金メダル第一号!髙藤直寿が出陣前に語っていた「覚悟」
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「直寿は出陣前、私に『東京で金メダルを獲って、人生を変えます』と意気込んでいました。まさに有言実行で、金メダルを決めた瞬間は思わず涙が出ました」
そう打ち明けるのは、髙藤直寿(28)の母校の東海大相模中学柔道部の先輩で、今でも親交の深い丸山和也氏だ。
髙藤は‘16年のリオ五輪では銅メダルに沈んだ。東京五輪は髙藤にとって、屈辱をはらすためだけの舞台ではなかった。丸山氏が話す。
「決勝の直寿は怖いくらいに冷静でした。きっと本人は相手を豪快に投げて、一本を取りにいきたいと思っていただろうし、投げられたと思います。でもあえて、そうしなかった。リスクが少なく勝つ可能性が高い柔道に徹したのです。決勝の舞台でそれをやるのは相当な精神的強さがないとできません」
髙藤は誰よりも己の柔道に向き合う選手だった。
「直寿はとにかく芯の強い選手です。中学時代から、創意工夫で自分の柔道スタイルを編み出してきました。直寿の“型にはまらない柔道”はそうして生まれたんです」(丸山氏)
「すみません。これが僕の柔道です」
指導3の反則勝ちで金メダルに輝いた後、髙藤はそう笑顔で話した。その言葉に丸山氏は涙を流したという。
「決勝戦は私が観戦していた中学時代の関東大会決勝と重なりました。その時も、直寿は泥臭くても、なによりも勝つことを大事にして戦っていた。今回の金メダル獲得は自分の柔道スタイルを貫いた結果だったと思います。試合後には直寿から『応援ありがとうございます。先輩から教えてもらった技を使いましたよ!』と連絡が来て、とても嬉しかったですね」
「勝つための柔道」を磨き上げ、リオの雪辱は果たした。つぎはどんなスタイルの柔道を見せてくれるだろうか。