです。これまでたくさんの作品を作ってきましたが、自分でいちばん好きな作品は、近作。嫌で嫌で仕方なく描いた絵ですね」

横尾忠則さんの大規模展が始まった。600点を超える膨大な作品に向き合うと、その饒舌さに圧倒される

横尾忠則さんの大規模展が、東京都現代美術館で始まった。横尾さんは1960年代からつねに、本当に、日本と世界のアートの「第一線」で活躍してきた。

「ぼくは、子どものころから絵を描いてきたんです。最初は模写でした。今ある最も古い作品は、5歳のときに描いた『武蔵と小次郎』。これは、講談社の絵本『宮本武蔵』の挿絵を書き写したものです。以来、ずっと描いてきました。いつプロになったかわからない」

85歳の横尾さんは、「GENKYO」展開催にあたって開かれた会見でこんなふうに語った。

グラフィックデザインでは、ビートルズや長嶋茂雄を題材にしたポップアート、ポスター、短編映画、そして「週刊少年マガジン」の表紙など「伝説」になっている作品も多い。アメリカ、ヨーロッパでも高く評価された。そうしてグラフィクデザイナーとして20年ほど活躍した1980年に、画家に転向した。

開催中の展覧会「GENKYO」では、その創造の「全貌」をと、新作30点を含む603点の、さまざまなタイプの作品が展示されている。

「大谷翔平選手、大リーグで活躍して。すばらしいですよね。大谷くんとか、藤井くんとか。今までに出現しなかった才能が、いろんなジャンルでどんどん増えていく。自分にとっての喜び、楽しみよりも彼のような若い人の活躍を見るほうがうれしい。大谷くんから学ぶほうが、うんと多いでしょう。自分のことは、もう、十分楽しんできたから」

大谷翔平を題材にした立体アートは、投手と打者、2人の大谷が、宮本武蔵の二刀流と一緒にくるくる回転する作品だ。

大谷翔平をモチーフにした作品。「これを作ったときはここまでの活躍は予想しなかった」という

会見に現れた横尾さんもつけていた「マスク」には、舌を出した口元のイラストが描かれている。女優、作家、ミュージシャンら有名人がこのマスクをかけた人物を描いた「コロナ連作」も描いている。そして最近作「寒山拾得」の連作では、さまざまな筆致で、さまざまな色彩の「寒山拾得」が並ぶ。それはまるで、演奏するたびに色を変える上等なブルースセッションのようだ。

「コロナでね、僕の生活はぜんぜん変わっていないです。もともと僕は外に出ないから。アトリエで、ずっと絵を描いているので」

そういう横尾さんだが、今年はこの大規模展をふくめ3か所で展覧会が開催される。東京駅前の丸ビルには、巨大壁画も完成、17日に披露された。旺盛な創作意欲、としか見えない。

「コロナになってから1年ちょっとの作品は、それ以前を全否定するようないいかげんな描き方をしているんです。これが、がんばって描いた作品よりもいいんです。

描いたものについて僕が話してもね。絵のほうがずっと饒舌です。絵を見て、僕の絵と対話してください」

スリムなパンツに、自身のブランドのクールなスニーカーを履いたレジェンド・横尾忠則は、そう言った。

「絵を描くことは変化することです。と同時に人間も日々変化しています。その変化を見てもらいます」

「物心ついてからずっと描いてきた」という横尾さん、5歳の時に描いた模写から、今年の作品まで、膨大な数の作品が展示された広い会場を見てまわった。

「疲れましたね」

レジェンド横尾忠則の作品が饒舌に語りかける「今」をぜひ、自分の目で確かめてほしい。

*「GENKYO 横尾忠則 原郷から幻境へ、そして現況は?」展(東京都現代美術館・10月17日まで)

自画像『T+Y自画像』は、今回のポスタービジュアルにもなっている大きな作品
グラフィックアート作品のインパクトは今も色褪せていない

愛猫「タマ」を描いた作品群。小さな絵の1枚1枚に猫のありとあらゆる瞬間が見られる
近作「寒山拾得」
近作「寒山拾得」
動画作品の展示も。どの部屋もじっくり見ていたい
グラフィックアート作品のパワーに圧倒される
会見で横尾さんが履いていたスニーカーは、ショップで販売されている
横尾アートの「まんじゅう」も
ミュージアムショップには、横尾アートのグッズが並ぶ
「ひどい難聴」と言うが、立ち姿は年齢を感じさせない。かっこいい
  • 撮影福岡耕造

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