錦鯉が最後? 苦節〇年の芸人が消える「芸能界セカンドキャリア」 | FRIDAYデジタル

錦鯉が最後? 苦節〇年の芸人が消える「芸能界セカンドキャリア」

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ザブングルの松尾陽介(左)は芸能界を引退し、株式会社OMATSURIを設立。サービス内容のひとつに「お笑い芸人のセカンドキャリア創出支援」を掲げている(写真:つのだよしお/アフロ)

最近、芸能人の“セカンドキャリア”に関するニュースが目につく。

ジャニーズJr.に定年が設けられることによって大学進学を目指すJr.が増えているという記事が出ていたが、これも“セカンドキャリア”に関係してくる話だ。昔から“芸能人に定年はない”と言われてきていたのに、まさか実際に定年がやってくるなんて誰が想像しただろうか。

しかしこれは現実であり、その時がきて事務所を退所させられるJr.は、次の道を探さねばならない。他の事務所に移籍して、あるいは移籍できなければフリーでタレントを続けるか、見切りをつけて芸能界を去るということになるが、大学進学を考える人たちはおそらく後者だと思われる。

ジャニーズJr.だけではない。

最近は大学進学を考える、あるいは現役の大学生というタレントが増えてきている。特に若いアイドルに見られる傾向だが、その背景にあるのは芸能界がますます不安定な場所になってきていることと、芸能界を通過点と考えるタレントが多くなってきたことにあるというのはアイドルを抱える芸能プロ幹部。

「もともと不安定な芸能界が新型コロナでますます先が見えなくなっています。仕事が激減して将来に不安を感じているタレントは多い。いつタレントを辞めてもいいように大学に進学したり通信教育で資格を取ったりして、再就職に備えているということでしょう。

また再就職するなら若いうちがいい。だから芽が出ないとか、人気が落ちたら早めに見切りをつける、なかには惨めな思いをしないように、人気があるうちに辞めようと初めから考えているタレントもいますね。また最初からタレント活動の期限を決めていて、期限が来たら辞めて違う仕事に就く人もいます」

特に最近のアイドルは以前に比べて生存競争が激化している。それは“集団”、すなわちグループで活動するアイドルが増えたことに起因している。ジャニーズのグループもグループあたりのメンバー数が増えてきていることがわかる。必然的にアイドル全体の数が膨れ上がっているのは紛れもない事実だ。

「練習生や予備軍を含めるとアイドルはとてつもない数になっています。そこで生き残ることができるのはほんの一握りですから。しかも女性アイドルは賞味期限が短い。活きのいいうちに人気がでなかったら諦めたほうがいい。今の若い子はそのへんの事情をよく理解しています。その上で将来を見据えて辞めたときに困らないように、学歴や資格を取得しているんです」(前出・芸能プロ幹部)

昔のアイドルは別段学びたいことがあるわけでもないのに大学に入る人がいて、芸能人は学歴コンプレックスが強いと見られていたが、最近のアイドルは将来のことをちゃんと考えていて、そこには破天荒という言葉は見られない。確かに、現役の大学生や大卒のアイドル、タレントが以前に比べて増えている。

それこそジャニーズには慶應義塾大学経済学部を卒業した『嵐』の櫻井翔を筆頭に大学出のインテリが目白押しだ。『Sexy Zone』の菊池風磨も慶應出身だ。

同グループのマリウス葉は上智大学。『Snow Man』の阿部亮平は上智の大学院を出ている。朝ドラにも出演していて人気上昇中の永瀬廉は明治学院大学在学中というように、現役大学生も増えている。

女性アイドルに目を向けると、元『AKB48』の仲俣汐里は早稲田大学の政治経済学部を卒業、芸能界を引退して一般企業に就職した。元『乃木坂46』の市來玲奈は早稲田大学文学部を卒業、現在は日本テレビのアナウンサーだ。

元『℃-ute』の鈴木愛理や、現在韓国で活動している元『AKB48』の竹内美宥は慶應大学出身。元『Berryz工房』の“ももち”こと嗣永桃子は国学院大学を卒業し幼児教育の道に進みたいと’17年に芸能界を引退するなど、数え上げたらきりがない。

“セカンドキャリア”の話題が上がっているのはアイドルだけではない。彼らの華々しさに比べて、厳しい状況にあるのがお笑い芸人だ。

先日『ザブングル』の松尾陽介が芸能界を引退するというニュースが流れた。引退の理由は簡単に言えば、仕事が激減してお笑い芸人としてこれ以上やっていけなくなったからだ。仕事が減った原因は新型コロナが影響していることもあるが、本人も語っていたように例の“闇営業騒動”が一番大きかったのではないだろうか。

いま、お笑い芸人はアイドルと同様、半端ではない人数になっている。その中でテレビに出られてそこそこの収入を得る者はほんの一握りに過ぎない。成功して人気を得ても不祥事を起こして一気に奈落に落とされる者もいるし、ビッグタイトルを獲得しても、飽きられて消えていく例も多い。将来の不安定さはアイドルの比ではないだろう。

スポットライトを浴びることを夢見て、後輩に追い越されても必死に頑張っている芸人もまだまだいるが、

「“売れて有名になってお金を稼いで、高級外車に乗って女にモテたい”。そんな理由でお笑い芸人を目指した人は多いです。ある意味、一攫千金を夢見ているわけですからその人達に“普通の会社員”という選択肢はないでしょう。逆に、芸人の道しかないからしがみつくことができる。

それで成功した例も多かったですが、コロナをきっかけに変わりました。この状況がいつまで続くか全く先が見えない中で、売れていない芸人たちは生活することで精一杯で芸を磨くこともできません。だから事務所としても将来のことを考え、肩を叩くようになりました」(お笑い芸人を抱える芸能プロのマネージャー)

アイドルも芸人もそうだが、転職しようにも学歴、職歴がないと一般企業に就職するのはかなりハードルが高い。そのため飲食店を経営したり会社を起こしたりする人が多いのだが、最近は芸能人の転職を支援する会社もあり、上記の松尾も業務内容に『お笑い芸人のセカンドキャリア創出』というサービスを展開する会社を創設した。いいのか悪いのかわからないが、転職しやすくなるのは確かだ。

昨年の「M-1グランプリ」決勝に進出し、下積み20年超を経て大ブレイクした「錦鯉」。49歳の長谷川雅紀と43歳の渡辺隆の中年コンビは、今やテレビで見ない日はないほど活躍している。

ただこの先、彼らのような“苦節○○年”と“下積み○○年”という芸人が見られなくなるかもしれないのは、ちょっと寂しいかも……。

  • 取材・文佐々木博之(芸能ジャーナリスト)

    宮城県仙台市出身。31歳の時にFRIDAYの取材記者になる。FRIDAY時代には数々のスクープを報じ、その後も週刊誌を中心に活躍。現在はコメンテーターとしてもテレビやラジオに出演中

  • 写真つのだよしお/アフロ

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