「五輪開会式」の責任を尋ねたら…組織委事務総長が貫いた無言 | FRIDAYデジタル

「五輪開会式」の責任を尋ねたら…組織委事務総長が貫いた無言

連日の金メダルラッシュも迷走は止まらない

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野村萬斎、椎名林檎が去った後、トラブルまみれに 直前に作曲担当やショーディレクターまで退陣

開会式後、都内の自宅に帰ってきた武藤事務総長を直撃。頑(かたく)なに口を開こうとしなかった
開会式後、都内の自宅に帰ってきた武藤事務総長を直撃。頑(かたく)なに口を開こうとしなかった

東京・千駄ヶ谷の国立競技場。7月23日の夜7時過ぎ、本誌記者がじっとりと暑いスタジアム内に足を踏み入れると、現場は騒然とした雰囲気だった。スタッフたちが走り回り、情報共有が徹底されていないのか、あちこちで混乱が起きていた。残り1時間、本当にこのまま開会式が開催できるのか――。競技場内にいる全員が、そう不安に包まれていた。

7月23日に東京五輪が開幕し、日本勢は日々、メダルラッシュを続けている。しかし、五輪史上にけっして消えない大きな汚点が残った。ドロ沼とも言うべき、開会式を巡るゴタゴタである。

「開会式の4日前の7月19日に、作曲担当の小山田圭吾氏(52)が、過去のいじめ問題が明るみに出たことで辞任しました。そして、開会式の前日22日には、ショーディレクターの小林賢太郎氏(48)が、過去のコント作品にホロコーストを揶揄(やゆ)する内容が含まれていたことが原因で解任された。海外メディアも『土壇場での醜聞』『度重なる恥のなかで最悪のものだ』などと酷評し、世界中から失笑を買いました」(全国紙記者)

開会式自体は、小山田氏の担当した楽曲の差し替えが4日間の突貫工事で行われ、なんとか開催された。しかし、なぜこのような事態が起きてしまったのか。

’18年7月、開閉会式の総合統括に就任したのは、狂言師の野村萬斎氏(55)だった。チームはミュージシャンの椎名林檎氏(42)や、振付師のMIKIKO氏(43)らで構成されていた。しかし、’20年末、「式典の簡素化を短期間で進めるため」という不可思議な理由でチームは解散。野村氏の後任には、電通出身のCMクリエイターである佐々木宏氏(66)が就いた。しかし、その佐々木氏もタレントの渡辺直美(33)を豚に見立てた演出案が報じられ、批判を浴びて3月に辞任した。

あまりに他人事体質

「開閉会式チームの迷走は、佐々木氏の暴走が主な理由とされています。しかし、根本的な原因は、組織委がクリエイターたちに人選やプランを丸投げにしたことでしょう。佐々木氏がMIKIKO氏らによる演出案を白紙にしようとしたときも、組織委が介入し、是正しようとはしなかった。

結局、佐々木氏の辞任後のチームの編成すらも、組織委は現場任せにしてしまった。そのメンバー集めの中心になったのが、小林賢太郎氏であり、彼が誘ったうちの一人が小山田圭吾氏だったのです」(前出・記者)

東京五輪大会組織委員会の「他人事体質」は、最後まで徹底していた。7月20日の会見で、組織委の武藤敏郎事務総長(78)は、小山田氏の辞任などについて問われたところ、「我々が一人ひとりを選んだわけではない」と、言い放ったのだ。

7月23日深夜、開会式を終えて自宅に帰宅した武藤氏を直撃した。

――なぜ開会式はこのようなことになったのでしょうか?

「…………」

――事務総長として責任は感じていますか?

「…………」

本誌記者が何度問いかけても、一言も発しない武藤氏。記者が差し出した名刺を一瞥(いちべつ)しただけで、何も答えず、そのまま自宅へと入っていった。

ジャーナリスト・鈴木哲夫氏が語る。

「開閉会式には全体で165億円という莫大な費用がかかっています。誰が仕切り、誰に決定権があったのか。そういったプロセスすら見えないままになっています。組織委員会は事後検証を行い、説明責任を果たすべきでしょう」

五輪史上に残る汚点となった今回の顛末の全貌は明かされなくてはならない。

『FRIDAY』2021年8月13日号より

  • PHOTOJMPA(開会式)、齋藤雅昭(武藤氏)

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